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結論:普通のマスクでも約70%、花粉症用なら約84%減ります
環境省の「花粉症環境保健マニュアル2022」(2022年3月改訂版)には、マスクとメガネの効果が数字で書かれています。
| 装備 | 使用しない場合との比較 |
|---|---|
| 通常のマスク | 花粉をおよそ70%削減 |
| 花粉症用のマスク | およそ84%減少 |
| 通常のメガネ | 眼に入る花粉量がおよそ40%減少 |
| 防御カバーのついた花粉症用のメガネ | およそ65%減少 |
このマニュアルは、保健師など保健指導にかかわる方々をはじめ、一般の方に向けて作られたもので、全58ページです。
1. マスクは「フィット」がすべて
マニュアルの書き方はこうです。
マスクの装用は通常のマスクでもかなり花粉を減らし、鼻の症状を軽くする効果があります。大事なことは顔にフィットするものを選ぶことで、横に隙間ができるとそこから花粉が入ってしまいます。
推奨されるのは、顔にフィットし、息がしやすいもの。衛生面からは毎日交換する使い捨てのものです。
2. インナーマスクという方法
マスクの内側にガーゼを当てること(インナーマスク)で、さらに鼻に入る花粉が減少することが分かっている、とされています。マニュアルには作り方まで載っています。
| # | 手順 |
|---|---|
| 材料 | 市販のガーゼと化粧用のコットン |
| 1 | ガーゼを縦横10cm程度に切り、2枚用意 |
| 2 | 化粧用のコットンを丸めて、1枚のガーゼでくるむ(これがインナーマスク) |
| 3 | 市販の不織布のマスクに、もう1枚のガーゼを4つ折りにしてあてる |
| 4 | 鼻の下に、ガーゼでくるんだコットン(インナーマスク)を置く |
| 5 | 3のガーゼをあてたマスクを装着する |
| 6 | 息が苦しい場合にはコットンの厚さを半分にする |
3. コンタクトはメガネに替えたほうがよい
マニュアルは、コンタクトレンズについてこう述べています。
花粉の飛散している季節にコンタクトレンズを使用すると、コンタクトレンズによる刺激が花粉によるアレルギー性結膜炎の症状を悪化させる可能性があるため、メガネに替えた方がよいと考えられています。
4. 服の素材で違いが出ます
ウール製の衣類などは、木綿や化繊に比べて花粉が付着しやすく、花粉を屋内に持ち込みやすいとされています。外出の際、外側にウール素材の衣服を着用することは避けた方がよい、という結論です。
また、同じ繊維でも織り方や用途によって付着の程度が大きく異なることもあります。日中屋外に4時間放置したときの各種繊維への付着数を見ると、繊維の種類や織り方で付着量が大きく違う、とされています。
人体で花粉が付着しやすいのは、露出している頭、顔、手です。
- 頭と顔は、つばの広い帽子をかぶることで付着量を減らせる
- 手は、手袋を使うことで減らせる
そして、洗濯物や布団を外に干さないことも挙げられています。
5. 花粉が多い日の条件
スギ花粉は、飛散が始まって7日から10日後くらいから量が多くなり、その後4週間程度が花粉の多い時期に当たります。この期間内に次のような天気になると特に多くなります。
- 晴れて、気温が高い日
- 空気が乾燥して、風が強い日
- 雨上がりの翌日や、気温の高い日が2〜3日続いたあと
時間帯については、マニュアルは「花粉は昼前後と夕方に多く飛散します」としています。
6. うがいと洗顔、鼻うがいの注意
うがいは喉に流れた花粉を除去する効果があります。外出から帰ったらうがいをしましょう、とされています。洗顔も有効ですが、注意点があります。
しかし、丁寧に洗顔をしないと眼や鼻の周囲についた花粉が侵入し、かえって症状が悪化することがあります。また、水道水で洗うと粘膜を傷めることがありますので、生理食塩水(食塩を0.9%の濃度に溶かした蒸留水)を鼻の場合は体温程度に温めて、目は少し冷やして使用するとよいでしょう。
頭髪にも花粉が付着するので、毎日シャンプーをするのも効果的とされています。
7. ばく露を防ぐための項目
マニュアルが「花粉のばく露を防ぐために」として挙げているのは6項目です。
- マスク
- メガネ
- 服装
- 手洗い、洗顔
- 室内の掃除、換気
- 花粉の多い時間帯の外出を避ける
加えて、一般的な注意事項として、睡眠をよくとること、規則正しい生活習慣を身につけることが正常な免疫機能を保つために重要であること、風邪をひかないこと、飲酒・喫煙を控えることが鼻の粘膜を正常に保つために重要であることが挙げられています。
8. 症状が出たら:初期療法という考え方
マニュアルは、治療について次のように整理しています。
最近は初期療法といって、花粉の飛散開始前または症状の極軽い時から薬物を予防的に服用することで、症状の発現を遅らせたり、症状を軽くしたりする方法が用いられることが多くなっています。
市販薬も使われますが、症状が重い場合には耳鼻咽喉科や眼科での受診が勧められています。他に内科や小児科、アレルギー科などでも診療を受けられます。
風邪との見分け方も書かれています。花粉症の季節は風邪が流行する時期と重なり、くしゃみや鼻水という初期症状は似ています。ただし花粉症では眼のかゆみを伴うことが多く、風邪と違って熱が高くなることはありません。
なお、ステロイド点眼薬については注意があります。眼圧上昇などの副作用があり、放置すると緑内障にいたる危険性もあるため、使用中には定期的な眼科受診が必要とされています。
9. 完治の可能性があるのは免疫療法だけ
花粉症が完治する可能性があるのはアレルゲン免疫療法(減感作療法)だけですが、副作用や治療に長期の時間が必要なことなどの問題がある割には完治する率があまり高くありませんでした。近年、重篤な副作用が少なく、頻繁に医療機関を受診する必要のない舌下免疫療法が実用化され、良い治療成績をあげています。
そして、セルフケアとメディカルケアの関係について、マニュアルはこう結んでいます。現在は薬物だけでは症状を完全におさえることは難しく、自らが花粉のばく露から身を守るセルフケアと、薬物を用いるメディカルケアを同時に行うことが必要である、と。
実務としてやること
- マスクは顔にフィットするものを選ぶ(横の隙間をなくす)。毎日交換する
- 症状が強い日は、インナーマスクを試す(ガーゼ2枚と化粧用コットン)
- 飛散期はコンタクトをやめてメガネにする
- 外出時、外側にウールの服を着ない。つばの広い帽子と手袋を使う
- 洗濯物と布団を外に干さない
- 帰宅したらうがい、洗顔、シャンプー。洗顔は丁寧に
- 飛散開始前から受診を検討する(初期療法)
- くしゃみ・鼻水に加えて眼のかゆみがあり、熱が高くなければ花粉症の可能性を考える
FAQ
花粉症用のマスクは、そんなに違いますか
マニュアルの実験値では、通常のマスクが約70%削減、花粉症用が約84%減少です。差はありますが、通常のマスクでも「かなり花粉を減らし、鼻の症状を軽くする効果があります」とされています。フィットしていることのほうが重要だ、というのがマニュアルの書き方です。
鼻うがいに水道水を使ってはいけませんか
マニュアルは「水道水で洗うと粘膜を傷めることがありますので、生理食塩水(食塩を0.9%の濃度に溶かした蒸留水)を鼻の場合は体温程度に温めて」使うとよいとしています。
舌下免疫療法は誰でも受けられますか
マニュアルには、実用化され良い治療成績をあげているという記載はありますが、適応や費用については本記事では確認していません。医療機関にご相談ください。
飛散情報はどこで見られますか
環境省は花粉の観測データ(スギ花粉、ヒノキ花粉、スギ・ヒノキ花粉合計)や雄花花芽調査結果を公表しています。マニュアルも「花粉の飛散予測情報を有効に使いましょう」としています。
このマニュアルはいつのものですか
2022年3月改訂版です。環境省は令和4年3月8日に改訂を発表しています。より新しい版が出ている可能性があるため、環境省のページでご確認ください。
参照した一次情報
- 環境省「花粉症環境保健マニュアル2022」(2022年3月改訂版) env.go.jp(PDF)
2026年9月21日確認。マスク・メガネの削減率、マスクのフィットと使い捨ての推奨、インナーマスクの効果と作成方法、コンタクトレンズをメガネに替えた方がよい旨、ウール素材と付着率、帽子と手袋、洗濯物や布団を外に干さないこと、花粉の多い日の3条件と昼前後・夕方に多い旨、飛散開始後7〜10日で増え4週間程度続く旨、うがい・洗顔と生理食塩水(0.9%)、ばく露を防ぐ6項目、初期療法、風邪との見分け方、ステロイド点眼薬の注意、アレルゲン免疫療法と舌下免疫療法、セルフケアとメディカルケアの併用に関する記述はこの資料に基づきます。 - 環境省「花粉症に関する情報」 env.go.jp
2026年9月21日確認。マニュアルの改訂時期(令和4年3月8日発表)、花粉観測データや雄花花芽調査結果の公表に関する記述はこのページに基づきます。
いずれも2026年9月21日に確認しました。マスク・メガネの削減率はマニュアルに実験値として掲載されているものです。
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この記事は、公表されている一次情報をもとに整理したものです。治療や薬の選択については医療機関にご相談ください。


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