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結論:美容医療の「体験談」は、広告として認められていません
クリニックのサイトやSNSで見かける「お客様の声」。医療機関の場合、これは規制の対象です。厚生労働省の医療広告ガイドラインの整理です。
治療等の内容又は効果に関して、患者自身の体験や家族等からの伝聞に基づく主観的な体験談の広告をしてはならない。医療広告ガイドラインでは、こうした体験談について、医療機関への誘引を目的として紹介することは、個々の患者の状態等により感想が異なり得るものであり、誤認を与えるおそれがあることを踏まえ、医療に関する広告としては認められない、とされている。
これは省令で禁止されている事項です。事例解説書は、認められない体験談のパターンを6つ挙げています。
| # | パターン |
|---|---|
| 1 | 治療内容または効果に関する体験談 |
| 2 | 口コミサイトから転載したもの |
| 3 | 医療機関のスタッフによる記載 |
| 4 | 体験談の編集 |
| 5 | 患者直筆アンケートの加工・転載 |
| 6 | 患者の主訴として記載された体験談 |
「よそのサイトから持ってきた」「本人が書いたものをそのまま載せた」も対象です。出どころや加工の有無ではなく、内容が主観的な体験談かどうかで判断されます。
1. ビフォーアフター写真は「説明を付ければ可能」です
こちらは全面禁止ではありません。ガイドラインの考え方です。
個々の患者の状態等により当然に治療等の結果は異なるものであることを踏まえ、誤認させるおそれがある写真等については医療に関する広告としては認められないとされている一方で、詳細な説明を付した場合についてはこれに当たらない、とされている。
必要な情報は4つです。
| # | 付すべき情報 | 記載例 |
|---|---|---|
| ① | 通常必要とされる治療内容 | どんな施術を、どこに、どうやって行ったか |
| ② | 治療期間及び回数 | 「約6ヶ月間、10回」 |
| ③ | 標準的な費用 | 「総額1,100,000円(検査・診断、手術関連処置費用等を含む)」など内訳つき |
| ④ | 主なリスク・副作用 | 「出血、腫張、疼痛、青痣、神経麻痺、補綴物の脱落、破折…」など具体的に |
解説書が認められない例として挙げているのは、次の3つです。
- 写真のみで説明が一切ない
- 説明が不十分(「審美面・機能面ともに回復しました。治療費は1,500,000円〜。」のように、期間・回数・リスク・副作用がない)
- クリックしなければ説明が表示されない
3つ目についてはガイドラインの原文が引かれています。
詳細な情報の掲載場所については、患者等にとって分かりやすいよう十分に配慮し、例えば、リンクを張った先のページへ掲載したり、利点や長所に関する情報と比べて極端に小さな文字で掲載したりといった形式を採用してはならない
「詳細はこちら」で料金ページに飛ばす形は認められません。写真と同じ場所に書く必要があります。
補足として、術前又は術後のイラストや、術前のみ・術後のみの写真にも同じ情報を付す必要があるとされています。
2. 加工・修正した写真は「虚偽広告」です
説明を付ければよい、という話とは別の扱いです。
あたかも効果があるかのように見せるため加工・修正した術前術後の写真等は虚偽広告として取り扱うべき
明るさや角度を変えて「効いたように見せる」ことは、説明を付けても解決しません。
3. 自由診療は原則として広告できません(限定解除の4要件)
美容医療の多くは自由診療です。
自由診療は、一部の例外を除いて広告可能事項には該当しないため、原則として広告できない。しかし、広告可能事項の限定解除要件を満たし、かつ禁止される広告に該当しない場合は、広告可能事項に該当するか否かによらず広告できる。
自由診療で限定解除を満たすために必要な情報が、先ほどの4つです。
- 通常必要とされる治療内容
- 治療期間及び回数
- 標準的な費用
- 主なリスク、副作用
加えて、限定解除の前提として容易に照会できるよう問い合わせ先(電話番号、Eメールアドレス等)を明示することが必要とされています。解説書は、問い合わせ先を書いていないために限定解除要件を満たしていない例を挙げています。
4. ほかに挙げられている禁止・注意事例
| 分類 | 事例 |
|---|---|
| 虚偽広告 | 治療内容・期間の虚偽/データの根拠を明確にしない調査結果/加工・修正した術前術後の写真 |
| 比較優良広告 | 最上級の比較/他の医療機関との比較/著名人との関係性強調 |
| 誇大広告 | 「医療広告ガイドラインを遵守している旨」の広告/施設について誤認させる広告(〇〇センター)/科学的根拠が乏しい情報による誘導/データの内訳が示されていない手術件数 |
| 注意が必要 | 提供される医療とは直接関係ない事項による誘引/費用を強調した広告/バナー広告・リスティング広告における違反/特定の人のみが閲覧可能な広告における違反 |
「医療広告ガイドラインを遵守しています」と書くこと自体が誇大広告の例に挙げられている、というのは覚えておく価値があります。
5. SNSと動画も対象です
解説書は第2章でSNS・動画における事例を扱っています。SNSについては体験談・ビフォーアフター写真・自由診療の限定解除、動画についても同じ3つが並んでいます。
「ウェブサイトではないから対象外」にはなりません。また、特定の人のみが閲覧可能な広告における違反も事例に挙がっており、会員限定やクローズドな配信であることも理由になりません。
6. 受ける側の見方
ここまでを、患者の側から読み直すとこうなります。
- 体験談が並んでいるサイトは、その時点でガイドラインに沿っていない可能性があります
- ビフォーアフター写真に、期間・回数・費用・リスクが同じ画面にない場合も同じです
- 「詳細はこちら」で別ページに飛ばしている形は、認められていない形式です
- 費用だけが大きく、リスクが小さい文字で書かれているものにも注意が必要です
逆に言えば、治療内容・期間・回数・費用・リスクを同じ場所に並べて書いているところは、少なくともこの点では整理されているということです。
エステと医療機関の線引きについては脱毛の記事、中途解約については中途解約の記事にまとめています。
7. 実務としてやること(医療機関以外の事業者も)
美容室・サロンは医療広告ガイドラインの直接の対象ではありませんが、考え方はそのまま景品表示法・薬機法の世界にも通じます。
- 体験談・口コミの転載をサイトに置いていないか確認する
- ビフォーアフター写真に、施術内容・回数・料金・起こり得ること を同じ画面に書く
- 写真の加工・修正をしない
- 最上級表現・他社比較を使っていないか確認する
- SNS・動画も同じ基準で見る
当サイトでは個別の広告の適否を判断しません。医療機関の広告については医療広告ガイドラインおよび事例解説書を、それ以外の事業者については景品表示法・薬機法の所管官庁の情報をご確認ください。
FAQ
患者が自分で書いた体験談ならよいのですか。
認められません。事例解説書は患者直筆アンケートの加工・転載も禁止事例として挙げています。判断されるのは治療等の内容又は効果に関する主観的な体験談かどうかです。
口コミサイトの内容を引用するのはどうですか。
口コミサイトからの転載も禁止事例として挙げられています。
ビフォーアフター写真は一切載せられませんか。
いいえ。通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項や、治療等の主なリスク、副作用等の詳細な情報を付すことにより広告が可能です。
説明は別ページへのリンクでもよいですか。
認められません。ガイドラインはリンクを張った先のページへ掲載したり、極端に小さな文字で掲載したりといった形式を採用してはならないとしています。
SNSの投稿も規制の対象ですか。
事例解説書は第2章でSNS・動画における事例(体験談、ビフォーアフター写真、自由診療の限定解除)を扱っています。
「医療広告ガイドラインを遵守しています」と書くのはどうですか。
解説書では誇大広告の事例として挙げられています。
参照した一次情報
- 厚生労働省「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第5版)」令和7年3月作成 mhlw.go.jp(PDF)
2026年9月20日確認。体験談の6つの禁止事例、ビフォーアフター写真に付すべき4つの情報と認められない3つの例、リンク先への掲載や極端に小さな文字の禁止、加工・修正した術前術後の写真の扱い、自由診療における限定解除要件と問い合わせ先の明示、虚偽広告・比較優良広告・誇大広告の事例、SNS・動画における事例に関する記述はこの解説書に基づきます。医療広告ガイドライン本文および医療広告ガイドラインに関するQ&Aの全文は本記事では扱っていません。また、本記事は医療機関の広告規制を扱ったもので、美容室・エステティックサロン等に直接適用されるものではありません。
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