比較広告は禁止されていません|不当表示にならないための3要件

広告と表示のルール

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結論:比較広告そのものは禁止されていません。3つの要件を全部満たせば問題になりません

「A社の製品より○○が優れています」という広告は、景品表示法で禁止されているわけではありません。消費者庁(もとは公正取引委員会)の「比較広告に関する景品表示法上の考え方」は、冒頭でこう述べています。

景品表示法第4条は、自己の供給する商品の内容や取引条件について、競争事業者のものよりも、著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認される表示を不当表示として禁止しているが、競争事業者の商品との比較そのものについて禁止し、制限するものではない。

(同指針の注記により、平成28年4月1日以降は第5条にあたります。)

そして、望ましい比較広告とは「一般消費者が商品を選択するに当たって、同種の商品の品質や取引条件についての特徴を適切に比較し得るための具体的情報を提供するもの」とされています。

不当表示にならないために必要なのは、次の3要件をすべて満たすことです。

# 要件
① 比較広告で主張する内容が客観的に実証されていること
② 実証されている数値や事実を正確かつ適正に引用すること
③ 比較の方法が公正であること

1. ①実証:主張した範囲すべてに根拠が要ります

実証が必要な範囲は、比較広告で主張する事項の範囲です。指針の例で言えば、「某市で調査した結果、A商品よりB商品の方が優秀であった」という広告をするなら、次の2つが必要になります。

  • 某市において、A商品とB商品との優秀性に関する調査が行われていること
  • 主張するような調査結果が出ていること

実証の方法は、確立された方法があるならそれによります(指針は自動車の燃費効率について10モード法を例示しています)。ない場合は「社会通念上及び経験則上妥当と考えられる方法」——例として、無作為抽出法で相当数のサンプルを選び、作為が生じないように考慮して行う調査方法が挙げられています。

どの程度の調査が要るかは、規模によって変わります。指針はこう書いています。

一般に、自社製品と他社製品に対する消費者のし好の程度について、相当広い地域で比較広告を行う場合には、相当数のサンプルを選んで行った調査で実証されている必要がある。これに対して、中小企業者が、味噌のような低額の商品について、一部の地域に限定して比較広告を行うような場合には、比較的少ない数のサンプルを選んで行った調査で足りる。

また、公的機関が公表している数値や事実、および比較対象商品等を供給する事業者がパンフレット等で公表し、かつ客観的に信頼できると認められる数値や事実については、実証されているものとして取り扱うことができます。競合のカタログスペックを引く、というやり方はここに入ります。

調査機関は第三者(国公立の試験研究機関等の公的機関、中立的な立場で調査・研究を行う民間機関等)であることが望ましいとされていますが、第三者でなくとも実証方法等が妥当である限り、比較広告の根拠として用いることができます。

2. ②引用:条件を超えて広げないこと

「正確かつ適正に引用する」ために、指針は2点を挙げています。

実証されている事実の範囲内で引用すること。調査が限られた条件の下で行われているなら、その条件の下での比較として引用する必要があります。指針の例は、温暖地用のエンジンオイルについて温暖地での比較実験の結果のみを根拠に、自社製品が国内のすべての地域において優秀だと主張する場合です。

調査結果の一部を引用する場合は、調査結果の趣旨に沿って引用すること。指針の例は、多数の項目にわたって比較テストをしている調査結果のうち、自分の判断でいくつかの項目を恣意的に取り上げ、評価を点数化して平均値を求めるなどして、本来の趣旨とは異なる形で引用する場合です。

さらに、調査方法に関するデータの表示についてはこう整理されています。

状況 扱い
調査機関・調査時点・調査場所等を広告中に表示する 適当(一般消費者が調査結果を正確に認識できるようにするため)
広告スペース等の関係で表示しないが、調査方法を適切に説明できる 特に問題ない
調査機関や調査時点等をあえて表示せず、客観性や調査時点について誤認を生じさせる 不当表示となるおそれ

指針が挙げる不適切な例は、自社で行った調査や相当以前に行った調査であるのに「近時における権威ある調査によれば」といった文言を用いる場合です。

3. ③公正さ:比較項目と比較相手の選び方

ここが実務でいちばん判断に迷うところです。

比較項目の選択。一般に、どのような事項について比較しても特に問題ありません。ただし、特定の事項について比較し、それが商品全体の機能・効用等にあまり影響がないにもかかわらず、あたかも全体が優良であるかのように強調する場合は、不当表示となるおそれがあります。指針の例は、瑣末な改良にすぎないものを「画期的な新製品」であるかのように表示する場合です。

比較対象の選択。一般に、競争関係にあるどのような商品を選んでも特に問題ありません。ただし、次のような場合は不当表示となるおそれがあります。

やり方 指針の例
同等と認識されていないものと比較し、同等のものとの比較であるかのように表示する 自社のデラックス・タイプの自動車の内装と、他社のスタンダード・タイプの内装を比較し、グレイドが異なることに触れない
製造・販売が中止されている商品と比較し、現行品との比較であるかのように表示する 自社の新製品と他社の製造中止済みの旧型製品を比較し、旧型との比較であることに触れない

短所の表示。一般に、ある事項を比較する際、付随する他の短所を表示しなくても特に問題ありません。ただし、表示を義務付けられている事項や通常表示されている事項であって、主張する長所と不離一体の関係にある短所について、殊更表示しなかったり明瞭に表示しなかったりする場合は、不当表示となるおそれがあります。

指針の例は、土地の価格を比較する場合に、自社が販売する土地には高圧電線が架設されているため安価だという事情に触れない場合です。「安い理由が短所そのもの」というケースです。

4. 中傷・ひぼうにわたるもの

中傷・ひぼうとは、商品等に関する具体的な情報を提供するためのものではなく、単に競争事業者やその商品を陥れるため、殊更その欠点を指摘するものをいいます。

  • 中傷・ひぼうとなる比較広告のうち事実に反するものは、一般消費者に誤認を与える場合には不当表示となるおそれがある
  • 事実に基づくものであっても、信用失墜、人身攻撃にわたるもの等は、広告全体として問題となりうる

5. まとめると、比較記事を書くときのチェックリスト

確認すること 満たしていないとどうなるか
主張している範囲すべてに根拠があるか 実証されていない事項を挙げての比較になる
調査の条件を超えて一般化していないか 実証の範囲外まで主張したことになる
調査結果の一部を、趣旨に沿って引用しているか 恣意的な点数化・平均化になる
調査機関・時点・場所を書いたか、書かないなら説明できるか 客観性や時点について誤認を生じさせる
比較項目は、商品全体の機能・効用に影響するものか 瑣末な違いを全体の優位のように見せることになる
比較相手は、同等のグレイドで、現行品か 同等でないものとの比較を同等のように見せることになる
長所と不離一体の短所を書いたか 商品全体について誤認を与える
具体的情報の提供になっているか、単なる悪口になっていないか 中傷・ひぼうと評価されうる

比較表や図を自分でつくる場合

比較広告では、調査機関・調査時点・調査場所といった前提条件を、比較の数値と同じ場所に置けるかどうかが実務上の分かれ目になります。数値だけを大きく出して条件を別の場所に押し込むと、誤認を生じさせる作りになりやすいためです。

表や図を自分で組む場合、ブラウザ上で完結するMiriCanvasのようなデザインツールを使うと、注記の位置や文字サイズを数値と一緒に調整しやすくなります。ただし、どのツールを使っても、書いてよい内容は上のチェックリストで決まります。ツールは表現を整えるものであって、根拠の代わりにはなりません。

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料金や無料で使える範囲は変更されることがあります。申込み前に提供元の表示をご確認ください(当サイトでは2026年9月21日時点の案件情報に基づいて掲載しています)。

実務としてやること

  • 比較する前に、主張したい範囲の根拠が揃っているかを確認する
  • 競合のスペックは、公的機関の公表値か、その事業者自身が公表している値を使う
  • グレイド・型番・年式を揃える。廃番品と比べない
  • 調査機関・調査時点・調査場所を、比較の数値と同じ場所に書く
  • 安い理由・軽い理由が短所そのものである場合は、それを書く
  • 「他社はひどい」という書き方ではなく、「この条件でこの数値」という書き方にする
  • 公表値は時点とともに記録し、改定があれば記事側も直す

FAQ

他社名を出さずに「A社」「某社」とすればよいですか

指針は比較広告を「これと競争関係にある特定の商品等を比較対象商品等として示し(暗示的に示す場合を含む)」比較する広告と定義しています。名前を伏せても、特定できる形で示していれば比較広告です。

自社の旧製品と比べるのは比較広告ですか

指針の定義は「競争関係にある特定の商品等」との比較です。自社の旧製品との比較は、この定義にそのまま当てはまるものではありません。ただし、景品表示法第5条は実際のものよりも著しく優良・有利であると誤認される表示を禁止しており、そちらの規制は別に働きます。

価格の比較も同じルールですか

指針は「商品等の内容又は取引条件に関して、客観的に測定又は評価することによって比較する広告」を対象としており、取引条件の比較も含まれます。なお、二重価格表示には別途「将来の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示に対する執行方針」などがあります。

第三者機関の調査でなければだめですか

いいえ。第三者機関の調査結果を用いることが望ましいとされていますが、「広告主と関係のない第三者の行ったものでなくとも、その実証方法等が妥当なものである限り、これを比較広告の根拠として用いることができる」とされています。

この指針はいつのものですか

昭和62年4月21日に公正取引委員会事務局が示したもので、平成28年4月1日に消費者庁が一部改正しています。条番号の読み替え(第4条→第5条)は、この改正によるものです。

参照した一次情報

  • 公正取引委員会事務局「比較広告に関する景品表示法上の考え方」(昭和62年4月21日、平成28年4月1日一部改正・消費者庁) caa.go.jp(PDF)
    2026年9月21日確認。比較そのものは禁止されていない旨、望ましい比較広告の定義、3要件、実証の範囲・方法・調査機関、引用の方法と調査方法に関するデータの表示、比較項目と比較対象の選択基準、短所の表示、中傷・ひぼうの扱い、暗示的に示す場合を含む定義に関する記述はこの資料に基づきます。
  • 不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)第5条 e-gov.go.jp
    2026年9月21日確認。条文の内容はこの法令に基づきます。

いずれも2026年9月21日に確認しました。広告案件の条件は2026年9月21日時点の案件情報に基づきます。料金・提供条件は変更されることがあります。

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この記事は、公表されている一次情報をもとに整理したものです。個別の表示の適否については、消費者庁または専門家にご確認ください。

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