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結論:確約手続を使えば、違反の認定を受けずに自分で直して終われます
景品表示法に違反する疑いがあると言われたとき、措置命令や課徴金納付命令を待つしかないわけではありません。令和5年の改正で確約手続が入りました。
消費者庁から通知を受けた事業者が是正計画を出し、認定されれば、法的措置は行われません。しかも認定は違反を認定したものではないと明記されています。
1. 何のために入ったのか
運用基準は趣旨をこう書いています。
確約手続は、措置命令又は課徴金納付命令(以下「法的措置」と総称する。)と比べ、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為をより早期に是正し、消費者庁と事業者が協調的に問題解決を行う領域を拡大し、景品表示法の効率的かつ効果的な執行に資するものである。
早く直すほうが消費者のためになる、という発想です。
2. 流れと期限
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 調査 | 消費者庁が違反被疑行為を調査する |
| 確約手続通知 | 確約手続に付すことが適当と判断したとき、①違反被疑行為の概要、②違反する疑いのある法令の条項、③確約計画の認定申請ができる旨を記載した書面で通知する(法26条・30条) |
| 確約認定申請 | 通知を受けた日から60日以内(法27条1項・31条1項) |
| 認定または却下 | 認定要件に適合すれば認定(法27条3項・31条3項) |
通知は弁明の機会の付与の通知を行うまでの間に行われます。つまり手続が最終段階に入る前の話です。
通知を受ける前でも相談できます。運用基準は、調査を受けている事業者は「いつでも」、確約手続の対象になるかを確認したり、確約手続に付すことを希望する旨を申し出たりできると書いています。
3. 通知は違反の認定ではありません
確約手続通知は、被通知事業者の行為が景品表示法の規定に違反することを認定するものではなく、また、あくまで確約手続通知を行う時点で把握している事実が前提となるため、措置命令書や課徴金納付命令書と同程度に詳細な事実の認定や法令の適用の記載がなされるものではない。
申請しない選択もできます。その場合は調査が再開されますが、申請しなかったことを理由に不利益に取り扱われることはないと明記されています。
4. 使えない2つの場合
ここが実務上いちばん重要です。次に当たると確約手続の対象になりません。
- 調査開始の通知日・報告徴収等が行われた日・資料提出の求めが行われた日のうち最も早い日から遡り10年以内に法的措置を受けたことがある場合(法的措置が確定している場合に限る)
- 違反被疑行為とされた表示について根拠がないことを当初から認識しているにもかかわらず、あえて当該表示を行っているなど、悪質かつ重大な違反被疑行為と考えられる場合
2つめは、根拠を持たずに効果をうたった場合が典型です。書く前に根拠を持っているかどうかが、ここで効いてきます。
5. 認定される計画の2条件
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 措置内容の十分性 | 違反被疑行為等を是正するために十分なものであること |
| 措置実施の確実性 | 確実に実施されると見込まれるものであること |
後者は具体的に運用されます。被害回復を行う場合は、措置の内容、対象者への周知の方法、必要な資金の額とその調達方法が具体的に明らかにされていなければ、原則として確実性を満たすと認められません。
また法27条2項2号・31条2項2号により、実施期限を設定する必要があります。
6. 典型的な確約措置は7つ
| № | 措置 |
|---|---|
| ア | 違反被疑行為を取りやめること |
| イ | 違反被疑行為の内容について一般消費者へ周知徹底すること |
| ウ | 再発防止措置(コンプライアンス体制の整備等と、役員・従業員への周知徹底) |
| エ | 履行状況の報告(事業者自身または委託した独立した第三者から消費者庁へ) |
| オ | 一般消費者への被害回復(購入額の全部または一部の返金) |
| カ | 契約変更(取引先の変更、または既存の取引先との契約内容の見直し) |
| キ | 取引条件の変更(表示内容に合わせて契約内容を変える) |
ウの参考として、運用基準は「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」(平成26年内閣府告示第276号)を挙げています。
7. カの「取引先」にASPが挙がっています
アフィリエイトを使っている場合に直接関わる記述です。
違反被疑行為がなされるに至った要因が、被通知事業者の既存の取引先(例えば、アフィリエイターの管理を委託するASPや、表示の裏付けに係る調査業務を委託した調査会社等)にも存すると認められる事案において、取引先を変更し、又は既存の取引先との契約内容(委託業務の内容等)を見直すことは、措置内容の十分性を満たすために有益である。
ASPの定義も注記されています。法人または個人のアフィリエイターを幅広く募り、アフィリエイトネットワークを構築し、広告主とのマッチングをさせる機能を持つアフィリエイトプログラムを提供する事業者です。
8. 認定されると公表されます
認定後、消費者庁は認定確約計画の概要、違反被疑行為の概要、事業者名その他必要な事項を公表します。ただし公表に当たっては、景品表示法の規定に違反することを認定したものではないことを付記します。
一方、申請が却下された場合、認定が取り消された場合、申請を取り下げた場合は、原則としていずれも公表されません(調査が再開されるため)。
実務としてやること
- 過去10年以内に措置命令または課徴金納付命令を受けていないかを確認する。受けていれば確約手続は使えない。
- 効果や優位性をうたっている表示について、書いた時点で根拠を持っていたかを確認する。持たずに書いていた場合は「悪質かつ重大」に当たり得る。
- 調査を受けた段階で、確約手続の対象になるかを消費者庁に相談できる。通知を待つ必要はない。
- 通知を受けたら60日以内。計画には実施期限を必ず入れる。
- 返金を含めるなら、内容・周知方法・資金の額と調達方法まで書く。
- アフィリエイトを使っているなら、ASPとの委託内容を見直す余地があるかを点検しておく。
よくある質問
確約計画を出せば必ず認定されますか
いいえ。運用基準は「確約措置の内容が違反被疑行為の一部にしか対応していないなど、確約措置が認定要件に適合しない」場合があると書いています。
認定されたら違反はなかったことになりますか
運用基準は「確約計画の認定は、申請者が景品表示法の規定に違反する行為を行ったとの認定・判断を行うものではない」としています。違反があったと認定されないかわりに、なかったと認定されるわけでもありません。
計画を後から変えられますか
変更認定申請ができます。期限は設けられていませんが、実施期限の直前に申請した場合、消費者庁はその時期に申請することとなった事情を考慮して判断するとされています。
すでに行為をやめている場合も対象ですか
対象になり得ます。法30条により、違反被疑行為が既になくなっている場合は影響是正措置計画の枠組みが使われます。
参照した一次情報
- 消費者庁「確約手続に関する運用基準」(令和6年4月18日消費者庁長官決定) caa.go.jp(PDF)
2026年9月28日確認。確約手続の趣旨、通知の内容と法26条・30条、60日という申請期限、通知が違反の認定でないこと、申請しなくても不利益に扱われないこと、対象外となる2つの場合(10年以内の法的措置、悪質かつ重大)、認定要件2つ、確約措置の典型例7つ、ASPの定義、公表の取扱いはこの運用基準に基づきます。 - 消費者庁「景品表示法関係ガイドライン等」 caa.go.jp
2026年9月28日確認。確約手続に関する運用基準が掲載されているページです。
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この記事は公開されている運用基準の記述を整理したものです。個別の事案での手続の選択は消費者庁または弁護士にご相談ください。


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