課徴金は売上額の3%、150万円未満なら命じられません|算定の4つの要素

広告と表示のルール

この記事には広告はありません。当サイトの他の記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれています。

結論:課徴金は売上額の3%で、150万円未満なら命じられません

優良誤認表示または有利誤認表示をすると、措置命令とは別に課徴金の納付を命じられます。金額の決まり方は売上額 × 3%という単純な式ですが、その「売上額」の範囲と期間の取り方に細かい決まりがあります。

そして重要な例外が3つあります。規模基準、相当の注意、指定告示の除外です。

1. 対象になる表示、ならない表示

課徴金対象行為は、景品表示法第5条の規定に違反する行為です。ただしかっこ書きがあります。

第五条の規定に違反する行為(同条第三号に該当する表示に係るものを除く。)

第5条第3号は、内閣総理大臣が指定する表示です。ステルスマーケティング(一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示)や、おとり広告、無果汁の表示などの指定告示がここに当たります。

つまり指定告示違反には課徴金がかかりません。措置命令の対象にはなります。課徴金がかかるのは第5条第1号(優良誤認)と第2号(有利誤認)です。

2. 金額の式

要素 内容
算定率 3%(加算される場合は4.5%)
掛ける対象 課徴金対象期間に取引をした課徴金対象行為に係る商品または役務の、政令で定める方法により算定した売上額

3. 「売上額」は自分の直接の取引先に対する売上です

ここを取り違えやすい部分です。考え方はこう書いています。

この「売上額」は、事業者の直接の取引先に対する売上額のことであり、当該「売上額」は、必ずしも事業者の一般消費者に対する直接の売上額のみに限られるものではない。

メーカーが卸や小売業者に販売した額も算定の基礎に含まれます。消費税相当額も含みます。一般消費者に直接売っていなくても対象になるということです。

4. 課徴金対象期間の取り方

期間は2つの部分からできています。

  1. 課徴金対象行為をした期間
  2. 課徴金対象行為をやめてから、①やめた日から6か月を経過する日または②一般消費者の誤認のおそれの解消措置をとった日までのうち、いずれか早い日までの期間

そしてこの合計が3年を超えるときは、期間の末日から遡って3年間とされます。

②が実務上の分かれ目です。やめただけでは最長6か月分が加算されますが、誤認のおそれを解消する措置をとればそこで止まります。

5. 150万円未満なら命じられません(規模基準)

本法第8条第1項の規定により算定した課徴金額が150万円未満(課徴金対象行為に係る商品又は役務の売上額が5000万円未満)であるときは、課徴金の納付を命ずることができない(本法第8条第1項ただし書)。

3%で150万円になる売上額が5,000万円です。ただし注意点があります。

いったん150万円以上と算定されたなら、自主報告による減額や返金措置による減額の結果150万円を下回っても、減額後の金額について納付を命じられます。

考え方が挙げている想定例はこうです。算定額200万円 → 自主報告で50%相当額(100万円)減額 → 返金措置で50万円減額 → 50万円の課徴金納付命令。

6. 3%が4.5%になる場合

令和5年改正で入った割増算定率です。次の両方を満たすと4.5%になります。

要件 内容
過去の命令 基準日から遡り10年以内に課徴金納付命令(確定しているものに限る)を受けたことがある
その後の行為 当該課徴金納付命令の日以後において課徴金対象行為をしていた者である

基準日は、①報告徴収等が行われた日、②資料の提出の求めが行われた日、③弁明の機会の付与の通知が行われた日のうち最も早い日です。

なお合併により消滅した場合、存続会社等が10年以内に課徴金納付命令を受けていたとしても割増算定率は適用されません。

7. 「相当の注意を怠つた者でないと認められる」なら命じられません

自分の表示が優良誤認・有利誤認に当たることを知らず、かつ知らないことにつき相当の注意を怠った者でないと認められるときは、課徴金が命じられません。判断基準はこうです。

当該事業者が課徴金対象行為に係る表示をする際に、当該表示の根拠となる情報を確認するなど、正常な商慣習に照らし必要とされる注意をしていたか否かにより、個別事案ごとに判断される

そして重要な但し書きがあります。

仮に、例えば自己の供給する商品の内容について一切確認することなく表示をするといった一定の商慣習が現に存在し、それには反していなかったとしても、そのことによって直ちに「知らないことにつき相当の注意を怠つた者でないと認められる」わけではない

業界の慣行に従っていたという理由は通りません。ここでいう正常な商慣習とは、一般消費者の利益の保護の見地から是認されるものだと注記されています。

判断に当たっては、事業者の業態や規模、商品または役務の内容、表示内容、行為の態様等が勘案されます。

8. 売上額が推計される場合があります

事業者が課徴金の計算の基礎となるべき事実について法25条1項による報告を求められたにもかかわらず報告をしない場合、売上額は推計されます。報告しないことで免れる仕組みにはなっていません。

実務としてやること

  1. 効果や価格の優位性をうたっている表示について、書いた時点の根拠資料が残っているかを確認する。「相当の注意」の判断はここで分かれる。
  2. 対象商品の年間売上が5,000万円に届くかを把握しておく。届かなければ課徴金は命じられない。
  3. 問題のある表示に気づいたら、やめるだけでなく誤認のおそれの解消措置を取る。やめただけでは最長6か月分が期間に加算される。
  4. 過去10年以内に課徴金納付命令を受けていないかを確認する。受けていて再発すると3%が4.5%になる。
  5. 「業界ではこうしている」という理由は根拠にならないことを前提に、自社で確認する手順を持つ。

よくある質問

ステマ規制違反に課徴金はかかりますか

かかりません。課徴金対象行為から第5条第3号に該当する表示が除かれており、指定告示に基づく規制はここに当たります。措置命令の対象にはなります。

自主報告するとどのくらい減りますか

考え方の想定例では、法9条の要件を満たす報告により課徴金額から50%相当額が減額されています。

「誤認のおそれの解消措置」とは何をすることですか

考え方はこの措置について節を設けています(第4の1(4))。具体的な内容は事案によるため、個別の判断は消費者庁にご確認ください。

この考え方はいつのものですか

平成28年1月29日に消費者庁が公表し、令和6年4月18日に消費者庁長官決定として一部改定されています。引用されている条文は令和5年改正後のものです。

参照した一次情報

  • 消費者庁「不当景品類及び不当表示防止法第8条(課徴金納付命令の基本的要件)に関する考え方」(平成28年1月29日/一部改定 令和6年4月18日消費者庁長官決定) caa.go.jp(PDF)
    2026年9月28日確認。課徴金対象行為から第5条第3号が除かれること、算定率3%と割増算定率4.5%、基準日の定義、10年以内の命令と合併の取扱い、売上額が直接の取引先に対する売上であること、課徴金対象期間の2つの部分と6か月・3年という数字、規模基準150万円・売上額5,000万円とその想定例、「相当の注意を怠つた者でないと認められる」の判断基準と商慣習に関する但し書き、売上額の推計はこの資料に基づきます。
  • 消費者庁「景品表示法関係ガイドライン等」 caa.go.jp
    2026年9月28日確認。課徴金に関する考え方が掲載されているページです。

関連記事

このテーマの記事一覧:広告と表示のルール

この記事は公開されている考え方の記述を整理したものです。個別の事案での課徴金額の判断は消費者庁または弁護士にご相談ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました