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結論:安い価格を出すなら、その価格が成り立つ条件を同じ場所に読める大きさで書きます
携帯電話端末の店頭広告について、消費者庁は平成30年11月13日に景品表示法上の考え方を公表しています。問題になる型が具体例つきで7つ、加えて限定表示の型が2つ挙げられています。
この考え方は携帯電話を題材にしていますが、「安い価格を強調し、その適用条件を小さく書く」構造はどの業種にも当てはまります。打消し表示の扱いについての整理としても読める資料です。
1. 何が問題とされているのか
消費者庁は2つの段階で問題を指摘しています。
特段の条件なく安価に携帯電話等を購入できるかのように表示しているが、実際には、当該代金で携帯電話等を購入するためには様々な適用条件が設定されており、当該代金を支払うだけでは携帯電話等を取得できないような場合がある。
さらに続けて、条件を書いていても足りない場合があるとしています。
当該適用条件が広告に記載されていたとしても、例えば、文字が小さい場合や配置箇所が強調された代金の表示と離れている場合など、一般消費者がその内容を正しく認識できないような場合は、同じく景品表示法上問題となるおそれがある
つまり書いたかどうかではなく、読めるかどうかが問われます。
2. 適用条件を書いていない7つの型
| 型 | 書かれていない条件 | 資料の表示例 |
|---|---|---|
| ア | 指定の回線契約が必要 | 「格安!SIMフリースマホ」「特価10,000円」 |
| イ | 他社からの乗換え限定、かつ一定期間の契約継続が前提 | 「格安端末」「本体一括2,018円」 |
| ウ | 有料オプションへの加入が必要、かつ一定期間の契約継続が前提 | 「特別価格!!」「実質負担金0円」 |
| エ | 携帯以外の通信サービス(固定回線など)への加入が必要 | 「新規限定」「本体価格1円」 |
| オ | キャッシュバックに別の条件がある | 「他社からのりかえ+購入で」「10,000円キャッシュバック」 |
| カ | 下取りが前提 | 「大特価商品」「1,080円」 |
| キ | 条件があるのに「詳しくは店員に」だけで、その記載も認識できない | 「本体特価9,980円」+認識できない「詳しくは店員に」 |
イの例では、「本体一括2,018円」とするために最低12か月の利用を約束する購入サポートが必要で、12か月以内に解約すると2年契約の違約金とは別に30,000円の違約金がかかる、という条件が書かれていませんでした。
ウの例では、端末代を24で割った額を毎月の通信料から割り引くプランへの加入が必要で、24か月以内に解約すると2年契約の違約金と割賦支払金額の残額を負担することになっていました。
3. カの下取りは「条件の条件」まで問われます
下取りの型には、さらに踏み込んだ記述があります。
下取りキャンペーンが適用された場合の価格であることが明瞭に記載されていたとしても、例えば、「下取り対象機種に故障がなく正常に動作すること」が条件であるにもかかわらず、このことが明瞭に記載されていないなど、下取りキャンペーンの適用条件が明瞭に記載されていない場合も、景品表示法上問題となるおそれがある
「下取り適用時の価格です」と書くだけでは足りず、下取りが成立する条件まで書く必要があるという整理です。
4. エには解約のときの誤認についての注意もあります
固定回線などへの加入が条件で、しかもその提供事業者が携帯の通信事業者と違う場合について、資料はこう書いています。
一般消費者が携帯電話等の通信契約を解約する際に、同契約を解約したことをもって、他の通信サービスも解約できると誤認し、意図せず他の通信サービスの利用料金を支払い続けてしまうことがある。このような誤認を招かないよう、事業者においては、解約手続を明瞭に記載し、かつ丁寧な説明を行うことが求められる。
5. 台数限定と期間限定の2つの型
| 型 | 表示 | 実際 |
|---|---|---|
| 台数限定 | 「10台限り」「本体特価9,980円」 | 販売台数に限定がない |
| 期間限定 | 「期間限定 9月30日まで」「10,000円」 | 販売期間の延長が繰り返されている |
期間限定のほうは、その日に本当に終わるかどうかが問われています。延長を繰り返していれば限定になっていません。
6. 規制対象になる「表示」の範囲
資料の脚注は、景品表示法上の表示の範囲を挙げています。
商品パッケージ、チラシ、ポスター、看板、放送、インターネット広告などのほか、口頭による広告(セールストーク)や、事業者によるTwitter等のSNS上の表示も含まれる。
店頭での口頭説明も表示です。だから「詳しくは店員に」と書いても、広告側の説明不足が解消されるわけではありません。
7. 打消し表示についての3つの調査
脚注では、消費者庁が公表した実態調査報告書が3つ挙げられています。
- 打消し表示に関する実態調査報告書(平成29年7月公表)
- スマートフォンにおける打消し表示に関する実態調査報告書(平成30年5月公表)
- 広告表示に接する消費者の視線に関する実態調査報告書(平成30年6月公表)
これらで実証されたこととして、資料は次の3点を挙げています。打消し表示の文字が小さい場合、配置場所が強調表示から離れている場合、表示されている時間が短い場合には、消費者が打消し表示に気付かない、または気付いても強調表示と一体として認識できないため、取引条件を正しく認識できない、というものです。
実務としてやること
- 広告で強調している価格を1つ選び、その価格が成り立つために必要なことを全部書き出す。契約、乗換え、オプション、他サービス、下取り、期間の縛りを漏らさない。
- 書き出した条件が広告に載っているかを確認する。載っていないものを足す。
- 載っている条件について、強調した価格と同じ視界に入る位置にあるか、読める大きさかを確認する。離れていれば近づける。
- 下取りやキャンペーンが条件なら、その条件が成立する要件(故障がないこと、対象機種であることなど)も書く。
- 「詳しくは店員に」で済ませている箇所があれば、金額に関わる条件は本文に書く。
- 「○台限り」「○月○日まで」と書いているなら、実際にその台数・期日で終えているかを確認する。延長しているなら表現を変える。
- 動画やWeb広告では、打消し表示が表示される時間も確認する。
よくある質問
携帯電話以外の業種でも参考になりますか
資料自体は携帯電話等の移動系通信の端末の販売を対象にしています。ただし問題の構造は、安い価格の強調と適用条件の打消し表示という一般的なものです。強調表示と打消し表示の関係についての考え方は他の業種の広告にも当てはまります。
条件を注釈で小さく書くのは常にだめですか
資料は文字の大きさや配置場所を例として挙げており、一般消費者が強調表示と打消し表示を一体として認識できるかどうかで判断されます。具体的に何ポイント以上という基準は、この資料には示されていません。
キャッシュバックの条件はどこまで書くのですか
資料のオの例では、有料オプションへの加入と家族複数名での契約が条件でした。キャッシュバックを受けられるかどうかを左右する条件は書く必要があります。
この考え方はいつ公表されたものですか
平成30年11月13日です。消費者庁はその後、平成31年6月25日に「携帯電話端末の店頭広告表示等の適正化について」も公表しています。
参照した一次情報
- 消費者庁「携帯電話等の移動系通信の端末の販売に関する店頭広告表示についての景品表示法上の考え方等の公表について」(平成30年11月13日) caa.go.jp(PDF)
2026年9月27日確認。ア〜キの7類型と表示例、台数限定・期間限定の2類型、下取り条件の記述、解約時の誤認についての注意、規制対象となる表示の範囲、3つの実態調査報告書に関する記述はこの資料に基づきます。 - 消費者庁「景品表示法関係ガイドライン等」 caa.go.jp
2026年9月27日確認。平成31年6月25日公表の「携帯電話端末の店頭広告表示等の適正化について」が掲載されていることを確認しました。
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この記事は公開されている考え方の記述を整理したものです。個別の広告が景品表示法に適合するかどうかの判断は、消費者庁または各都道府県の表示担当窓口にご確認ください。携帯電話の料金プランや契約に関する規制は電気通信事業法にも定めがあります。


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