ノロウイルスはアルコールでは失活しません|必要なのは塩素か、85℃以上の熱

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結論:アルコールでは失活しません。必要なのは塩素か熱です

厚生労働省のノロウイルスQ&Aの記載です。

一般的な感染症対策として、消毒用エタノールや逆性石鹸(塩化ベンザルコニウム)が用いられることがありますが、ノロウイルスを完全に失活化する方法としては、次亜塩素酸ナトリウムや亜塩素酸水や加熱による処理があります。

手指についても同じです。

消毒用エタノールによる手指消毒は、石けんと流水を用いた手洗いの代用にはなりませんが、すぐに石けんによる手洗いが出来ないような場合、あくまで一般的な感染症対策の観点から手洗いの補助として用いてください。

入口のアルコールを押して安心、では足りないということです。お店や施設を運営している方には特に関係します。

1. 患者数の4分の3はノロウイルスです

令和7年の食中毒発生状況によると、ノロウイルスによる食中毒は、事件数では、総事件数1,172件のうち462件(39.4%)、患者数では総患者数24,727名のうち18,566名(75.1%)となっています。

事件数では4割、患者数では75.1%です。1件あたりの人数が大きいことを示しています。1件の事故で多数の人が発症する種類の食中毒だ、ということです。

2. 感染経路は5つあります

(1)患者のノロウイルスが大量に含まれるふん便や吐ぶつから人の手などを介して二次感染した場合
(2)家庭や共同生活施設などヒト同士の接触する機会が多いところでヒトからヒトへ飛沫感染等直接感染する場合
(3)食品取扱者が感染しており、その者を介して汚染した食品を食べた場合
(4)汚染されていた二枚貝を、生あるいは十分に加熱調理しないで食べた場合
(5)ノロウイルスに汚染された井戸水や簡易水道を消毒不十分で摂取した場合

そして、

特に、食中毒では(3)のように食品取扱者を介してウイルスに汚染された食品を原因とする事例が、近年増加傾向にあります。

「牡蠣を食べたから」より、「作った人から」のほうが増えているということです。

3. 加熱は85〜90℃で90秒以上

ノロウイルスの汚染のおそれのある二枚貝などの食品の場合は、中心部が85℃〜90℃で90秒以上の加熱が望まれます。

根拠も示されています。コーデックス委員会が2012年に定めたガイドラインで、二枚貝の加熱調理でウイルスを失活させるには中心部が85〜90℃で少なくとも90秒間の加熱が必要とされているためです。

ただし前提も正直に書かれています。

ノロウイルスの失活化に必要な加熱条件については、現時点においてこのウイルスを培養細胞で増やす手法が確立していないため、正確な数値はありません。

4. 手洗いの具体的な手順

常に爪を短く切って、指輪等をはずし、石けんを十分泡立て、ブラシなどを使用して手指を洗浄します。すすぎは温水による流水で十分に行い、清潔なタオル又はペーパータオルで拭きます。

石けんの役割の説明が的確です。

石けん自体にはノロウイルスを直接失活化する効果はありませんが、手の脂肪等の汚れを落とすことにより、ウイルスを手指から剥がれやすくする効果があります。

手洗いのタイミングとして挙げられているのは、調理の前(飲食業なら食事を提供する前も)、食事の前、トイレの後、下痢等の患者の汚物処理やオムツ交換等を行った後(手袋をして直接触れないようにしていても)です。

5. 調理器具の消毒——濃度が決まっています

調理器具等は洗剤などを使用し十分に洗浄した後、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度約200 ppm)や亜塩素酸水(遊離塩素濃度25 ppm)で浸すように拭くことでウイルスを失活化できます。

また、まな板、包丁、へら、食器、ふきん、タオル等は(中略)熱湯(85℃以上)で1分以上の加熱が有効です。

注として「家庭用の次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤でも代用できます(使用に当たっては『使用上の注意』を確認しましょう)」と書かれています。

二枚貝を扱うときは専用の調理器具を使うか、使用の度に洗浄・消毒するよう求められています。

6. 吐ぶつの処理は「200 ppm」と「1,000 ppm」

ここがいちばん間違えやすいところです。床と、捨てる袋の中では濃度が違います。

対象 次亜塩素酸ナトリウムの塩素濃度
拭き取った後の床 約200 ppmで浸すように拭き取り、その後水拭き
おむつや使用したペーパータオル等を密閉するビニール袋 約1,000 ppm(廃棄物が充分に浸る量を入れることが望ましい)
調理器具・下洗い場所・食器 約200 ppm

手順も具体的です。

床等に飛び散った患者の吐ぶつやふん便を処理するときには、使い捨てのガウン(エプロン)、マスクと手袋を着用し汚物中のウイルスが飛び散らないように、ふん便、吐ぶつをペーパータオル等で静かに拭き取ります。

7. 乾かしてはいけません

また、ノロウイルスは乾燥すると容易に空中に漂い、これが口に入って感染することがあるので、吐ぶつやふん便は乾燥しないうちに床等に残らないよう速やかに処理し、処理した後はウイルスが屋外に出て行くよう空気の流れに注意しながら十分に喚気を行うことが感染防止に重要です。

そして時間が経っても残ります。

12日以上前にノロウイルスに汚染されたカーペットを通じて、感染が起きた事例も知られており、時間が経っても、患者の吐ぶつ、ふん便やそれらにより汚染された床や手袋などには、感染力のあるウイルスが残っている可能性があります。

12日という数字は覚えておく価値があります。「昨日のことだからもう大丈夫」ではありません。

8. 症状が治まっても1週間から1か月

お店を運営している方に直接関わる記述です。

このウイルスは下痢等の症状がなくなっても、通常では1週間程度長いときには1ヶ月程度ウイルスの排泄が続くことがあるので、症状が改善した後も、しばらくの間は直接食品を取り扱う作業をさせないようにすべきです。

さらに、

このウイルスは感染していても症状を示さない不顕性感染も認められていることから、食品取扱者は、その生活環境においてノロウイルスに感染しないような自覚を持つことが重要です。

「元気だから大丈夫」が通じません。責任者に求められることも明記されています。

調理施設等の責任者は、下痢やおう吐等の症状がある方を、食品を直接取り扱う作業に従事させないようにすべきです。

9. リネンと環境の扱い

  • リネン類:飛び散らないよう処理した後、洗剤を入れた水の中で静かにもみ洗い(しぶきを吸い込まないよう注意)。消毒は85℃・1分間以上の熱水洗濯が適している
  • 布団などすぐに洗濯できない場合:よく乾燥させ、スチームアイロンや布団乾燥機が効果的
  • 環境(ドアノブ、カーテン、リネン類、日用品など):次亜塩素酸ナトリウム等が有効。ただし金属腐食性があるので、消毒後の薬剤の拭き取りを十分に

10. 相談先

最寄りの保健所やかかりつけの医師にご相談下さい。
また、保育園、学校や高齢者の施設等で発生したときは(中略)速やかに最寄りの保健所にご相談下さい。

当サイトでは、個別の症状の診断や、施設ごとの対応の適否を判断できません。

備えと衛生用品について

以下は広告です。当サイトでは、これらの製品がノロウイルス対策にどこまで対応するかを検証していません。仕様・価格・内容は変更されることがあるため、必ず公式サイトで最新の内容をご確認ください。優劣を示すものではなく、選択肢として並べています。

持ち出し袋・備蓄品の選択肢:

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FAQ

アルコール消毒は効きませんか。

「消毒用エタノールによる手指消毒は、石けんと流水を用いた手洗いの代用にはなりません」とされ、失活化の方法としては次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸水、加熱が挙げられています。

牡蠣は何度で何秒加熱すればよいですか。

「中心部が85℃〜90℃で90秒以上の加熱が望まれます」とされています。

吐いたものを拭いた後、どうすればよいですか。

次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度約200 ppm)で浸すように床を拭き取り、その後水拭きをします。使用したペーパータオル等はビニール袋に密閉して廃棄し、約1,000 ppmを入れることが望ましいとされています。

治ったらすぐ調理に戻れますか。

「症状がなくなっても、通常では1週間程度長いときには1ヶ月程度ウイルスの排泄が続くことがある」ため、しばらくは直接食品を取り扱う作業をさせないようにすべきとされています。

いつ流行しますか。

「一年を通して発生していますが、特に冬季に流行します」「毎年、11月頃から2月の間に、乳幼児や高齢者の間で(中略)流行します」とされています。

参照した一次情報

  • 厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」(作成:平成16年2月4日/最終改定:令和3年11月19日。発生状況の数値は令和8年6月30日更新) mhlw.go.jp
    2026年9月18日確認。令和7年の食中毒発生状況(総事件数1,172件のうち462件・39.4%、総患者数24,727名のうち18,566名・75.1%)、5つの感染経路と食品取扱者を介した事例の増加、加熱条件85〜90℃で90秒以上とコーデックス委員会のガイドライン、手洗いの方法と石けん・エタノールの位置づけ、調理器具の消毒濃度(約200 ppm)と熱湯85℃以上1分、吐ぶつ処理の手順と床200 ppm・廃棄袋1,000 ppm、乾燥による空気中への拡散と12日以上前のカーペットの事例、症状改善後の排泄期間と不顕性感染、リネン類と環境の消毒、相談先に関する引用はこのページに基づきます。

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