飲酒は量ではなく純アルコール量で見ます|男性40g・女性20gと、疾患ごとの線

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結論:お酒の量ではなく「純アルコール量(g)」で考えます

厚生労働省の「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」は、ビール何杯ではなく純アルコール量(グラム)で考えるという枠組みを示しています。計算式はこれだけです。

純アルコール量(g)= 摂取量(ml)× アルコール濃度(度数/100)× 0.8(アルコールの比重)

ガイドラインが挙げている例です。

ビール500ml(5%)の場合の純アルコール量
500(ml) × 0.05 × 0.8 = 20(g)

ガイドラインは、これを食品のエネルギー(kcal)のように数値化できるものとして扱っています。

1. まず押さえる数字は、男性40g・女性20g

国内の目標として示されている数字です。

生活習慣病のリスクを高める量(1日当たりの純アルコール摂取量が男性40g以上、女性20g以上)

これは「健康日本21(第三次)」の目標に使われている区分です。ここには、ガイドライン自身の重要な注記が付いています。

これらの量の飲酒をしている者の減少を目標としたものです。なお、これらの量は個々人の許容量を示したものではありません。

40gまでなら安全、という意味ではありません。集団の目標に使われている線であって、個人の上限ではない、という書き方をしています。

換算すると、ビール5%なら純アルコール20gが500mlです。女性の20gはおおむねビール500ml 1本、男性の40gは2本に相当します。

2. 疾患ごとに、リスクが上がる量は違います

ガイドラインは、日本人を対象とした研究に基づく疾病別の数字を表で示しています。「0g<」は少しでも飲酒をするとリスクが上がると考えられるものです。

疾病男性(週)女性(週)
高血圧0g<0g<
食道がん0g<データなし
胃がん0g<150g/週(約20g/日)
脳卒中(出血性)150g/週(約20g/日)0g<
大腸がん150g/週(約20g/日)150g/週(約20g/日)
前立腺がん(進行がん)150g/週(約20g/日)
乳がんデータなし100g/週(約14g/日)
肝がん450g/週(約60g/日)150g/週(約20g/日)
脳卒中(脳梗塞)300g/週(約40g/日)75g/週(約11g/日)
肺がん(喫煙者)300g/週(約40g/日)データなし
肺がん(非喫煙者)関連なしデータなし
虚血性心疾患・心筋梗塞研究中研究中

カッコ内の1日あたりの値は、週の数値を7で割った参考値(概数)としてガイドラインに記載されているものです。

読み取れることは2つあります。

  • 「男性40g・女性20g」は、すべての疾患に当てはまる線ではありません。高血圧や男性の食道がんは0g<です
  • 男女で数字が大きく違う疾患があります。脳卒中(脳梗塞)は男性300g/週に対し女性75g/週です

ガイドラインは、これらより少ない量にすれば発症しないとまでは言えないが、当該疾患にかかる可能性を減らすことができると考えられる、という書き方をしています。

3. 「60g」はもう1つの区切りです

1日あたりではなく、1回の飲酒機会についての数字があります。

一時多量飲酒(1回の飲酒機会で純アルコール摂取量60g以上)は、外傷の危険性も高めるものであり、避けるべきです。

ビール5%なら1,500ml、日本酒15%なら約500mlで60gです。短時間に一気に飲むことが問題として挙げられています。

4. 年齢・性別・体質で影響が変わります

区分ガイドラインの記述
高齢者体内の水分量の減少等で同じ量でも酔いやすくなる。一定量を超えると認知症の発症の可能性が高まる。転倒・骨折筋肉の減少(サルコペニア等)の危険性も高まる
10代・20代20歳代も脳の発達の途中。多量飲酒で脳の機能が落ちるとのデータ。高血圧等のリスクが高まる可能性
女性体内の水分量が少なく、分解できるアルコール量も男性より少ない。エストロゲン等の働きでアルコールの影響を受けやすい。男性より少ない量・短い期間でアルコール関連肝硬変になる場合がある
体質分解酵素の働きが弱いとフラッシング反応(顔が赤くなる・動悸・吐き気)。日本では41%程度いるとされる

体質について、見落とされやすい記述があります。

そのような人が、長年飲酒して、不快にならずに飲酒できるようになった場合でも、アルコールを原因とする口の中のがんや食道がん等のリスクが非常に高くなるといったデータがあります

「飲めるようになった」は、リスクが下がったという意味ではないということです。

5. 飲む場合の具体的な配慮

ガイドラインが挙げている項目です。

  1. 自らの飲酒状況を把握する(医師等への相談、WHOが作成したスクリーニングテストAUDIT等を参考にする)
  2. あらかじめ量を決めて飲む
  3. 飲酒前または飲酒中に食事をとる(血中アルコール濃度が上がりにくくなる)
  4. 合間に水や炭酸水を飲む(ゆっくり分解・吸収できるようにする)
  5. 1週間のうち、飲酒をしない日を設ける(毎日飲み続けるとアルコール依存症の発症につながる可能性)

6. 避けるべきものとして挙がっているもの

行動理由
一時多量飲酒(特に短時間)身体疾患の発症、急性アルコール中毒、外傷の危険性
他人への飲酒の強要飲酒を契機とした暴力・暴言・ハラスメントにつながらないよう配慮が必要
不安や不眠を解消するための飲酒依存症の可能性を高める。眠りが浅くなり睡眠リズムを乱す
療養中・服薬後の飲酒免疫力の低下、薬の効果が弱まる・副作用。可否は主治医に尋ねる必要がある
飲酒中・飲酒後の運動や入浴血圧の変動が強まることで心筋梗塞等、転倒による身体の損傷

入浴については入浴中の事故の記事、眠りについては睡眠5原則の記事にまとめています。

法律で禁止されている、または特殊な状態で避ける必要があるものとしては、酒気帯び運転等(させることを含む)20歳未満の飲酒(させることを含む)妊娠中・授乳期中の飲酒体質的に受け付けられない人の飲酒が挙げられています。

7. 実務としてやること

  1. よく飲む銘柄の純アルコール量を1回だけ計算しておく(ml × 度数/100 × 0.8)
  2. 自分が気にしている疾患について、表の数字を確認する
  3. 飲まない日を週の中に置く
  4. 1回で60gを超えないようにする
  5. 服薬中・療養中は主治医に確認する

当サイトでは個別の健康相談に応じません。ガイドライン本文を厚生労働省のページでご確認のうえ、必要な場合はかかりつけ医にご相談ください。

FAQ

男性40g・女性20gまでなら安全ですか。

いいえ。ガイドラインは「これらの量は個々人の許容量を示したものではありません」と明記しています。高血圧や男性の食道がんは0g<(少しでも飲むとリスクが上がると考えられる)とされています。

純アルコール量はどう計算しますか。

摂取量(ml)× アルコール濃度(度数/100)× 0.8 です。ビール500ml・5%なら20gになります。

顔が赤くならなくなったので、体質が変わったということですか。

ガイドラインは、不快にならずに飲めるようになった場合でも口の中のがんや食道がん等のリスクが非常に高くなるというデータがあるとしています。

寝つきをよくするために飲むのはどうですか。

避けるべきものとして挙げられています。依存症になる可能性を高め、眠りが浅くなり睡眠リズムを乱すとされています。

お風呂上がりの1杯はどうですか。

ガイドラインは飲酒中または飲酒後の運動・入浴を避けるべき行動として挙げています(飲んでから入る場合の話です)。血圧の変動や転倒が理由とされています。

参照した一次情報

  • 厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」 mhlw.go.jp
    2026年9月19日確認。純アルコール量の計算式、男性40g・女性20gという区分とその注記、疾病別の飲酒量の表(表1)、一時多量飲酒60g、年齢・性別・体質による影響、配慮の仕方、避けるべき飲酒に関する記述はこのガイドラインに基づきます。表2の海外ガイドラインの数値、および参考文献の個別の研究内容は本記事では扱っていません。

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この記事は当サイト運営者が執筆しました。医師・医療従事者による記事ではありません。上記の確認日以降にガイドラインが改訂されている可能性があります。飲酒の可否や量の判断は、必要に応じてかかりつけ医にご相談ください。

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