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結論:勧告を受けると、その土地の固定資産税が上がります
空き家を持っている人にとって、いちばん具体的に効いてくるのはここです。国土交通省の資料です。
市区町村長は、放置すれば特定空家になるおそれのある「管理不全空家」に対し、管理指針に即した措置を「指導」。指導してもなお状態が改善しない場合には「勧告」が可能。
➡ 勧告を受けたときは、当該空家の敷地に係る固定資産税等の住宅用地特例(※)を解除。
※小規模住宅用地(200㎡以下の部分):1/6に減額
一般住宅用地(200㎡を超える部分):1/3に減額
住宅が建っている土地には、固定資産税の課税標準を6分の1(200㎡以下の部分)にする特例があります。勧告を受けると、これが外れます。計算上、土地の固定資産税は最大で6倍の水準になり得ます。
これは令和5年の空家等対策特別措置法の改正(令和5年法律第50号、令和5年6月14日公布)で入った仕組みです。
1. 「特定空家」になる前の段階が新設されました
改正前は、周囲に著しい悪影響を及ぼす特定空家になって初めて本格的な措置の対象でした。改正の趣旨はこうです。
空家の増加が見込まれる中、周囲に著しい悪影響を及ぼす「特定空家」になることを待つことなく、特定空家になる前の段階から、管理の確保を図ることが必要。
| 区分 | 状態 | 市区町村ができること |
|---|---|---|
| 管理不全空家 | 放置すれば特定空家になるおそれがある | 指導・勧告 |
| 特定空家 | 周囲に著しい悪影響を及ぼす | 指導・勧告・命令・代執行 |
どちらも勧告の段階で住宅用地特例が外れます。特定空家まで進まなくても、税額に影響が出るということです。
管理不全空家のイメージとして、資料は「窓が割れた管理不全空家」を挙げています。
2. 国が「管理の方法」を告示しています
改正で、国が空家の管理指針を告示することになりました。資料が例として挙げているのは次の2つです。
- 所有者が定期的に、空家の換気、通水、庭木の伐採等を行う
- 自ら管理できない場合は、空家等管理活用支援法人等に管理を委託するなどにより、空家を適切に管理する
換気・通水・庭木という、具体的で地味な3つです。遠方に住んでいて年に1回しか行かない、という状態だと難しくなります。
3. 所有者の把握もしやすくなりました
改正では、市区町村側の調査手段も広がっています。
市区町村が空家等に工作物を設置している者(電力会社等)に所有者情報の提供を求めることができる旨を明確化
さらに、所有者に代わって建物管理を行う「管理不全建物管理人」の選任を、市区町村が裁判所に請求できるようになっています。
つまり「連絡が取れないから放っておかれる」という状態は、制度上は成り立ちにくくなっています。
4. なぜここまで進んだのか
総務省の住宅・土地統計調査を引いた数字です。
| 区分 | 推移 |
|---|---|
| 空き家の総数 | この20年で約1.5倍(576万戸 → 849万戸) |
| 居住目的のない空き家 | この20年で約1.9倍(349万戸) |
「居住目的のない空き家」とは、二次的住宅(別荘等)や賃貸用・売却用を除いた、人が住んでおらず、貸す予定も売る予定もない住宅です。増え方が総数より速い、というのがポイントです。
5. 相続した家を放置すると、二重に問題が起きます
実務でつながるのはここです。
- 相続登記をしていない:令和6年4月1日から義務化されており、正当な理由なく3年以内に申請しないと10万円以下の過料の可能性があります(相続登記の記事)
- 管理をしていない:管理不全空家として指導・勧告を受けると、住宅用地特例が外れて固定資産税が上がります
登記と管理は別の話ですが、放置すると両方が同時に進みます。「そのうち考える」がいちばん高くつく構造になっています。
6. 自分の物件について確認すること
- 名義は誰か(相続登記が済んでいるか)
- 最後に中に入ったのはいつか(換気・通水ができているか)
- 外から見える状態はどうか(窓、屋根、外壁、庭木、ごみ)
- 市区町村から通知が来ていないか(指導は書面で来ます)
- 自分で管理できないなら、空家等管理活用支援法人など委託先を探す
当サイトでは、個別の空き家が管理不全空家に該当するかどうかを判断しません。判断するのは市区町村です。空き家の所在地の市区町村にご相談ください。
7. 補助制度もあります
国は空き家対策総合支援事業や空き家再生等推進事業を設けており、市区町村が補助制度を整備している場合には、空き家所有者等が実施する活用・除却にも補助が出る仕組みがあります(除却の場合、国2/5・市区町村2/5・所有者等1/5など)。
ただし市区町村による補助制度の整備が必要とされており、すべての自治体にあるわけではありません。個別の補助率・要件・募集状況は、本記事では確認していません。所在地の市区町村にご確認ください。
FAQ
空き家を持っているだけで税金が上がりますか。
いいえ。管理不全空家または特定空家として勧告を受けたときに、その敷地の固定資産税等の住宅用地特例が解除されます。指導の段階では解除されません。
住宅用地特例とは何ですか。
住宅が建っている土地の固定資産税の課税標準を、200㎡以下の部分は1/6、200㎡を超える部分は1/3に減額する特例です。
「管理不全空家」と「特定空家」はどう違いますか。
管理不全空家は放置すれば特定空家になるおそれがある段階で、市区町村ができるのは指導・勧告です。特定空家は周囲に著しい悪影響を及ぼす段階で、命令・代執行まで可能です。
何をすれば「管理している」ことになりますか。
国が告示する管理指針で定めることが想定される方法として、資料は定期的な換気、通水、庭木の伐採等を挙げています。具体的な判断は市区町村が行います。
遠方に住んでいて管理できません。
資料は、自ら管理できない場合に空家等管理活用支援法人等に管理を委託することを挙げています。支援法人は市区町村が指定します。
参照した一次情報
- 国土交通省住宅局「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第50号)について 第1部 空き家対策を巡る現状・改正法の解説」 mlit.go.jp(PDF)
2026年9月20日確認。公布日(令和5年6月14日)、管理不全空家に対する指導・勧告と住宅用地特例の解除(200㎡以下1/6・超える部分1/3)、改正の背景・必要性、管理指針で定めることが想定される管理の方法(換気・通水・庭木の伐採等、支援法人への委託)、電力会社等への所有者情報の提供、管理不全建物管理人の選任、空き家数の推移(20年で約1.5倍・居住目的のない空き家は約1.9倍)に関する記述はこの資料に基づきます。 - 国土交通省住宅局「同 第2部 補助制度・税制等」 mlit.go.jp(PDF)
2026年9月20日確認。空き家対策総合支援事業・空き家再生等推進事業の補助対象と補助率、市区町村による補助制度の整備が必要である旨に関する記述はこの資料に基づきます。現在の募集状況・個別自治体の制度内容は確認していません。
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この記事は当サイト運営者が執筆しました。税理士・司法書士による記事ではありません。上記の確認日以降に制度や運用が変わっている可能性があります。個別の物件の扱いや税額については、所在地の市区町村にご確認ください。


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