60万円以下なら原則1回の審理で終わります|少額訴訟と、その前にある3つの手段

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結論:60万円以下なら、原則1回の審理で判決が出ます

国土交通省のガイドラインが紹介している制度です。

少額訴訟手続は、民事訴訟のうち、少額の金銭の支払をめぐるトラブルを少ない費用で迅速に解決することを目的とした制度であり、民事訴訟法の改正により、平成10年1月から施行されている。
この制度は、60万円以下の金銭の支払を求める訴えについて、原則として1回の審理で紛争を解決する審理手続で、裁判所は、原告の主張(支払)を認める場合でも、分割払、支払猶予、遅延損害金免除の判決を言い渡すことができるものとされている。

敷金が返ってこない、代金を払ってもらえない——60万円以下の金銭の話なら、この制度が使えます。

原状回復のトラブルそのものについては原状回復の記事にまとめました。この記事は揉めたときに使える手段の話です。

1. 簡易裁判所は140万円まで

簡易裁判所(裁判所法第33条により訴訟の目的の価額が140万円を超えない請求を管轄する。)

金額で整理すると、こうなります。

金額使える手続
60万円以下少額訴訟手続(原則1回の審理)が使える
140万円を超えない簡易裁判所の管轄

ガイドラインは、裁判に踏み切る人が少ない理由にも触れています。

しかし、費用や時間等の問題から、裁判にまで踏み切るものは必ずしも多くないのが実状である。

少額訴訟は、その費用と時間の壁を下げるための制度だという位置づけです。

2. 裁判の前に3つの段階があります

ガイドラインは、裁判外紛争処理制度(ADR)を紹介しています。

中立的な第三者が当事者間に介入して紛争の解決を図る裁判外紛争処理制度(ADR:Alternative Dispute Resolution)が注目されており、当面こうした制度を活用することにより、トラブルの円滑かつ迅速な解決が図られることが期待される。

そして、使う順番が示されています。

紛争の解決のため、どの制度を利用するかは申立人ないし当事者の判断によるが、相談・あっせんが初期の段階で利用され、それが奏功しない場合に、調停さらには訴訟、仲裁が用いられるのが一般的であり、原状回復にかかるトラブルの解決手順も同様であると考えられる。

つまり、

  1. 相談・あっせん(初期段階)
  2. うまくいかなければ調停
  3. さらに訴訟または仲裁

いきなり訴訟ではありません。順番があります。

3. 仲裁という選択肢

仲裁は、一定の法律関係に関する紛争の処理を、裁判所ではなく、私人である第三者(仲裁人)の判断に委ねる旨の合意に基づいて行われる紛争解決方法で、仲裁人の選定における公平性の確保などの問題もあり、その実績は調停に比べると多くないが、弁護士会、司法書士会、行政書士会などの仲裁センターでは、取り扱う事実について特別な制限を設けていない場合が多く、原状回復、敷金返還請求にかかる事案も持ち込まれている。

弁護士会・司法書士会・行政書士会の仲裁センターという窓口が具体的に挙げられています。「取り扱う事実に特別な制限を設けていない場合が多い」というのは、持ち込みやすいということです。

ただし合意が前提です。相手が応じなければ成立しません。

4. 行政の窓口でできること・できないこと

ここは期待値を正しく持っておくべき部分です。

原状回復といった賃貸住宅の管理の分野等の問題は、直接的な取締法規がなく、賃貸住宅の契約関係のような民事紛争においては、行政が当事者間の利害を勘案し、一定の判断を下してそれに従わせることはできない

行政は「こちらが正しい」と裁定してくれません。では何をしてくれるのか。

行政機関においては、トラブル防止に向けた啓発、紛争解決への助言・あっせん、紛争解決制度等の情報提供などを行っているところであり、行政機関への相談も一つのトラブル解決方策と考えられる。

助言・あっせん・情報提供です。窓口としては、

賃貸住宅にかかる相談、苦情処理業務は、地方公共団体の相談窓口や消費生活センターなどの行政機関においても実施されている。

5. 少額訴訟の特徴をもう一度

判決の内容にも特徴があります。

裁判所は、原告の主張(支払)を認める場合でも、分割払、支払猶予、遅延損害金免除の判決を言い渡すことができる

「全額を今すぐ」以外の結論が出せるということです。相手に資力がない場合でも、現実的な決着が図れます。

6. この記事で確認していないこと

正直に書きます。参照したガイドラインで確認できたのは制度の存在と金額の線引き、使う順番までです。次は確認していません。

  • 少額訴訟の申立て方法と必要書類
  • 手数料がいくらかかるか
  • 同一の簡易裁判所で年間に使える回数の制限の有無
  • 相手が通常訴訟への移行を求めた場合の扱い
  • 調停の申立て方法と費用
  • 判決が出た後の回収の方法

これらは推測で書きません。実際に使う段階になったら、簡易裁判所または弁護士等にご確認ください。

7. 順番としての実務

  1. まず相手と直接交渉する(記録を残す)
  2. 消費生活センターまたは地方公共団体の相談窓口に相談する
  3. あっせんで決着しなければ調停
  4. 金額が60万円以下なら少額訴訟を検討する
  5. 合意できるなら仲裁センターという道もある

どの段階でも、契約書・やりとりの記録・写真が判断材料になります。原状回復なら入居時の写真が効きます。

8. 金銭以外のトラブルでは

少額訴訟は「金銭の支払を求める訴え」が対象です。「謝罪してほしい」「修理してほしい」といった請求は対象外です。

消費者トラブル全般については、クーリング・オフの記事訪問購入の記事もあわせてご覧ください。制度で解決する前に、契約の時点で防げるものがあります。

FAQ

いくらまで使えますか。

少額訴訟は「60万円以下の金銭の支払を求める訴え」が対象です。簡易裁判所の管轄は「訴訟の目的の価額が140万円を超えない請求」です。

何回も裁判所に行くのですか。

原則として1回の審理で紛争を解決する審理手続」とされています。

相手にお金がない場合は。

裁判所は「分割払、支払猶予、遅延損害金免除の判決」を言い渡すことができるとされています。

役所が判断してくれますか。

行政が当事者間の利害を勘案し、一定の判断を下してそれに従わせることはできない」とされています。行うのは啓発・助言・あっせん・情報提供です。

どこから始めればよいですか。

相談・あっせんが初期の段階で利用され、それが奏功しない場合に、調停さらには訴訟、仲裁」という順番が一般的とされています。

参照した一次情報

  • 国土交通省住宅局「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」第2章 トラブルの迅速な解決にかかる制度(平成23年8月) mlit.go.jp(PDF)ダウンロードページ
    2026年9月19日確認。少額訴訟手続の対象(60万円以下の金銭の支払)・原則1回の審理・平成10年1月施行・分割払や支払猶予や遅延損害金免除の判決、簡易裁判所の管轄(裁判所法第33条、140万円を超えない請求)、裁判に踏み切る例が多くない実状、ADRの説明と相談・あっせん→調停→訴訟・仲裁という一般的な順番、仲裁の説明と弁護士会・司法書士会・行政書士会の仲裁センター、行政機関が判断を下して従わせることはできない旨と行政が行うこと(啓発・助言・あっせん・情報提供)、相談窓口(地方公共団体・消費生活センター)に関する引用はこのガイドラインに基づきます。申立て方法・手数料・回数制限・通常訴訟への移行・判決後の回収方法は確認していません。

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この記事は当サイト運営者が執筆しました。弁護士等の専門家による記事ではありません。上記の確認日以降に制度が変わっている可能性があります。実際の手続は、簡易裁判所または弁護士等へご確認ください。

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