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結論:同意なしに広告宣伝メールは送れません。同意の記録は最後の送信から1か月保存します
店からのお知らせメール、キャンペーンのメール、新商品の案内——これらは特定電子メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)の対象です。原則として、あらかじめ同意した人にしか送れません(オプトイン方式)。
対象になるメールの範囲は、思っているより広いです。
- 広告宣伝のために送信される電子メール全般
- 携帯電話・スマートフォン・タブレット端末などで電話番号によりメッセージを送受信するサービス(SMSも対象)
- 他人の営業のために送信されるもの
- 海外から送信され、日本に着信する広告宣伝メール
一方、非営利団体や営業を営まない個人が送信する電子メールは対象外です。政治団体・宗教団体・NPO法人・労働組合等の非営利団体が送信するメールは、特定電子メールには当たりません。
1. 「広告宣伝メール」の線引き
ガイドラインは、該当するもの・しないものを具体的に挙げています。
| 該当する | 該当しない |
|---|---|
| 営業上のサービス・商品等に関する情報を広告・宣伝しようとするウェブサイトへ誘導することが送信目的に含まれる電子メール | 取引上の条件を案内する事務連絡や料金請求のお知らせなど、取引関係に係る通知であって広告・宣伝の内容を含まず、広告・宣伝のウェブサイトへの誘導もしないもの |
| SNSへの招待や懸賞当選の通知、友達からのメールや会員制サイトでの他の会員からの連絡などを装って営業目的のウェブサイトへ誘導しようとする電子メール | 単なる時候の挨拶であって、広告や宣伝の内容を含まず広告・宣伝のウェブサイトへの誘導もしないもの |
ポイントは「誘導が目的に含まれるか」です。本文が挨拶でも、末尾にキャンペーンページへのリンクを置けば広告宣伝メールになります。
2. 同意なしで送れる例外
原則は同意が必要ですが、例外があります。
| 例外 | 注意 |
|---|---|
| 取引関係にある者に送信する場合 | 通信販売などの電子メール広告の場合には特定商取引法が適用されるため、請求・承諾なしに送信することはできません |
| 名刺などの書面により自己のメールアドレスを通知した者に送信する場合 | |
| 自己のメールアドレスを通知した者に対し、同意の確認をするためのメール/契約や取引の履行に関する事項を通知するメールであって付随的に広告宣伝が行われているもの/フリーメールサービスを用いたメールであって付随的に広告宣伝が行われているもの | — |
| 自己のメールアドレスをインターネットで公表している者(個人の場合は、営業を営む場合の個人に限る)に送信する場合 | 公表と併せて「広告宣伝メールの送信をしないように求める旨」が公表されている場合は、同意なく送信できません |
名刺交換した相手に送れる、というのはよく知られていますが、その相手への通販の電子メール広告は特定商取引法で別途制限される点は見落とされがちです。
3. 同意の取り方で気をつける点
ガイドラインは、同意の取得方法について細かく書いています。実務で効くのは次の3点です。
デフォルトオフが推奨されています。申込みフォームの「メールマガジンを受け取る」にあらかじめチェックが入っている(デフォルトオン)状態は、推奨されていません。デフォルトオンにする場合は、チェックボックスがある旨の注意文を、利用者が明確に認識できる文字の大きさ・色等で表示するなどの工夫が必要だとされています。
「戻る」でチェックが復活するのは不適切です。ガイドラインは、利用者がチェックを外して次の画面に進んだのに、「戻る」ボタン等で前の画面に戻るとチェックが再度入った状態に戻る例を挙げ、こう書いています。
形式的に同意の通知がなされたとしても、利用者は同意をしない意思表示をしようとしていたものであり、有効な同意の意思表示がなされたとはいえない。
特に、前の画面に戻ったときに商品の選択など他の操作結果が引き継がれている場合、利用者がチェックの復活に気づくことは期待できない、とも書かれています。
ダブルオプトインが推奨されています。フォームで登録したあと確認メールを送り、そこから改めて同意を得る方式です。
なお、1つのメールアドレスを複数の人が使っている場合については、特段の事情がない限り、複数の使用者のうち一人が同意の通知をすれば送信が可能、とされています。
4. 同意の記録は「最後に送った日から1か月」
法第3条第2項により、同意を証する記録の保存が義務付けられています。保存すべき内容は、次のいずれかです。
- 同意を取得している個別のメールアドレスに関し、同意を取得した際の時期、方法等の状況を示す記録
- あて先とすることができるメールアドレスが区別できるようにされている記録に加えて、書面で同意を取得した場合は当該書面に記載した定型的な事項、メール送信で取得した場合は当該メールの通信文のうち定型的な事項、ウェブサイトから通信文を伝達して取得した場合は当該通信文のうち定型的な事項
保存期間は、施行規則第4条第2項で次のように定められています。
| 状況 | 保存期間 |
|---|---|
| 送信をしない場合 | 送信をしないこととした日までの間 |
| 送信をした場合 | その送信を最後にした日から起算して1か月を経過する日までの間 |
| 法第7条の措置命令を受けた場合 | 命令を受けた日等を基準に最長1年(区分ごとに規定あり) |
さらに、広告宣伝メールが特定商取引法上の通信販売電子メール広告などに該当する場合は、上記の記録に加えて、請求・承諾があったことを示す書面または電子データを、通信販売電子メール広告などを行った日から3年間保存する必要があります。
5. 本文に書かなければならないこと
法第4条により、次の事項を受信者の端末の画面に正しく表示させる必要があります。
| 表示事項 | 表示場所 |
|---|---|
| 送信者等の氏名または名称 | メール中の任意の場所で、受信者が容易に認識できる場所 |
| 受信拒否の通知を受けるためのメールアドレスまたはURL | 同上 |
| 受信拒否の通知ができる旨 | 通知先の直前または直後(送信に用いられたメールアドレスあてに返信することで通知できる場合は、任意の場所で容易に認識できる場所) |
| 送信者等の住所 | 任意の場所。リンク先での表示も可(その場合、表示場所を示す情報をメール中に表示) |
| 苦情・問合せ等を受け付けることができる電話番号、メールアドレス、URL | 同上 |
受信拒否の通知先としてURLを使う場合は、リンク先において受信拒否に必要な情報が明確かつ平易に提供され、受信拒否の通知が容易に行えるよう、必要な措置が講じられている必要があります。「配信停止はこちら」のリンク先がトップページだった、というのは足りません。
また、特定商取引法上の販売業者等と送信者等が異なる場合は、販売業者等の氏名または名称と、相手方が電子メール広告の提供を受けない旨の意思を表示するためのメールアドレスまたはURLも必要になります。
送信者情報(送信に用いたメールアドレス、IPアドレス、ドメイン名)を偽って送信することは禁止されています。
6. 受信拒否(オプトアウト)
同意を得ていても、受信拒否の通知を受けた場合は以後の送信が禁止されます。ガイドラインは、オプトアウトを簡便にする工夫として次を挙げています。
- URLをクリックすることで表示されるウェブサイトの画面で簡便にオプトアウトができるようにする
- 複数の広告・宣伝メールを送信している場合で、画面上で利用者が選択してオプトアウトできるようにしているときは、一括で全ての項目のオプトアウトができる設定を用意する
- 複数の者による送信について、ある者が責任を持って一括して同意を取るような場合は、オプトアウトも一回の手続でまとめて行えるようにすることが望ましい
総務省のパンフレットは、受信拒否の通知を受けた際には、後日、通知の有無について争いになることを避けるため、その記録を保存するよう求めています。
7. 罰則
| 違反 | 罰則 |
|---|---|
| 送信者情報を偽った送信 | 1年以下の懲役または100万円以下の罰金(法人の場合は行為者を罰するほか、法人に対して3,000万円以下の罰金) |
| 同意のない者への送信/受信拒否者への送信/表示義務違反/架空電子メールアドレスあて送信 | 総務大臣および内閣総理大臣による命令。命令に従わない場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金(法人の場合は行為者を罰するほか、法人に対して3,000万円以下の罰金) |
| 同意の記録義務違反 | 命令。従わない場合、100万円以下の罰金(法人の場合は行為者を罰するほか、法人に対して100万円以下の罰金) |
特定商取引法にも別途罰則があり、請求・承諾のない者への電子メール広告の提供等は100万円以下の罰金、虚偽・誇大広告や表示義務違反は1年以下の懲役または200万円以下の罰金(またはこれらの併科)とされています。
8. 誰が責任を負うのか
「送信者」とは電子メールを発信する操作の主体となる者、「送信委託者」とは電子メールの送信を委託した者で、送信先や送信事項について一定の指示をしている者と解されています。
一方、ガイドラインはこう整理しています。
単に広告の依頼を行っているだけの者や自らは電子メールを発信する操作をせずに他人に電子メール送信のためのシステムを提供しているだけのメール配信サービス事業者・配信ASP事業者は、送信者や送信委託者には該当しない。
配信ツールを使っているからツール会社の責任、とはなりません。誰に送るかを決めているのは自分です。
自社ドメインでメールを出す場合
本文の表示義務を満たしていても、送信元が無料メールアドレスのままだと、受信側のフィルタでスパムと判定されやすくなります。総務省も、なりすまし対策として送信ドメイン認証技術を取り上げています。
自社ドメインでメールを送る環境は、レンタルサーバーの契約に含まれていることが多く、独自ドメインのメールアドレスとあわせて用意できます。長く使う前提なら、独自ドメインとメールをまとめて管理できるところを選んでおくと、配信停止用のURLもサイトと同じドメインで用意しやすくなります。
料金、含まれるメールアカウント数、送信数の上限などの条件は変更されることがあります。申込み前に提供元の表示をご確認ください(当サイトでは2026年9月21日時点の案件情報に基づいて掲載しています)。なお、送信ドメイン認証の設定可否や具体的な手順は、当サイトでは確認していません。
実務としてやること
- 申込みフォームのチェックボックスをデフォルトオフにする
- 「戻る」でチェックが復活しないか、実際に操作して確かめる
- 同意した日時・方法をアドレスごとに記録する仕組みを作る(最後の送信から1か月保存、通販の電子メール広告なら3年)
- メール本文に、送信者名/受信拒否ができる旨/受信拒否の通知先(直前または直後)/住所/問合せ先を入れる
- 配信停止リンクの飛び先を、1〜2クリックで解除できる画面にする
- 解除を受けたら、その記録を残す
- 名刺交換だけを根拠に送る場合、その内容が通販の電子メール広告に当たらないかを確認する
FAQ
LINEの配信も対象ですか
本記事で参照した資料が明示しているのは、電子メールと、電話番号によりメッセージを送受信するサービス(SMS等)です。メッセージングアプリの配信がこの法律の対象になるかは、本記事では確認していません。
予約確認メールの末尾にキャンペーンのリンクを入れてもよいですか
自己のメールアドレスを通知した者に対しては、契約や取引の履行に関する事項を通知するメールであって付随的に広告宣伝が行われているものは、同意なしに送信できる例外に挙げられています。ただし「付随的」の範囲は程度問題です。本文の大半が宣伝であれば、実質的に広告宣伝メールと評価される可能性があります。
解除の依頼を受けてから、何日以内に止めればよいですか
法律上は、受信拒否の通知を受けた場合に以後の送信が禁止されます。何日以内という猶予の規定は、本記事で参照した資料では確認していません。実務上は、次回配信までに確実に反映できる運用にする必要があります。
間違って解除済みの人に送ってしまったらどうなりますか
受信拒否者への送信は、総務大臣および内閣総理大臣による命令の対象です。命令に従わない場合に罰則がかかる構造になっています。
違反していそうなメールを受け取ったら
一般財団法人日本データ通信協会の迷惑メール相談センターが、相談の受付と情報提供の窓口を設けています。同意した覚えのない広告宣伝メール、表示義務違反、送信者情報の偽装についての情報提供先と、受信拒否後に送信されたメールの情報提供先が、それぞれ分けて案内されています。
参照した一次情報
- 総務省総合通信基盤局消費者行政課・消費者庁取引対策課「特定電子メールの送信等に関するガイドライン」(平成23年8月) soumu.go.jp(PDF)
2026年9月21日確認。特定電子メールに該当するもの・しないものの例、送信者と送信委託者の位置づけ、メール配信サービス事業者が該当しない旨、デフォルトオフの推奨、「戻る」でチェックが復活する場合の扱い、ダブルオプトインの推奨、1つのアドレスに複数の使用者がいる場合、同意を証する記録の内容、簡便なオプトアウト方法に関する記述はこの資料に基づきます。 - 総務省「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント」(2018年7月) soumu.go.jp(PDF)
2026年9月21日確認。対象となるメールの範囲(SMS・海外からの送信を含む)、オプトインの例外、記録の保存期間(1か月、特定商取引法上は3年)、表示義務の事項と表示場所、受信拒否の方法と記録、罰則、迷惑メール相談センターの窓口に関する記述はこの資料に基づきます。 - 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(平成14年法律第26号) e-gov.go.jp
2026年9月21日確認。第2条・第3条・第4条・第7条の条文はこの法令に基づきます。 - 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律施行規則(平成14年総務省令第66号) e-gov.go.jp
2026年9月21日確認。第4条(同意を証する記録の保存方法等)、第7条〜第9条(表示の方法等)はこの省令に基づきます。
いずれも2026年9月21日に確認しました。広告案件の条件は2026年9月21日時点の案件情報に基づきます。料金・提供条件は変更されることがあります。
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この記事は、公表されている一次情報をもとに整理したものです。個別の配信の適否については、総務省・消費者庁または専門家にご確認ください。


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