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結論:届出は「課税期間が始まる前の日」までです
簡易課税でよくある失敗はこれです。今年の分を今年になってから決めることはできません。
簡易課税制度を適用するためには、その課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。
個人事業者なら、令和9年分から使いたければ令和8年12月31日までです。確定申告のときに「簡易のほうが得だった」と気づいても、その年分には戻せません。
1. 使えるのは課税売上高5,000万円以下
国税庁は基準期間の課税売上高が5,000万円以下の課税期間について適用できるとしています。基準期間は個人事業者なら前々年、法人は原則として前々事業年度です。
免税事業者かどうかを判定する1,000万円とは別の線です。1,000万円の判定はこちらで整理しています。
2. 仕入れを数えずに、売上だけで計算する制度です
簡易課税は、売上に係る消費税額に「みなし仕入率」を掛けたものを、仕入れに係る消費税額とみなして納付税額を計算する方法です。
だから、実際にいくら仕入れたかを集計しなくてよくなります。そのかわり、実際の仕入れが多かった年でも、みなし仕入率以上には引けません。
3. みなし仕入率(事業区分ごと)
| 事業区分 | 該当する事業 | みなし仕入率 |
|---|---|---|
| 第1種事業 | 卸売業 | 90% |
| 第2種事業 | 小売業、飲食料品の譲渡に係る農業・林業・漁業 | 80% |
| 第3種事業 | 農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡以外)、鉱業、建設業、製造業など | 70% |
| 第4種事業 | 第1種・第2種・第3種・第5種・第6種以外の事業 | 60% |
| 第5種事業 | 運輸通信業、金融・保険業、サービス業(飲食店業を除く) | 50% |
| 第6種事業 | 不動産業 | 40% |
美容室・理容室・士業・デザインなどのサービス業は第5種(50%)に当たるのが原則です。ただし個々の事業がどの区分になるかの判定は、当サイトでは行えません。同じ店舗でも、店販品の販売は別区分になることがあります。
4. 2種類以上の事業をしている場合
原則は事業区分ごとに分けて計算します。ただし特例があります。
- 1種類の事業の課税売上高が全体の75%以上を占める場合、その事業のみなし仕入率を全体に適用できる
- 特定の2種類の事業の課税売上高の合計が全体の75%以上を占める場合も、一定の方法で計算できる
この特例を使うには、事業区分ごとの売上を分けて記録しておく必要があります。区分していないと不利な率で計算されることがあります。
5. 一度選ぶと2年は戻せません
事業を廃止した場合を除き、選択届の効力が生ずる課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出することはできません。
つまり最低2年間は簡易課税です。設備投資を予定しているなら、この2年縛りは効いてきます。
課税事業者を選択したときの2年縛りと構造は似ていますが、別の届出です。両方に縛りがあることに注意してください。
6. 設備投資をする年は不利になり得ます
簡易課税は実際の仕入れを見ません。大きな設備を買っても、その分の消費税を引けません。原則課税なら還付になる場面でも、簡易課税では還付になりません。
サロンの改装、機材の入れ替え、車両の購入など、まとまった支出を予定している年の前年末が判断のタイミングです。届出の期限が「前日まで」である以上、計画を先に持っていないと選べません。
7. インボイスの2割特例との関係
インボイス制度をきっかけに課税事業者になった人には、2割特例があります。2割特例は届出が不要で、申告のときに選べます。簡易課税は事前届出が必要です。ここが根本的に違います。
どちらが有利かの個別判断は当サイトでは行いません。2割特例の適用期間と簡易課税の届出期限の関係には特例があるため、所轄の税務署または税理士にご確認ください。
8. 決める順番
- 基準期間(個人は前々年)の課税売上高が5,000万円以下か
- 自分の事業がどの事業区分に当たりそうか(率が40%〜90%まで開きます)
- 向こう2年間に大きな設備投資の予定があるか
- 2種類以上の事業がある場合、区分して記録できるか
- 使うならその課税期間が始まる前日までに届出書を出す
消費税の申告を会計ソフトで行う場合
以下は広告です。当サイトでは、これらのソフトが簡易課税の事業区分ごとの集計にどこまで対応するかを検証していません。対応状況・料金・プランは変更されることがあるため、必ず公式サイトで最新の内容をご確認ください。優劣を示すものではなく、選択肢として並べています。
青色申告をする場合:やよいの青色申告オンライン![]()
白色申告の場合:やよいの白色申告オンライン![]()
もう一方の選択肢:
FAQ
今年から簡易課税にできますか。
原則としてできません。その課税期間の初日の前日までに届出書を提出する必要があります。
売上が5,000万円を超えたらどうなりますか。
基準期間の課税売上高が5,000万円を超える課税期間は簡易課税を適用できません。届出の効力そのものの扱いについては、当サイトでは確認していません。
美容室は何種ですか。
サービス業は第5種事業(50%)とされていますが、個々の事業の区分判定は当サイトでは行えません。店販品の販売など、同じ事業者でも区分が分かれることがあります。
やめたいときはいつでもやめられますか。
いいえ。事業を廃止した場合を除き、効力が生ずる課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ不適用届出書を提出できません。
簡易課税でも帳簿は要りますか。
仕入税額の集計は不要でも、売上を事業区分ごとに把握する必要があります。帳簿と書類の保存義務そのものは別にあります。
参照した一次情報
- 国税庁 タックスアンサー No.6505「簡易課税制度」 nta.go.jp
2026年9月16日確認。基準期間の課税売上高5,000万円以下という要件、届出書をその課税期間の初日の前日までに提出する旨、第1種から第6種までの事業区分とみなし仕入率、75%以上の特例、事業を廃止した場合を除き2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ不適用届出書を提出できない旨の引用はこのページに基づきます。
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この記事は当サイト運営者が執筆しました。税理士等の専門家による記事ではありません。上記の確認日以降に国税庁の記載が変わっている可能性があります。事業区分の判定および有利不利の個別判断は、所轄の税務署または税理士へお願いします。


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