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結論:美容の仕事は、原則として美容所でしか行えません
出張美容(美容所以外の場所で美容の業務を行うこと)は、誰にでもできるものではありません。厚生労働省の通知が、原則をこう書いています。
理容又は美容の業を行う場合、理容師法第6条の2及び美容師法第7条に基づき、原則として理容所又は美容所で行わなければならないとされている趣旨を十分に踏まえること。
例外として出張美容ができるのは、美容師法施行令第4条に定められた場合だけです。
| 号 | 場合 |
|---|---|
| 第1号 | 疾病その他の理由により、美容所に来ることができない者に対して行う場合 |
| 第2号 | 婚礼その他の儀式に参列する者に対し、その儀式の直前に行う場合(演劇、演芸、テレビに出演する者等に対して、その出演の直前に施術を行うことが必要と認められるものも該当) |
| 第3号 | 都道府県等が条例で定める場合 |
そして、違反についてはこう書かれています。
出張理容・出張美容の対象とならない者に対して、出張理容・出張美容を行うことは、理容師法又は美容師法違反となるものであり
1. 「来ることができない者」の中身が整理されています
第1号の「疾病その他の理由」が曖昧だったため、平成28年の通知で基準が明確化されました。該当すると考えられるのは次の2つです。
(1) 本人が来られない場合
疾病の状態にある場合のほか、骨折、認知症、障害、寝たきり等の要介護状態にある等の状態にある者であって、その状態の程度や生活環境に鑑み、社会通念上、理容所又は美容所に来ることが困難であると認められるもの
病名ではなく「来ることが困難」かどうかで判断される構造です。
(2) 家族の育児・介護で家を離れられない場合
自宅等において、常時、家族である乳幼児の育児又は重度の要介護状態にある高齢者等の介護を行っている者であって、その他の家族の援助や行政等による育児又は介護サービスを利用することが困難であり、仮に、自宅等に育児又は介護を受けている家族を残して理容所又は美容所に行った場合には、当該家族の安全性を確保することが困難になると認められるもの
これは施術を受ける本人が健康でも対象になり得るという点で重要です。ただし条件が3つ重なっています。
- 常時、育児または重度の要介護状態にある家族の介護を行っている
- 他の家族の援助や行政等のサービスを利用することが困難
- 残して外出すると家族の安全性を確保することが困難
「小さい子がいて美容室に行きにくい」だけでは、この基準には届きません。
この場合の注意として、通知は「施術を受ける者の監護下にある者に事故等が生じないよう留意すること」を挙げています。施術中に子どもや要介護者から目が離れる状態を作らない、ということです。
2. 条例で広がっている場合があります
第3号は「都道府県等が条例で定める場合」です。通知も、
当該規定に基づき、地域の実情等に応じて、上記以外の場合を対象にすることを妨げるものではないが、(中略)原則として理容所又は美容所で行わなければならないとされている趣旨を十分に踏まえること。
としています。自分の都道府県の条例で何が定められているかは、必ず確認が必要です。当サイトでは個別の自治体の条例内容を確認していません。
3. 免許証を持参し、求められたら見せます
平成28年の通知で追加された実務上の要件です。
今般、出張理容・出張美容を行う際には、理容師又は美容師であることを証明するもの(免許証の本証又は写し)を持参し、利用者等から求めがあった場合にはそれを提示することが追加されたので留意すること。
持参と提示の2つがセットです。写しでかまいません。
4. 衛生管理には別の要領があります
出張理容・出張美容の実施に当たっては、出張理容・出張美容の衛生を確保するため、「出張理容・出張美容に関する衛生管理要領」(平成19年10月4日付け健発第1004002号厚生労働省健康局長通知の別添)に示す作業環境、携行品等の衛生管理及び消毒等を遵守することを求めている。
店の中とは条件が違います。作業環境・携行品・消毒の3点が要領で定められており、都道府県等はこれを指導の指針として使い、必要に応じて条例や要綱を制定するとされています。
本記事では、衛生管理要領の具体的な記載内容は確認していません。美容所内の消毒方法については美容所の消毒の記事にまとめています。
5. なぜ基準が明確化されたのか
通知の冒頭に経緯が書かれています。
規制改革実施計画(平成27年6月30日閣議決定)において、「現行の『疾病その他の理由により、理容所・美容所に来ることができない者』の判断基準を明確化し、該当事例も含めて地方公共団体に周知徹底する。」とともに、「(中略)対象範囲の拡大について、利用者ニーズ等を踏まえ検討を行い、結論を得た上で所要の措置を講ずる。」とされた
規制改革の流れの中で、基準を明確にしつつ、育児・介護をしている人を対象に加えたのが平成28年の通知です。
あわせて、平成29年には「在宅の高齢者に対する理容・美容サービスの積極的な活用について」という通知も出ています。
6. 事業者として確認すること
- お客様が施行令第4条のどれに当たるかを確認する(第1号か、第2号か、条例か)
- 第1号(2)(育児・介護)の場合は、3つの条件がすべて当てはまるかを確認する
- 都道府県の条例で追加されている場合がないか確認する
- 免許証(本証または写し)を必ず持参する
- 衛生管理要領に沿って、作業環境・携行品・消毒を整える
- 迷う場合は保健所に事前に相談する
通知は行政側に対しても、「実施状況等について把握に努め、仮に法律違反の行為を把握した場合には、厳正に対処すること」を求めています。
当サイトでは、個別のケースが出張美容の対象に当たるかどうかを判断しません。所管の保健所にご相談ください。
FAQ
希望されれば、どこでも出張できますか。
できません。美容師法第7条により原則として美容所で行わなければならないとされ、出張できるのは施行令第4条に定める場合だけです。対象とならない者に行うと美容師法違反になります。
高齢というだけで対象になりますか。
年齢そのものではありません。疾病、骨折、認知症、障害、寝たきり等の要介護状態にある等の状態で、社会通念上、美容所に来ることが困難であると認められることが必要です。
小さい子どもがいる人は対象ですか。
条件があります。常時乳幼児の育児を行っており、他の家族の援助や行政等のサービスの利用が困難で、残して外出すると家族の安全性を確保することが困難と認められる場合です。
結婚式のヘアメイクは出張できますか。
施行令第4条第2号は婚礼その他の儀式に参列する者に対し、その儀式の直前に行う場合です。通知では、演劇、演芸、テレビに出演する者等に対する出演直前の施術も該当すると考えられるとされています。
免許証は持っていく必要がありますか。
あります。免許証の本証または写しを持参し、利用者等から求めがあった場合には提示することが求められています。
自分の都道府県では、もっと広く認められていますか。
施行令第4条第3号により都道府県等が条例で定める場合があります。本記事では個別の自治体の条例内容を確認していません。所管の保健所にご確認ください。
参照した一次情報
- 厚生労働省「理容師法施行令第4条第1号及び美容師法施行令第4条第1号に基づく出張理容・出張美容の対象について」(平成28年3月24日 生食衛発0324第1号) mhlw.go.jp
2026年9月20日確認。第1号に該当すると考えられる2つの類型、第2号に関する整理、第3号(条例)に関する留意事項、免許証の持参・提示、衛生管理要領の遵守、違反に対する対処、明確化の経緯(規制改革実施計画)に関する記述はこの通知に基づきます。「出張理容・出張美容に関する衛生管理要領」(平成19年10月4日付け健発第1004002号の別添)の具体的な内容、および各都道府県等の条例の内容は、本記事では確認していません。
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この記事は当サイト運営者が執筆しました。行政書士・弁護士による記事ではありません。上記の確認日以降に通知や条例が変わっている可能性があります。個別のケースについては所管の保健所にご確認ください。


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