労災で最も多いのは転倒で26.8%|60歳以上が死傷者の3割を占めます

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結論:死亡災害は過去最少、けがは4年連続で増加。最多は転倒です

厚生労働省が令和7年5月に公表した令和6年の労働災害発生状況は、2つの傾向が逆を向いています。

指標 令和5年 令和6年 傾向
死亡者数 755人 746人 長期的に減少傾向、過去最少
休業4日以上の死傷者数 135,371人 135,718人 近年増加傾向、4年連続で増加

死亡は減り、けがは増えています。中身を見ると、増えている部分がはっきりしています。

1. けがの型は転倒が最多で26.8%

事故の型 令和5年 令和6年 構成比
転倒 36,058 36,378 26.8%
動作の反動・無理な動作 22,053 22,218 16.4%
墜落・転落 20,758 20,699 15.3%
はさまれ・巻き込まれ 13,928 13,550 10.0%
切れ・こすれ 7,598 7,420 5.5%
激突 6,925 6,947 5.1%
その他 28,051 28,506 21.0%
合計 135,371 135,718 100%

厚生労働省は増減の方向をこう整理しています。

事故の型別の死傷者数は、転倒、動作の反動・無理な動作等で増加し、はさまれ・巻き込まれ、切れ・こすれ等で減少した。

機械にはさまれる、刃物で切るといった設備由来の災害は減り、転ぶ、無理な動きをするといった行動由来の災害が増えています。

2. 行動由来の3つで58%

資料はこの構造を明示しています。

死傷災害は、転倒、墜落・転落、動作の反動・無理な動作といった労働者の行動に起因する災害が多く、その割合は、増加傾向にあり、令和6年には全体の58%を占めている。

転倒26.8%+動作の反動16.4%+墜落・転落15.3%=58.5%です。設備を直しても届かない領域が6割近くだということになります。

3. 死亡災害の型は違います

事故の型 令和5年 令和6年 構成比
墜落・転落 204 188 25.2%
交通事故(道路) 148 123 16.5%
はさまれ・巻き込まれ 108 110 14.7%
激突され 47 61 8.2%
崩壊・倒壊 38 49 6.6%
(その他の型) 43 44 5.9%
その他 167 171 22.9%
合計 755 746 100%

厚生労働省の整理はこうです。

事故の型別の死亡者数は、激突され、崩壊・倒壊等で増加し、墜落・転落、交通事故(道路)で減少した。

そして上位3つの集中度についても記述があります。

死亡災害は、墜落・転落、交通事故(道路)、はさまれ・巻き込まれが多く、3つの型で全体の56%を占めており、過去10年間も同様の傾向にある。

けがの最多である転倒は、死亡災害の上位3型には入りません。死につながる型と、件数が多い型は別だということです。

4. 業種別の傾向

資料の記述は次のとおりです。

  • 業種別の死亡者数は、製造業、建設業、林業で増加し、陸上貨物運送事業、第三次産業、その他で減少した
  • 業種別の休業4日以上の死傷者数は、陸上貨物運送事業、第三次産業、その他(林業等)で増加し、製造業、建設業で減少した

死亡災害については「建設業、製造業、陸上貨物運送事業の3業種で全体の6割強を占めており、過去10年間同様の傾向である」とされています。

5. 60歳以上が死傷者の3割を占めます

ここが今回の資料でいちばん重い数字です。

指標 60歳以上の割合(令和6年)
雇用者全体に占める割合 19.1%
休業4日以上の死傷者数に占める割合 30.0%

働いている人の約5人に1人が60歳以上なのに、けがをした人では約3人に1人です。60歳以上の死傷度数率は2.41、死傷千人率は4.00と示されています。

なお雇用者に占める60歳以上の割合は、資料のグラフ上で9.8%から19.1%へと推移しています。

6. 加齢で上がる型は決まっています

資料は年齢階層別・男女別の発生率を事故の型別に分析しています。

「墜落・転落」、「転倒による骨折等」では、特に60歳以上で、加齢に応じ、労働災害発生率(度数率)が著しく上昇する。
「動作の反動・無理な動作」と「はさまれ・巻き込まれ」も、加齢に応じ、労働災害発生率が上昇する傾向がある。

「著しく上昇する」とされているのが墜落・転落と転倒による骨折等の2つです。転倒はけがの最多であり、かつ高齢で悪化する型という位置にあります。

7. 転倒の死傷年千人率

転倒災害の死傷年千人率は0.629で、対前年比0.001ポイント(0.2%)の増加となっています。

実務としてやること

  1. 自社で起きたヒヤリハットと実際のけがを、事故の型で分類してみる。転倒・動作の反動・墜落転落に集まっていないかを見る。
  2. 転倒の原因を場所で洗い出す。段差、床の濡れ、配線、照明の暗さ、通路の物置き。設備の安全装置では防げない種類です。
  3. 60歳以上の従業員がいる職場では、墜落・転落と転倒に優先して手を入れる。この2つが加齢で著しく上がる型です。
  4. 「動作の反動・無理な動作」が増えている点を踏まえ、重い物の持ち方、運搬の高さ、姿勢を確認する。2番目に多い型です。
  5. 建設業・製造業・陸上貨物運送事業に当たる場合、死亡災害の6割強がこの3業種であることを前提に、墜落防止と交通安全を分けて点検する。
  6. けがが起きた場合、労働者死傷病報告の提出が必要です。提出方法は電子申請が義務化されています。

よくある質問

この数字はいつの時点のものですか

令和7年5月30日付けで厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課が公表した令和6年の労働災害発生状況です。あわせて令和7年5月に確定値も公表されています。

休業4日以上というのはどういう区切りですか

資料の指標は「休業4日以上の死傷者数」で、出典は労働者死傷病報告です。休業3日以下の災害はこの数字に含まれません。

新型コロナウイルス感染症は含まれていますか

事故の型別および高年齢労働者に関するグラフには「新型コロナウイルス感染症へのり患による労働災害を除いたもの」という注記があります。

死亡者数が減っているのに死傷者数が増えるのはなぜですか

資料は理由を断定していません。数字として読み取れるのは、死亡につながりやすい墜落・転落と交通事故(道路)が減り、件数の多い転倒と動作の反動・無理な動作が増えている、という構成の変化です。

参照した一次情報

  • 厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課「令和6年 労働災害発生状況について」(令和7年5月30日) mhlw.go.jp(PDF)
    2026年9月27日確認。死亡者数746人・死傷者数135,718人とその前年値、事故の型別の死亡者数・死傷者数と構成比、増減の方向、死亡災害上位3型で56%・死傷災害上位3型で58%、業種別の増減と3業種で6割強、60歳以上の雇用者19.1%・死傷者30.0%、死傷度数率2.41・死傷千人率4.00、加齢に応じて発生率が上昇する型、新型コロナを除く旨の注記はこの資料に基づきます。
  • 厚生労働省「令和6年の労働災害発生状況を公表」 mhlw.go.jp
    2026年9月27日確認。令和6年の労働災害発生状況の公表ページです。転倒災害の死傷年千人率0.629(対前年比0.001ポイント・0.2%増)はこの公表に関する資料に基づきます。
  • 厚生労働省「令和6年における労働災害発生状況(確定値)」(令和7年5月) mhlw.go.jp(PDF)
    2026年9月27日確認。確定値として公表されている資料です。

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この記事は公開されている統計資料の記述を整理したものです。個別の職場の安全対策については、所轄の労働基準監督署または労働安全衛生の専門家にご相談ください。

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