「数量限定」だけでは限定を書いたことになりません|おとり広告の運用基準

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結論:「数量限定」とだけ書くのは、限定の内容を書いたことになりません

おとり広告とは、広告やビラ等における取引の申出に係る商品または役務が、実際には申出どおり購入できないにもかかわらず、一般消費者がこれを購入できると誤認するおそれがある表示のことです。景品表示法に基づく告示(平成5年公正取引委員会告示第17号)で規制されています。

実務でいちばん引っかかりやすいのが、数量限定の書き方です。運用基準はこう定めています。

販売数量が著しく限定されている場合には、実際の販売数量が当該広告、ビラ等に商品名等を特定した上で明瞭に記載されていなければならず、販売数量が限定されている旨のみが記載されているだけでは、限定の内容が明瞭に記載されているとはいえない。

「数量限定」「なくなり次第終了」だけでは足りず、商品名を特定したうえで実際の数量を書く必要がある、ということです。

1. 「著しく限定されている」の基準

運用基準には数値の目安があります。

供給量が「著しく限定されている」とは、広告商品等の販売数量が予想購買数量の半数にも満たない場合をいう。

予想購買数量は、その店舗で従来、同様の広告やビラにより同一または類似の商品について行われた取引の申出に係る購買数量、広告商品等の内容、取引条件等を勘案して算定します。

なお、注記で逆のケースも挙げられています。供給量が限定されていることにより、その商品が著しく優良である、または取引条件が著しく有利であることを強調する表示を行っているにもかかわらず、実際には限定量を超えて取引に応じる場合には、景品表示法第5条第1号または第2号の規定に違反するおそれがあります。「限定10個」と言って大量に売るのも、問題になり得ます。

2. 「取引を行うための準備がなされていない場合」の例

告示第1号に当たる場合として、運用基準は次を例示しています。

#
1 その店舗で通常は店頭展示販売されている商品について、広告商品が店頭に陳列されていない場合
2 引渡しに期間を要する商品について、広告商品については当該店舗における通常の引渡期間よりも長期を要する場合
3 広告、ビラ等に販売数量が表示されている場合であって、その全部または一部について取引に応じることができない場合
4 広告、ビラ等において写真等により表示した品揃えの全部または一部について取引に応じることができない場合
5 単一の事業者が同一の広告、ビラ等で複数の店舗で販売する旨を申し出る場合であって、掲載された店舗の一部に広告商品等を取り扱わない店舗がある場合
「おとり広告に関する表示」等の運用基準より

また「取引に応じることができない場合」として、①広告商品等が売却済である場合、②広告商品等が処分を委託されていない他人の所有物である場合が挙げられています。

3. 救済されるケースもあります

運用基準には、次の但し書きがあります。

このような場合において、それが当該事業者の責に帰すべき事由以外によるものと認められ、かつ、広告商品等の取引を申し込んだ顧客に対して、広告、ビラ等において申し出た取引条件で取引する旨を告知するとともに希望する顧客に対しては遅滞なく取引に応じているときには、不当表示には当たらないものとして取り扱う。

3つの条件がそろったときです。

  1. 事業者の責めに帰すべき事由以外によるものと認められる
  2. 申し込んだ顧客に、広告で申し出た取引条件で取引する旨を告知する
  3. 希望する顧客には遅滞なく取引に応じている

仕入先の事情で入荷しなかった、といった場合でも、来た人に「同じ条件で取り寄せます」と伝えて実際に対応していれば、不当表示にはあたらない扱いになります。逆に、何も告知せず「売り切れです」で終わらせると、そのまま問題になります。

4. 複数店舗で出す広告の書き方

1つの事業者が同じ広告で複数店舗の販売を申し出る場合、原則として各店舗ごとの販売数量を明記する必要があります。

広告スペース等の事情で困難な場合は、次の3点をセットで表示します。

  • 広告に記載された全店舗での総販売数量
  • 店舗により販売数量が異なる旨
  • 全店舗のうち最も販売数量が少ない店舗における販売数量

高額な耐久財等について全店舗の販売数量が一括管理されており、総販売数量に達するまではいずれの店舗でも取引する場合には、その旨の表示がなされていれば足ります。

そして、いずれの場合でも、広告した商品の取引を行わない店舗がある場合には、その店舗名が記載されている必要があります。記載がなければ、その店舗では告示第1号(取引を行うための準備がなされていない場合)に当たります。

5. 期間・相手方・1人あたりの数量も同じ

告示第3号について、運用基準はこう定めています。供給期間、供給の相手方または顧客一人当たりの供給量の限定については、実際の販売日、販売時間等の販売期間、販売の相手方または顧客一人当たりの販売数量が広告に明瞭に記載されていなければならず、これらについて限定されている旨のみが記載されているだけでは、限定の内容が明瞭に記載されているとはいえません。

「お一人様限定」ではなく「お一人様1点まで」。「期間限定」ではなく「○月○日まで」。そういう書き分けです。

6. 併せて問題になりやすい表示

運用基準の第3には、景品表示法第5条第1号・第2号の典型的な問題例が挙げられています。廉価販売の広告をするときに同時に起きやすいものです。

内容について(第5条第1号)

  • 実際に販売される商品が、キズ物、ハンパ物、中古品等であるにもかかわらず、その旨の表示がない場合
  • 新型の商品であるかのように表示されているにもかかわらず、実際に販売される商品が旧型品である場合
  • 実際に販売される商品が特売用のものであり通常販売品と内容が異なるにもかかわらず、通常販売品であるかのように表示されている場合

取引条件について(第5条第2号)

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1 実際には値引き除外品または値引率のより小さい商品があるにもかかわらず、その旨の明瞭な記載がなく、「全店3割引」「全商品3割引」「○○メーカー製品3割引」等と表示されている場合
2 実際の販売価格が自店通常価格と変わらないにもかかわらず、自店通常価格より廉価で販売するかのように表示されている場合
3 表示された価格に加え、通常は請求されない配送料、加工料等の付帯費用、容器・包装料、手数料等の支払を要するにもかかわらず、その内容が明瞭に記載されていない場合
4 「閉店」「倒産」等の特売を行う特別の理由や、「直輸入」「直取引」等の安く販売できる理由を表示しているにもかかわらず、実際には自店通常価格で販売を行っている場合
5 消費税、容器料等込みで設定されているメーカー希望小売価格等を比較対照価格とする二重価格表示において、当該店舗における販売価格が消費税、容器料等抜きで記載されている場合

1番目は「全品3割引」と大きく出して、隅に小さく除外品を書く、というパターンです。3番目は、送料や加工料が別にかかるのに本体価格だけを見せる書き方です。

7. 運用の重点

運用基準は、留意事項として次を挙げています。

  • 広告、ビラ等において、通常よりも廉価で取引する旨の記載を伴う商品または役務についての表示であって、告示各号に該当するものに重点を置く
  • 違反行為の未然防止を図るため告示の普及・啓発に努めるとともに、違反事件については引き続き厳正かつ迅速に対処する
  • 関係業界において公正競争規約等が設定されている場合には、その定めるところを参酌する

「安さ」を打ち出す広告が重点対象だということです。

実務としてやること

  • 数量限定をうたうなら、商品名と実際の数量を書く(「数量限定」だけにしない)
  • 期間限定なら、実際の販売日・時間を書く
  • 「お一人様○点まで」の数字を書く
  • 複数店舗のチラシなら、店舗ごとの数量を書く。難しければ総数+差がある旨+最少店舗の数量を書く
  • 取り扱わない店舗があるなら、その店舗名を書く
  • 「全品○割引」なら、除外品の有無を明瞭に書く
  • 送料・加工料・手数料が別にかかるなら、その内容を明瞭に書く
  • 予定どおり用意できなかったときは、来店客に「同じ条件で取引する」旨を告知し、遅滞なく応じる

FAQ

「なくなり次第終了」と書けば足りますか

運用基準は「販売数量が限定されている旨のみが記載されているだけでは、限定の内容が明瞭に記載されているとはいえない」としています。実際の販売数量を商品名を特定したうえで書く必要があります。

ネット通販にも当てはまりますか

告示は「広告、ビラ等」における取引の申出を対象としています。景品表示法上の表示にはインターネットによる広告も含まれます。個別の判断については消費者庁にご確認ください。

在庫が急に切れたら、必ず違反ですか

いいえ。事業者の責めに帰すべき事由以外によるものと認められ、かつ申し込んだ顧客に広告どおりの条件で取引する旨を告知し、希望する顧客に遅滞なく応じているときは、不当表示にあたらないものとして取り扱われます。

「限定30食」と書いて、多く出してしまうのは問題ですか

運用基準の注記は、供給量が限定されていることにより著しく優良・有利であることを強調する表示をしているにもかかわらず、実際には限定量を超えて取引に応じる場合、景品表示法第5条第1号または第2号に違反するおそれがあるとしています。

この運用基準はいつのものですか

平成5年4月28日の事務局長通達第6号が最初で、平成12年6月30日に変更、平成28年4月1日に消費者庁長官決定として変更されています。

参照した一次情報

  • 公正取引委員会「「おとり広告に関する表示」等の運用基準」(平成5年4月28日事務局長通達第6号、平成12年6月30日変更、平成28年4月1日消費者庁長官決定) caa.go.jp(PDF)
    2026年9月21日確認。おとり広告規制の趣旨、運用の重点、「取引を行うための準備がなされていない場合」「取引に応じることができない場合」の例示、不当表示に当たらないものとして扱われる3条件、「著しく限定されている」=予想購買数量の半数未満という基準、限定の内容を明瞭に記載する必要、複数店舗で販売する場合の表示方法、供給期間・相手方・一人当たり供給量の限定の書き方、景品表示法第5条第1号・第2号の典型的な問題例に関する記述はこの資料に基づきます。
  • 不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)第5条 e-gov.go.jp
    2026年9月21日確認。条文の内容はこの法令に基づきます。

いずれも2026年9月21日に確認しました。

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この記事は、公表されている一次情報をもとに整理したものです。個別の表示の適否については、消費者庁または専門家にご確認ください。

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