作業面は300ルクス、紫外線消毒器は85μW/cm²|美容所の衛生管理要領

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結論:作業面は300ルクス、紫外線消毒器は85μW/cm²以上です

「理容所及び美容所における衛生管理要領」(昭和56年6月1日 環指第95号)は、施設・設備から従業者の管理まで数字で定めています。まず数字が出てくるところを集めます。

項目 基準
作業面の照度 300ルクス以上が望ましい(※理容師法施行規則及び美容師法施行規則では100ルクス以上としている)
炭酸ガス濃度 5,000ppm以下であること(1,000ppm以下が望ましい。一酸化炭素は10ppm以下が望ましい)
浮遊粉じん 0.15mg/m³以下が望ましい
温度 17〜28℃が望ましい(冷房時には外気温との差が7℃以内
相対湿度 40〜70%が望ましい
紫外線消毒器 常に85μW/cm²以上の紫外線照射が得られるように管理(紫外線灯は3,000時間以上使用すると出力が低下することがあるので、適宜取り替えることが望ましい)
照明器具の清掃 少なくとも1年に2回以上
器具類等の保管場所の清掃 少なくとも1週間に1回以上
施設・排水溝の清掃 1日1回以上

照度は規則が100ルクス、要領が300ルクスという二段構えです。規則を満たしていても、要領の望ましい水準には届いていないことがあります。

1. 施設と設備(16項目)

要領の「第2 施設及び設備」から、設計段階で効いてくるものを抜き出します。

# 内容
1 施設は、隔壁等により外部と完全に区分されていること
2 ねずみ及び昆虫の侵入を防止できる構造
3 作業場客の待合所を設けること
5 作業場と待合所は、明確に区分されていること
6 作業場は、居住室、休憩室等作業に直接関係ない場所から隔壁等により完全に区分されていること
7 作業場に器具等を消毒する場所を設けること(消毒室を設けることが望ましい
8 床及び腰張りは、コンクリート、タイル、リノリウム、板等の不浸透性材料で、清掃が容易な構造
9 作業場内に従業者専用の手洗い設備
10 便所は、隔壁によって作業場と区分され、専用の手洗設備を有すること
12 洗場は、流水装置とし、給湯設備を設けること
13 ふた付きの汚物箱又は毛髪箱等を備えること
14 皮膚に接する器具類を、消毒済みのものと未消毒のものを区別するための収納ケース等
15 器具類、布片類及びタオル等を消毒する設備又は器材
16 器具類及び布片類は、十分な量を備えること

4番は「従業者の数に応じた適当な広さの更衣等を行う休憩室を設けることが望ましい」です。

実務でつまずきやすいのは7(消毒場所)9(従業者専用の手洗い)10(便所の専用手洗い)14(消毒済み/未消毒の区別)です。いずれも「あとから足す」のが難しい部分なので、図面の段階で保健所に相談することになります。

2. 毎日やること

「第4 衛生的取扱い等」は、管理理容師・管理美容師の日課から始まります。

1 管理理容師又は管理美容師は、毎日、従業者が感染症にかかっていないかどうかを確認すること。
2 管理理容師又は管理美容師は、毎日、理容所又は美容所の施設、設備、器具等の衛生全般について点検管理すること。

従業者についての決まりです。

  • 作業中は清潔な外衣(白色又はこれに近い色で汚れが目立ちやすいもの)を着用し、顔面作業時には清潔なマスク
  • 常につめを短く切り、客1人ごとの作業前及び作業後には手指の洗浄を行い、必要に応じて消毒
  • 常に身体及び頭髪を清潔に保つ
  • 作業場においては所定の場所以外で着替え、喫煙及び食事をしない

器具・布片類については、

  • 皮膚に接する器具類は、客1人ごとに消毒した清潔なものを使用する
  • 皮膚に接する器具類は、使用後に洗浄し、消毒する
  • 皮膚に接する布片類は、清潔なものを使用し、客1人ごとに取り替える
  • 使用後の布片類は洗剤等を使用して温湯で洗浄することが望ましい
  • 蒸しタオルは、消毒済みのものを使用する
  • 客用の被布は使用目的に応じて区別し、清潔なものを使用する

消毒の具体的な方法と時間については美容所の消毒の記事にまとめています。

3. 感染症にかかったときの扱い

ここは届出義務が絡みます。

開設者及び管理理容師又は管理美容師は、常に従業者の健康管理に注意し、従業者が以下に掲げる感染症にかかったときは、開設者はこの旨を保健所に届け出るとともに、当該従業者を作業に従事させないこととし、当該疾患が治癒した場合も同様に届け出ること。
結核
感染性の皮膚疾患(伝染性膿痂疹(トビヒ)、単純性疱疹、頭部白癬(シラクモ)、疥癬等)

治ったときも届け出ます。2回必要です。

さらに、従業者本人ではなく同居者についての定めもあります。

開設者は、従業者又はその同居者がエボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、マールブルグ病、ラッサ熱、ジフテリア若しくはペストの患者又はその疑いのある者である場合は、従業者当人が感染していないことが判明するまでは、作業に従事させないこと。

4. 補助業務従事者ができる範囲

アシスタントや通信教育中のスタッフの扱いです。

補助業務従事者(通信教育中の者を含む。)の業務範囲は、清掃、タオル絞り、道具整理等は認められるが、理容又は美容の本質的作業に独立して従事することは認められないこと。

免許取得前のスタッフに何をさせてよいか、の線引きです。

5. 施設の管理(毎日・毎週・毎年)

頻度 やること
1日1回以上 施設の清掃/排水溝の清掃(毛髪等廃棄物の流出を防ぐ)
1週間に1回以上 器具類、布片類、その他の用具類の保管場所の清掃
1年に2回以上 照明器具の清掃(常に適正な照度維持に努める)
定期的 換気装置の点検・清掃/便所の殺虫及び消毒
適宜 紫外線消毒器の紫外線灯の清掃

そのほか、

  • 作業場内には不必要な物品等を置かない
  • 施設内にはみだりに犬(身体障害者補助犬を除く。)、猫等の動物を入れない
  • 作業場内をねずみ及び昆虫が生息しない状態に保つ
  • 手洗い設備には石ケン、消毒液等を備え、常に使用できる状態にしておく
  • 洗浄及び消毒済みの器具類は、使用済みのものと区別して収納ケース等に保管
  • 清掃用具は専用の場所に保管
  • 薬品類は所定の場所に保管し、取扱いに十分注意する

また、作業室には、施術中の客以外の者をみだりに出入りさせないこととされています。

6. 換気と暖房・給湯

(1) 換気には、機械的換気設備を設けることが望ましいが、自然換気の場合は、換気に有効な開口部を他の排気の影響を受けない位置に設置すること。
(2) 石油、ガスを使用した燃焼による暖房器具又は給湯設備は、密閉型又は半密閉型のものであることが望ましいこと。

開放型の燃焼器具を使う場合は、十分な換気量を確保するとともに、正常な燃焼を妨げないように留意することとされています。

7. 実務としてやること

  1. 図面の段階で保健所に相談する(消毒場所・従業者専用手洗い・便所の専用手洗いは後付けが難しい)
  2. 消毒済みと未消毒を分ける収納を用意する
  3. 紫外線消毒器の灯を3,000時間を目安に交換し、灯の清掃も行う
  4. 照明器具を年2回以上掃除する(照度維持のため)
  5. 器具類と布片類は十分な量を持つ(客1人ごとに替えるため)
  6. スタッフの健康確認を毎日行う。該当する感染症は発症時と治癒時の2回、保健所に届出
  7. 免許取得前のスタッフには清掃・タオル絞り・道具整理まで

当サイトでは個別の施設が基準に適合するかを判断しません。要領本文と、所管の保健所の指導にしたがってください。

FAQ

照度は何ルクス必要ですか。

要領は作業中の作業面の照度が300ルクス以上であることが望ましいとしています。注記で理容師法施行規則及び美容師法施行規則では100ルクス以上と示されています。

紫外線消毒器の管理はどうしますか。

常に85μW/cm²以上の紫外線照射が得られるように管理し、適宜、紫外線灯の清掃を行います。3,000時間以上使用すると出力が低下することがあるため、適宜の取り替えが望ましいとされています。

店内の温度と湿度に基準はありますか。

望ましい水準として、温度17〜28℃(冷房時には外気温との差が7℃以内)、相対湿度40〜70%が示されています。

タオルは客ごとに替える必要がありますか。

皮膚に接する布片類は、清潔なものを使用し、客1人ごとに取り替えることとされています。蒸しタオルは消毒済みのものを使用します。

免許を持たないスタッフは何ができますか。

補助業務従事者(通信教育中の者を含む)は清掃、タオル絞り、道具整理等が認められますが、理容又は美容の本質的作業に独立して従事することは認められません。

スタッフが皮膚の感染症にかかったらどうしますか。

結核および感染性の皮膚疾患(トビヒ、単純性疱疹、シラクモ、疥癬等)にかかったときは、開設者が保健所に届け出るとともに、作業に従事させないこととされています。治癒した場合も同様に届け出ます。

参照した一次情報

  • 厚生労働省「理容所及び美容所における衛生管理要領について」(昭和56年6月1日 環指第95号) mhlw.go.jp(PDF)
    2026年9月21日確認。第2(施設及び設備)の各項目、第3(管理)の施設・設備・器具の管理と従業者の管理、第4(衛生的取扱い等)の照度300ルクス(規則は100ルクス)・炭酸ガス5,000ppm以下・浮遊粉じん0.15mg/m³以下・温度17〜28℃・相対湿度40〜70%、紫外線消毒器85μW/cm²以上と3,000時間、清掃の頻度、感染症にかかった場合の届出と就業制限、補助業務従事者の業務範囲、器具類・布片類・蒸しタオル・被布の取扱いに関する記述はこの要領に基づきます。要領の後半(消毒方法の細目等)および各自治体の条例による上乗せ基準は、本記事では扱っていません。

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