自転車保険は34都府県で義務です|すでに入っている保険で足りることがあります

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結論:34都府県で義務、10道県で努力義務。自分の住所と、通勤先の自治体の両方を見ます

自転車損害賠償責任保険等への加入は、法律ではなく自治体の条例で定められています。国土交通省の資料によると、状況はこうです。

区分 自治体数
条例により加入を義務化 34都府県
条例により努力義務化 10道県
国土交通省「自転車損害賠償責任保険等への加入促進について」より。令和6年4月1日現在(公布日ベース)。

義務化の条例改正は、平成27年10月に兵庫県で初めて導入され、その後多くの自治体に広がりました。都道府県だけでなく市町村単位でも条例が制定されている場合があります。

1. なぜ義務化が広がったのか

国土交通省の説明は簡潔です。

最近では、自転車事故によって他人の生命や身体を害した場合に、加害者が数千万円もの高額の損害賠償を命じられる判決事例が出ています。

自転車活用推進本部は、自転車活用推進官民連携協議会や各地方公共団体等と連携して加入促進に取り組むとともに、地方公共団体に向けて標準条例(技術的助言)を作成・配布し、条例の制定を支援しています。多くの自治体の条例が似た構造になっているのは、このためです。

2. 標準条例の中身:誰が加入するのか

標準条例第3条は、加入義務を負う者を4つに分けています。

対象 内容
自転車を利用する者(未成年者を除く) 自転車損害賠償責任保険等に加入しなければならない
未成年者を監護する保護者 監護する未成年者が自転車を利用するとき、その利用に係る保険等に加入しなければならない
事業者 事業活動において自転車を利用するとき、その利用に係る保険等に加入しなければならない
自転車貸付事業者 貸付けの用に供する自転車の利用に係る保険等に加入しなければならない
「自転車損害賠償責任保険等への加入促進に関する標準条例」第3条より

いずれにもただし書きが付いています。当該利用に係る保険等への加入の措置が他の者により講じられているときは、この限りでない——つまり、すでに別の誰かが入っていれば、重ねて入る必要はありません。

これが実務上いちばん大事な点です。自転車保険という名前の商品に入っていなくても、次のようなもので賠償責任が補償されていれば、条例の求めを満たすことがあります。

  • 自動車保険や火災保険に付帯する個人賠償責任特約
  • クレジットカードに付帯する個人賠償責任保険
  • 勤務先の団体保険
  • 学校のPTA・共済
  • TSマーク付帯保険(自転車の整備に伴うもの)

「家族のうち誰かが個人賠償責任特約に入っていれば家族全員が対象になる」という商品もありますが、補償範囲は商品ごとに異なります。本記事では個別の保険商品の内容は確認していません。加入済みかどうかは、証券や約款で自分で確認する必要があります。

3. 「自転車損害賠償責任保険等」の定義

標準条例第2条の定義はこうです。

「自転車損害賠償責任保険等」とは、自転車の運行によって人の生命又は身体が害された場合における損害賠償を保障することができる保険又は共済をいう。

ここは読み落としやすい部分です。定義されているのは人の生命または身体が害された場合の賠償です。物損(相手の自転車や車、店舗の物を壊した場合)は、この定義には含まれていません。自分のケガの補償(傷害保険部分)も含まれていません。

条例が求めているのは対人賠償の部分であり、それ以外をどうするかは各自の判断になります。

4. 売る側・雇う側にも役割があります

標準条例第4条は、確認と情報提供の努力義務を定めています。

対象 内容
自転車小売業者 自転車を販売するとき、購入しようとする者に対し保険等の加入の有無を確認するよう努める。確認できないときは、加入に関する情報を提供するよう努める
事業者 従業者のうちに通常の通勤の方法として自転車を利用する者がいるときは、その者に対し加入の有無を確認するよう努める。確認できないときは情報を提供するよう努める
自転車貸付事業者 業として自転車を貸し付けるとき、借受人に対し保険等の内容に関する情報を提供するよう努める

小さな店でも、スタッフが自転車通勤をしているなら該当します。確認する側の努力義務です。

また第5条により、都道府県等は市町村・保険者・関係団体と連携して情報提供等の措置を講ずるものとされ、学校等の設置者は自転車を利用する児童・生徒・学生およびその保護者に対し情報を提供するよう努めることとされています。

5. 自治体ごとに違うところ

標準条例はあくまで技術的助言であり、実際の条例は自治体ごとに定められます。そのため、次の点は自分の自治体の条例で確認する必要があります。

  • 義務か努力義務か
  • 対象となる「自転車を利用する者」の範囲(居住者か、その自治体内で利用する者か)
  • 罰則の有無
  • 市町村独自の条例があるか

通勤・通学で他の自治体に入る場合、両方の条例を見る必要があります。住んでいる県が努力義務でも、通勤先の県が義務化していれば、そちらの条例の適用を受ける可能性があります。

なお、条例に罰則が設けられているかどうかについて、本記事では個別の自治体の条例を確認していません。国土交通省の標準条例には罰則の規定は置かれていません。

6. 加入を確認するときの順番

# 確認すること
1 自動車保険・火災保険の証券を出し、「個人賠償責任」の特約が付いているか
2 付いている場合、補償の対象者に自分(および家族)が含まれるか
3 自転車事故が対象に含まれるか(日常生活の賠償責任として含まれることが多い)
4 支払限度額はいくらか
5 示談交渉サービスが付いているか
6 クレジットカードや勤務先の団体保険、学校の共済に同様の補償がないか

1〜5については、保険会社・共済に直接確認するのが確実です。重複して加入しても、賠償責任保険は実際の損害額を超えて受け取れるものではないため、複数入る意味は限られます。

加入に当たっての確認ポイントは、自転車活用推進官民連携協議会のサイトにも掲載されています。

実務としてやること

自転車を使う人

  • 住んでいる自治体と、通勤・通学先の自治体の条例を確認する
  • すでに加入している保険・共済に個人賠償責任の補償が含まれていないか、証券を見て確認する
  • 含まれている場合、対象者・支払限度額・示談交渉サービスの有無を確認する
  • 子どもが自転車に乗るなら、保護者が加入の措置を講じる

事業者

  • 事業活動で自転車を使う場合(配達・営業など)、その利用に係る保険等に加入する
  • 自転車通勤をしている従業員に、加入の有無を確認する
  • 確認できない従業員には、加入に関する情報を提供する
  • 自転車を貸し出す事業なら、貸付用自転車の保険等に加入し、借受人に内容を情報提供する

FAQ

入っていないと罰金ですか

国土交通省の標準条例には罰則の規定がありません。実際の条例に罰則があるかどうかは自治体ごとに異なります。ご自身の自治体の条例をご確認ください。ただし、罰則の有無にかかわらず、事故を起こせば賠償責任は発生します。

子どもの分も必要ですか

標準条例は、未成年者を監護する保護者に対し、監護する未成年者が自転車を利用するときは加入しなければならないと定めています。ただし、保護者以外の者により加入の措置が講じられているときは、この限りではありません。

個人賠償責任特約があれば自転車保険はいらないのですか

標準条例の定義は「自転車の運行によって人の生命又は身体が害された場合における損害賠償を保障することができる保険又は共済」です。この範囲を補償する特約に加入していれば、条例の求めるところは満たしうることになります。ただし、補償対象者や補償範囲は商品ごとに異なります。本記事では個別商品の内容を確認していないため、必ずご自身の証券・約款でご確認ください。

自分のケガは補償されますか

条例が求めているのは、相手方の生命・身体に対する損害賠償の部分です。自分のケガの補償は含まれていません。必要と考える場合は、別途、傷害保険等を検討することになります。

レンタサイクルを借りるときは自分で入らなくてよいのですか

標準条例は、自転車貸付事業者に対し、貸付用自転車の利用に係る保険等への加入を義務づけています。ただし、その補償内容は事業者ごとに異なります。借りるときに、事業者が提供する情報を確認してください。

34都府県というのは、いつ時点の数字ですか

国土交通省のページに「令和6年4月1日現在(公布日ベース)」として記載されているものです。条例は随時制定・改正されるため、現在の状況は自治体の発表でご確認ください。

参照した一次情報

  • 国土交通省「自転車損害賠償責任保険等への加入促進について」 mlit.go.jp
    2026年9月21日確認。高額賠償の判決事例があること、標準条例を技術的助言として作成・配布していること、令和6年4月1日現在で34都府県が義務化・10道県が努力義務化していること(公布日ベース)、平成27年10月に兵庫県で初めて導入されたことに関する記述はこのページに基づきます。
  • 自転車活用推進本部「自転車損害賠償責任保険等への加入促進に関する標準条例」 mlit.go.jp(PDF)
    2026年9月21日確認。第1条(趣旨)、第2条(自転車損害賠償責任保険等の定義)、第3条(加入義務の4区分とただし書き)、第4条(小売業者・事業者・貸付事業者の確認と情報提供の努力義務)、第5条(都道府県と学校等の設置者の情報提供)に関する記述はこの資料に基づきます。

いずれも2026年9月21日に確認しました。自治体数は令和6年4月1日現在(公布日ベース)として国土交通省が公表しているものです。条例の内容は自治体ごとに異なり、随時改正されます。

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この記事は、公表されている一次情報をもとに整理したものです。特定の保険商品を推奨するものではなく、加入の要否や補償内容については保険会社・共済または自治体にご確認ください。

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