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結論:A類疾病には努力義務があり、B類疾病にはありません
定期の予防接種は2つに分かれています。A類疾病とB類疾病です。違いは病気の種類だけではありません。法律上の位置づけが違います。
予防接種法第9条は、A類疾病に係るものについてだけ「受けるよう努めなければならない」と定めています。B類疾病はこの努力義務の対象になっていません。
1. まず「予防接種」の定義
法第2条第1項です。
この法律において「予防接種」とは、疾病に対して免疫の効果を得させるため、疾病の予防に有効であることが確認されているワクチンを、人体に注射し、又は接種することをいう。
注射だけでなく「接種」も含まれます。経口のワクチンも対象です。
2. A類疾病の一覧
法第2条第2項が列挙しています。
| 号 | 疾病 |
|---|---|
| 一 | ジフテリア |
| 二 | 百日せき |
| 三 | 急性灰白髄炎 |
| 四 | 麻しん |
| 五 | 風しん |
| 六 | 日本脳炎 |
| 七 | 破傷風 |
| 八 | 結核 |
| 九 | Hib感染症 |
| 十 | 肺炎球菌感染症(小児がかかるものに限る) |
| 十一 | ヒトパピローマウイルス感染症 |
| 十二 | 新型インフルエンザ等感染症、指定感染症または新感染症であって、全国的かつ急速なまん延により国民の生命および健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められる疾病として政令で定めるもの |
| 十三 | 前各号のほか、人から人に伝染することによる発生・まん延を予防するため、またはかかった場合の病状が重篤になるおそれがあることから発生・まん延を予防するため特に予防接種を行う必要があると認められる疾病として政令で定めるもの |
十号に条件が付いていることに注意が必要です。肺炎球菌感染症は小児がかかるものだけがA類です。
3. B類疾病の一覧
法第2条第3項です。3つしかありません。
| 号 | 疾病 |
|---|---|
| 一 | インフルエンザ |
| 二 | 新型インフルエンザ等感染症、指定感染症または新感染症であって政令で定める疾病 |
| 三 | 前二号のほか、個人の発病またはその重症化を防止し、併せてこれによりまん延の予防に資するため特に予防接種を行う必要があると認められる疾病として政令で定めるもの |
三号の書き方がA類の十三号と違います。A類は「発生及びまん延を予防するため」、B類は「個人の発病又はその重症化を防止し、併せてこれによりそのまん延の予防に資するため」です。
A類は集団としての流行を止めることが先にあり、B類は個人を守ることが先にあるという組み立てになっています。これが努力義務の有無と対応しています。
4. 努力義務の条文
法第9条です。
定期の予防接種であってA類疾病に係るもの又は臨時の予防接種(B類疾病のうち当該疾病にかかった場合の病状の程度を考慮して厚生労働大臣が定めるもの(「特定B類疾病」)に係るものを除く。)の対象者は、これらの予防接種を受けるよう努めなければならない。
対象は2つです。①A類疾病に係る定期の予防接種、②臨時の予防接種(特定B類疾病に係るものを除く)。B類疾病の定期の予防接種は入っていません。
第2項には保護者の義務があります。
前項の対象者が十六歳未満の者又は成年被後見人であるときは、その保護者は、その者に定期の予防接種であってA類疾病に係るもの又は臨時の予防接種を受けさせるため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
16歳未満という線が引かれています。
なお努力義務であり、接種を強制する規定ではありません。法第9条の2には、勧奨および努力義務に関する規定の適用除外も置かれています。
5. 誰が実施するのか
法第5条第1項です。
市町村長は、A類疾病及びB類疾病のうち政令で定めるものについて、当該市町村の区域内に居住する者であって政令で定めるものに対し、保健所長(特別区および保健所を設置する市にあっては都道府県知事)の指示を受け期日又は期間を指定して、予防接種を行わなければならない。
実施主体は市町村長です。対象者と期日は政令と自治体が決めます。だから同じ疾病でも自治体によって案内の時期が違います。
第2項・第3項には例外があります。都道府県知事は、疾病の発生状況等を勘案して予防接種を行う必要がないと認められる区域を指定でき、その区域に全部が含まれる市町村は当該疾病について予防接種を行うことを要しません。
6. 定期と臨時
| 区分 | 根拠 |
|---|---|
| 定期の予防接種 | 法第5条第1項の規定による予防接種(法2条4項) |
| 臨時の予防接種 | 法第6条第1項から第3項までの規定による予防接種(法2条5項) |
7. 健康被害の救済措置があります
法第15条に健康被害の救済措置が置かれています。また法第12条は、定期の予防接種等を受けたことによるものと疑われる症状の報告について定めています。法第13条は適正な実施のための措置です。
実務としてやること
- 自分や家族の接種歴を、A類とB類に分けて把握する。A類は努力義務がある。
- お子さんが16歳未満なら、保護者に必要な措置を講ずる努力義務がある。母子健康手帳の記録を確認する。
- 接種の案内は市町村から来る。期日・期間・対象年齢は自治体が指定するので、案内を保管する。
- 肺炎球菌感染症は小児がかかるものだけがA類。高齢者向けの扱いは別なので、自治体の案内で確認する。
- 接種後に気になる症状が出たら、医療機関に相談する。報告や救済の仕組みが法律に置かれている。
- 接種の可否は個人の健康状態によります。持病がある場合は必ず医師に相談してください。
よくある質問
努力義務があると接種しないと罰則がありますか
法第9条は「受けるよう努めなければならない」という規定です。罰則を定めた条文ではありません。
B類疾病に努力義務がないのはなぜですか
法第2条第3項第3号の書き方が、個人の発病または重症化の防止を先に置いています。A類は発生およびまん延の予防を目的とする建て方です。目的の違いが努力義務の有無に対応しています。
費用はかかりますか
今回参照した条文からは費用負担の定めは確認していません。実費の徴収については法に別の規定があります。実際の自己負担額は市町村にご確認ください。
接種する疾病や年齢はどこで決まりますか
法第5条第1項が「A類疾病及びB類疾病のうち政令で定めるもの」「政令で定めるもの」に対して行うとしています。具体的な疾病と対象者は政令で定められます。
参照した一次情報
- e-Gov法令検索「予防接種法」(昭和23年法律第68号)第2条・第5条・第9条 laws.e-gov.go.jp
2026年9月28日確認。予防接種の定義、A類疾病13号とB類疾病3号の一覧、肺炎球菌感染症が小児に限られること、A類とB類の目的の書き分け、第9条の努力義務とその対象範囲・16歳未満の保護者の努力義務、市町村長が実施すること、都道府県知事による区域の指定、定期と臨時の定義、健康被害の救済措置および症状の報告に関する条文の存在はこれらの条文に基づきます。 - 厚生労働省「予防接種法に基づく定期接種実施要領」等が掲載されているページ mhlw.go.jp
2026年9月28日確認。予防接種制度に関する厚生労働省のページです。
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この記事は公開されている条文を整理したものです。接種の可否や時期の判断は医師または市町村の担当窓口にご相談ください。


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