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結論:15日以内に根拠資料を出せなければ、中身を調べられることなく不当表示とみなされます
景品表示法第7条第2項——通称不実証広告規制です。効果や性能をうたった広告について、消費者庁長官が裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、事業者が期間内に提出しないときは、消費者庁が「実際と違う」ことを立証するまでもなく、その表示は景品表示法第5条第1号に該当する表示とみなされます。
提出期限は、原則として求めた日から15日後です(不当景品類及び不当表示防止法施行規則第7条第2項)。延長は、書面で申し出て正当な事由があると認められた場合に限られます。しかも、運用指針にはこう書かれています。
新たな又は追加的な試験・調査を実施する必要があるなどの理由は、正当な事由とは認められない。
つまり、聞かれてから調べるのでは間に合わない制度です。指針も「そのような表示を行う事業者は、当該表示内容を裏付ける合理的な根拠をあらかじめ有しているべきである」と書いています。
1. なぜこの規定ができたのか
もともと、効果・性能に関する表示を不当表示として規制するには、公正取引委員会(当時)が専門機関を利用して調査・鑑定等を行い、表示どおりの効果・性能がないことを立証する必要がありました。
そのため、事業者が裏付けを全く持っていない場合でも、行政処分までに多大な時間を要し、その間に疑いのある商品・サービスが販売され続けて被害が拡大するおそれがありました。これを受けて平成15年5月23日に改正法が制定・公布され、同年11月23日に施行されています。
2. 対象になるのは「効果・性能」の表示です
商品・サービスの内容に関する表示のうち、原材料、成分、容量、原産地、等級、住宅等の交通の便、周辺環境などは、契約書等の書類や商品そのものを確認すれば実際と違うかどうかを判断できます。これらは通常、不実証広告規制の出番ではありません。
一方、痩身効果、空気清浄機能のような効果・性能に関する表示は、書類や商品を見ただけでは判断できず、専門機関による調査・鑑定が必要になります。この部分が不実証広告規制の対象です。
運用指針が挙げている過去の事例には、次のようなものがあります。
| 表示(商品) | 効果・性能 |
|---|---|
| 「使えば使うほど切れ味は鋭利になり」「研がなくても25年間、そのすばらしい切れ味は不変」(包丁) | 永続的な切断性能 |
| 「エンジンに取りつけるだけで25%燃費軽減!」(自動車用品) | 燃料消費量の節約効果 |
| 食事制限を伴わない減量をうたうもの(痩身効果を標ぼうする美容サービス、茶) | 食事制限を伴わない痩身効果 |
| 「ニキビ等どんな肌のトラブルも、リンゴの皮をむくようにスルリと優しくムキ取ります」(化粧品) | ニキビ除去効果 |
3. 「合理的な根拠」の2要件
提出した資料が合理的な根拠を示すものと認められるには、次の2つを両方満たす必要があります。
| # | 要件 |
|---|---|
| ① | 提出資料が客観的に実証された内容のものであること |
| ② | 表示された効果、性能と提出資料によって実証された内容が適切に対応していること |
①だけでは足りません。ちゃんとした試験データでも、書いてある内容とずれていれば認められない、というのが②です。
4. ①客観的に実証された内容とは
次のいずれかに該当するものです。
- 試験・調査によって得られた結果
- 専門家、専門家団体もしくは専門機関の見解または学術文献
試験・調査の場合、その方法は「学術界又は産業界において一般的に認められた方法又は関連分野の専門家多数が認める方法」によって実施する必要があります。指針が挙げている例は、日用雑貨品の抗菌効果試験をJISに規定する試験方法で実施したもの、繊維製品の防炎性能試験を消防法に基づき指定を受けた検査機関で実施したもの、などです。
確立された方法がない場合は「社会通念上及び経験則上妥当と認められる方法」で実施する必要があります。
試験を行った機関は第三者であることが望ましいとされていますが、上記の方法で実施されている限り、事業者自身が行った試験・調査でも根拠として提出できます。ここは誤解されやすい部分です。第三者機関でなければならない、という決まりではありません。
5. 体験談は根拠になりません
ここが、広告やレビュー記事を書く人にとってもっとも重要な部分です。運用指針は、消費者の体験談やモニターの意見等を根拠にする場合について、こう定めています。
これら消費者の体験談やモニターの意見等の実例を収集した調査結果を表示の裏付けとなる根拠として提出する場合には、無作為抽出法で相当数のサンプルを選定し、作為が生じないように考慮して行うなど、統計的に客観性が十分に確保されている必要がある。
そして、認められない例が3つ挙げられています。
| やり方 | なぜ認められないか |
|---|---|
| 自社の従業員やその家族など、利害関係を有する者の体験談を収集 | サンプルの抽出過程に作為的な要素を含み、自社に都合の良い結果となりがち |
| 積極的に体験談を送ってくる利用者の声だけを集める | そうした利用者は効果に著しく心理的な感銘を受けていることが予想され、意見が主観的になりがち。送付しなかった利用者を調査していない |
| 広い地域で販売する商品について、一部の地域で少数のモニターを選んで行った統計調査 | サンプル数が十分でない |
「お客様の声を集めました」という形式は、そのままでは根拠になりません。無作為抽出で、相当数のサンプルを、作為が生じないように選ぶ必要があります。
6. 専門家の見解にも条件があります
専門家等の見解や学術文献を根拠にする場合、その見解・文献は次のいずれかであれば客観的に実証されたものと認められます。
- 専門家等が、専門的知見に基づいて当該商品・サービスの表示された効果・性能について客観的に評価した見解または学術文献であって、当該専門分野において一般的に認められているもの
- 専門家等が、当該商品・サービスとは関わりなく、表示された効果・性能について客観的に評価した見解または学術文献であって、当該専門分野において一般的に認められているもの
逆に、特定の専門家等による特異な見解である場合や、新しい分野で専門家等が存在しない場合など、当該専門分野で一般的には認められていない場合は、客観的に実証されたものとは認められません。この場合は試験・調査で実証する必要があります。
「古来からの言い伝え」のような経験則を根拠にする場合も、専門家等の見解または学術文献によってその存在が確認されている必要があります。
7. ②「適切に対応している」とは
資料自体が客観的に実証された内容でも、表示との対応がずれていれば認められません。指針が挙げている例です。
| 表示 | 提出された資料 | 判断 |
|---|---|---|
| 紫外線を99%カットすると表示した衣料 | 当該素材が紫外線を50%遮断することを確認した学術文献 | 99%遮断することまで実証していない。対応していない |
| 「食べるだけで1か月に5kg痩せます」「○○大学△△医学博士の試験で効果は実証済み」 | 主成分の含有量、一般的な摂取方法および適度の運動によって脂肪燃焼を促進する効果が期待できることを確認した専門家の見解 | 「食べるだけで」5kg減量できることを実証していない。対応していない |
2つ目の例が分かりやすいです。「適度の運動と併せれば」というデータで「食べるだけで」とは書けません。
8. 販売する側(製造していない側)はどうするか
商品の効果・性能に関する表示は、製造業者から得た情報をもとに、販売業者が販売カタログや店舗内表示などで自ら行うこともあります。この場合について、指針はこう書いています。
販売業者が自ら実証試験・調査等を行うことが常に求められるものではなく、製造業者等が行った実証試験・調査等に係るデータ等が存在するかどうか及びその試験方法・結果の客観性等の確認を販売業者が自ら行ったことを示す書面等を当該表示の裏付けとなる根拠として提出することも可能である。
ポイントは「確認を自ら行ったことを示す書面」です。メーカーの言うことをそのまま書き写しただけでは足りず、データの存在と客観性を自分で確認した記録が要る、という整理になります。
9. 判断は「表示全体」で行われます
「著しく優良であると示す」表示かどうかは、特定の文章・図表・写真から受ける印象ではなく、表示内容全体から一般消費者が受ける印象・認識が基準になります。また、業界の慣行や事業者の認識ではなく、一般消費者にどう認識されるかで判断されます。
「著しく」とは、誇張の程度が社会一般に許容される程度を超えて、一般消費者の商品選択に影響を与える場合をいいます。
なお、景品表示法上の表示には、商品本体(容器・包装を含む)、店頭表示、チラシ広告、新聞・雑誌の広告のほか、テレビやインターネットによる広告も含まれます。
実務としてやること
- 効果・性能をうたうなら、書く前に根拠資料を手元に置く。聞かれてからでは間に合わない
- 体験談・口コミ・モニターの声は、そのままでは根拠にならない。無作為抽出・相当数のサンプルという条件を満たしていないものは使わない
- 試験データを引用するなら、条件の範囲を超えて書かない(50%のデータで99%と書かない)
- 「併用した場合」のデータで「これだけで」と書かない
- 他社の商品を紹介する立場なら、メーカーのデータの存在と客観性を自分で確認し、その確認を記録に残す
- キャッチコピーだけでなく、写真・図表を含めた表示全体でどう読めるかを確認する
FAQ
15日の起算日はいつですか
運用指針は「消費者庁長官が、文書により当該資料の提出を求めた日から、原則として15日後」としています。
延長は認められないのですか
事業者から書面により提出期限の延長の申出があり、正当な事由があると認められた場合には延長できます。ただし、何が正当な事由かは個別の事案ごとの判断であり、新たな・追加的な試験や調査を実施する必要があるという理由は正当な事由と認められない、と明記されています。
個人のブログやSNSも対象ですか
景品表示法が規制するのは、自己の供給する商品・サービスについて事業者が行う表示です。表示の主体が誰かという点は、ステルスマーケティング告示の考え方とも関わります。アフィリエイトの場合、広告主の表示と評価されうる点については別記事で扱っています。
自社で行った試験は認められないのですか
認められます。指針は、第三者機関の調査が望ましいとしつつ、「広告主と関係のない第三者の行ったものでなくとも、その実証方法等が妥当なものである限り」根拠として用いることができるとしています。
「個人の感想です」と書けば大丈夫ですか
本記事で参照した運用指針には、打消し表示を入れれば足りるという記述はありません。判断は表示内容全体から一般消費者が受ける印象・認識を基準に行われるとされています。打消し表示の効果についての消費者庁の考え方は、本記事では確認していません。
参照した一次情報
- 公正取引委員会「不当景品類及び不当表示防止法第7条第2項の運用指針―不実証広告規制に関する指針―」(平成15年10月28日、平成28年4月1日一部改正・消費者庁) caa.go.jp(PDF)
2026年9月21日確認。制度の趣旨と沿革、対象となる表示の範囲と事例、「合理的な根拠」の2要件、客観的に実証された内容の意味、体験談・モニターの意見を根拠とする場合の条件と認められない3例、専門家等の見解の条件、表示との対応が適切でない例、販売業者が確認を自ら行ったことを示す書面、提出期限が原則15日である旨と延長の扱いに関する記述はこの資料に基づきます。 - 不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)第5条第1号、第7条第2項 e-gov.go.jp
2026年9月21日確認。条文の内容はこの法令に基づきます。 - 不当景品類及び不当表示防止法施行規則(平成28年内閣府令第6号)第7条第2項 e-gov.go.jp
2026年9月21日確認。提出期限を定める規定はこの省令に基づきます。
いずれも2026年9月21日に確認しました。
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この記事は、公表されている一次情報をもとに整理したものです。個別の表示の適否については、消費者庁または専門家にご確認ください。


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