消費期限と賞味期限を「5日」で分ける考え方はもうありません|令和7年3月の改定

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結論:「5日で分ける」という考え方は、もう推奨されていません

消費期限と賞味期限の違いは、日数ではありません。消費者庁の「食品期限表示の設定のためのガイドライン」(令和7年3月)の記述です。

期限表示が導入された平成7年に厚生省(当時)及び農林水産省が通知した消費期限又は賞味期限を「5日」で区別する考え方は、用語の定義に基づく期限設定とはいえないことから、平成20年には厚生労働省及び農林水産省において解消されており、現在、消費者庁においても推奨していません。

「5日以内なら消費期限、それ以上なら賞味期限」という説明を見かけますが、その考え方は20年近く前に解消されています。それでも実態調査では、定義を考慮せず単に「5日」で区別している事例が品目のうち約18%認められた、とされています。

1. 定義は食品表示基準に書かれています

用語 定義(食品表示基準第2条)
消費期限 定められた方法により保存した場合において、腐敗、変敗その他の品質の劣化に伴い安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限を示す年月日
賞味期限 定められた方法により保存した場合において、期待される全ての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日。ただし、当該期限を超えた場合であっても、これらの品質が保持されていることがあるものとする。

賞味期限の定義には「ただし書き」が付いています。超えても品質が保持されていることがあると、定義そのものに書かれています。

設定の根拠も違います。

消費期限は微生物試験等の安全性に係る試験・検査の結果を優先して設定する期限であり、賞味期限は理化学試験や官能検査等の品質の試験・検査の結果を優先して設定する期限となる。

2. 消費者側の結論は、はっきり書かれています

見直し検討会の取りまとめです。

賞味期限を過ぎた食品であっても、定められた方法により保存した場合には必ずしもすぐに食べられなくなるわけではないことを消費者が理解するとともに、保存方法にこれまで以上に留意することが重要である。(中略)
一方、消費期限を過ぎた食品については、安全性を欠くおそれがあることから、食べてはいけないことを理解する必要がある。

2つを並べると、扱いが逆になります。

期限を過ぎたら
消費期限 食べてはいけない
賞味期限 必ずしもすぐに食べられなくなるわけではない(ただし保存方法を守っていた場合)

なお、令和5年度の調査では賞味期限について正しく理解する消費者は約53%だったとされています。

3. 期限は「未開封」が前提です

ここが最も見落とされます。

期限表示は、開封前の状態で定められた保存方法により保存した場合の期限であり、開封後は常温で保存できるものであっても環境中にある微生物により腐敗が始まるため、消費者に対して、期限表示が未開封の状態を前提としている旨を表示することは、安全性の観点から情報提供の在り方として適切であると考える。

開けた瞬間に、印字された期限は当てになりません。賞味期限が半年先でも、開封後は別です。

4. 「常温」の中身も揺れています

常温で保存することの考え方については、季節、出荷先の外気温及び年平均気温の上昇のほか、製造や流通・配送及び販売を含むフードサプライチェーン全体における温度状況等、外的な変動要素を考慮する必要がある。

そのうえで、常温保存の食品は「保存の方法」に期限設定の際に想定した具体的な温度や湿度等の条件を付記することが望ましいとされています。「常温で保存してください」とだけ書かれている場合、どの温度を想定しているかは表示からは分かりません。

5. 令和7年3月の改定で何が変わったか

事業者が期限を設定するときの話ですが、消費者にも関係します。

論点 これまで 見直しの方向
安全係数 変動が少ないものは0.8以上を目安に設定することが望ましい(食品表示基準Q&A) 「0.8」の提示を見直し、できるだけ1に近づけることが望ましい。安全性が十分に担保されている食品は安全係数を考慮しないこともあり得る
指標 一般生菌数・大腸菌群数など複数項目を一律に評価 食品の特性に応じて自ら必要な指標を選定する。低温菌、嫌気性菌等を指標とすることも有益
期限切れの目安 ― 消費者等からまだ食べることができる期限の目安について開示を求められた場合には、情報提供に努めることが望ましい

安全係数とは、試験で得られた期限に掛ける係数です。0.8を掛けると、実際より2割短い期限が表示されることになります。実態調査では0.8未満に設定している品目が約40%あり、加圧加熱殺菌したレトルトパウチ食品や缶詰にも安全係数を用いている事例が認められた、とされています。

つまり表示されている賞味期限は、試験で確認された期限より短めに設定されていることが多いという構造です。これが「賞味期限を過ぎてもすぐには食べられなくならない」ことの背景の一つです。

6. 一方で、安全側の指摘もあります

期限を延ばすことだけが方向ではありません。検討会では、これまで十分に考慮されてこなかった危害要因が指摘されています。

  • リステリアは、pHや水分活性の状態によっては10℃以下で保存した場合でも増殖できる
  • これまで病原大腸菌とされていなかった大腸菌でも、冷蔵の温度によっては増殖し危害要因となる場合がある
  • 賞味期限延長の取組として真空包装や脱酸素を行う場合に嫌気性菌が危害要因となる場合がある

将来的には、フードチェーン・コールドチェーン全体の保存温度を10℃から更に低温で管理する方向の検討が重要、とされています。

家庭での食中毒予防については食中毒予防の記事にまとめています。

7. 実務としてやること

  1. 表示を見たら、まず「消費」か「賞味」かを読む(日数で判断しない)
  2. 消費期限を過ぎたものは食べない
  3. 賞味期限は保存方法を守っていたかどうかとセットで考える
  4. 開封したら、印字された期限は前提が変わると考える
  5. 「常温保存」の表示は、具体的な温度条件が書かれているかを見る
  6. 迷ったらにおい・見た目で判断せず、保存状態から考える

当サイトでは、個別の食品が食べられるかどうかを判断しません。表示と保存方法をご確認のうえ、不安がある場合は食べないでください。

FAQ

消費期限と賞味期限は、日数で分かれるのですか。

分かれません。「5日」で区別する考え方は平成20年に解消されており、現在、消費者庁においても推奨していません。定義は食品表示基準に書かれています。

賞味期限が切れたら食べられませんか。

定義自体に「当該期限を超えた場合であっても、これらの品質が保持されていることがある」とあります。ただし定められた方法により保存した場合が前提です。

消費期限が切れたものはどうですか。

取りまとめは「安全性を欠くおそれがあることから、食べてはいけないことを理解する必要がある」としています。

開封したあとも、表示の期限まで大丈夫ですか。

いいえ。期限表示は開封前の状態を前提としており、開封後は常温で保存できるものであっても環境中の微生物により腐敗が始まる、とされています。

賞味期限はなぜ短めなのですか。

安全係数を掛けて設定されているためです。これまで0.8以上が目安とされてきましたが、令和7年3月の見直しでできるだけ1に近づけることが望ましいとされました。

まだ食べられる期限の目安を、メーカーに聞けますか。

取りまとめは、事業者に対して、消費者等から開示を求められた場合には、食品の特性等に応じて情報提供に努めることが望ましいとしています。必ず開示されるわけではありません。

参照した一次情報

  • 消費者庁「食品期限表示の設定のためのガイドライン」(令和7年3月) caa.go.jp(PDF)
    2026年9月20日確認。食品表示基準第2条の消費期限・賞味期限の定義、消費期限は微生物試験等・賞味期限は理化学試験や官能検査等を優先する旨、「5日」で区別する考え方が平成20年に解消され現在も推奨されていない旨、期限表示が開封前の状態を前提としている旨、常温保存の考え方と温度条件の付記に関する記述はこのガイドラインに基づきます。
  • 消費者庁「食品期限表示の設定のためのガイドラインの見直し検討会 取りまとめ」(令和7年3月) caa.go.jp(PDF)
    2026年9月20日確認。「5日」で区別している事例が約18%である旨、安全係数0.8の見直しと0.8未満が約40%である旨、指標の選定(リステリア・低温菌・嫌気性菌)、賞味期限を過ぎてもまだ食べることができる期限の目安の開示、消費者に対する結論(消費期限は食べてはいけない/賞味期限は必ずしもすぐに食べられなくなるわけではない)、賞味期限を正しく理解する消費者が約53%である旨、将来的な低温管理の検討に関する記述はこの取りまとめに基づきます。ガイドライン本文のQ&A(事業者向け・消費者向け)の全文は本記事では扱っていません。

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