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結論:分割払いの広告は「総額」と「支払方法」が一致していないと問題になります
分割払いやローンを前提に商品を売るとき、広告に書いた価格が現金販売価格だったり、書いた支払方法で計算すると総額が合わなかったりすると、景品表示法第5条第2号(有利誤認表示)に当たるおそれがあります。
消費者庁の運用基準は、問題になる行為を13項目に分けて挙げています。数字の一つひとつに「該当事例」がついているので、自分の広告と突き合わせやすい資料です。
1. まず「割賦販売価格」の定義を確認する
運用基準は割賦販売価格を、次のように定めています。
分割払価格、月賦価格、予約積立価格等名称のいかんを問わず、割賦販売業者が購入者から代金を2月以上の期間にわたり、かつ、3回以上に分割して受領することを条件として商品を販売する場合(役務の取引をする場合を含む。)において、購入者が当該商品を購入するために割賦販売業者らに支払う価格の総額
ポイントは2つです。「2か月以上の期間」かつ「3回以上の分割」という要件と、購入者が支払う「総額」であるという点です。金利や手数料を除いた本体価格は、割賦販売価格ではありません。
役務(サービス)の取引も含まれます。エステや教室の月謝制など、回数と期間の要件を満たす取引は対象になります。
2. 総額そのものを誤認させる4つの型
| 項 | 問題になる行為 | 運用基準の該当事例 |
|---|---|---|
| (1) | 割賦販売価格より低い現金販売価格等を、割賦販売価格であるかのように表示する | 「A店特価 125,000円」が実は現金販売価格だった |
| (2) | 総額を書かず支払方法だけを書き、総額が実際より低いと誤認させる | 「長期24回払い! 月々3,000円」だが実際は頭金とボーナス払いが別に加わる |
| (3) | 総額と支払方法を併記し、その支払方法で計算した額より低い総額を表示する | 「分割特価170,400円、頭金20,000円、月々3,300円・24回」だが、その方法での総額は180,000円 |
| (4) | 支払方法によって手数料が違うのに、手数料の低いほうの総額を高いほうの総額のように表示する | 「クレジット価格245,000円(毎月末集金)」が実は手数料の低い自動振込方式の価格 |
(3)は見落としやすい型です。総額を書いていても、併記した支払方法と計算が合わなければ問題になります。運用基準の事例では、実際は頭金3万円・12回というより重い条件で成り立つ価格を、頭金2万円・24回と並べて書いていました。
3. 比較対照価格を使うときの3つの相手
「近隣より安い」「標準価格より安い」と書く場合、比較の相手ごとに定義が決まっています。
| 比較の相手 | 運用基準の定義 |
|---|---|
| 割賦販売市価 | 同一商品について、当該事業者の属する取引地域の相当数の事業者が同地域で割賦販売している価格 |
| 希望割賦販売価格 | 製造業者などが付した割賦販売価格で、あらかじめ公表されているもの |
| 自店旧割賦販売価格 | 同一商品を最近相当期間にわたって割賦販売していた事実がある場合の、その期間の価格 |
どの相手でも、禁止される型は共通して3つあります。
- 実際より高い価格を、その比較価格として表示する
- その比較価格が存在しないのに、任意の価格を比較価格として表示する(希望価格・自店旧価格)
- 比較価格のほうが支払回数が多い、または頭金が低いのに、その旨を書かずに並べる
3つめが実務でいちばん引っかかります。金額だけ並べると安く見えても、支払条件が違えば比較になっていません。運用基準は「周辺割賦価格222,000円、I店割賦特価208,400円」という例を挙げ、周辺は頭金1割・24回なのに自店は頭金3割・12回だったケースを問題としています。
4. 頭金・手数料・回数・引渡し時期
残りの項目は、条件そのものを実際より軽く見せる行為です。
| 項 | 問題になる行為 |
|---|---|
| (10) | 頭金・ボーナス月支払額・手数料を、実際は取るのに取らないかのように書く、または実際より低い額・率を書く |
| (11) | アドオン方式で計算するのに実質金利を付記せず、実質金利方式のように見せる |
| (12) | 実際の支払回数より多い回数を選べるかのように書く |
| (13) | 代金の一部または全部を払う前に商品が届くかのように書く(実際は頭金を払わないと渡さない) |
(10)の該当事例には「頭金なしの長期24回払」と書きながら、12種類の商品のうち2種類だけが頭金不要だったケースがあります。一部にしか当てはまらない条件を全体に書くと問題になります。
5. アドオン方式という言葉の意味
(11)に出てくるアドオン方式について、運用基準は注記で説明しています。
借り手の必要借入額に単純に利率と借入期間数とを乗じて算出した金額を、当該借入額の全期間に対する利息総額とするものであつて、その一回あたりの返済額は、借入額に利息総額を加えた合計額を返済回数で割つたものとなる。
返済が進んで残高が減っても利息の計算に反映されないため、同じ「年率6%」でも実質金利方式より負担が大きくなります。だから率だけ書くと誤認が生じます。
6. ローン付販売と、提携ローンでないものを提携ローンに見せる行為
第2項は、ローン付販売(購入者が金融機関から借り、販売業者がその債務を保証する形の販売)にも同じ13項目を準用すると定めています。読み替えは次のとおりです。
- 割賦販売価格 → 支払総額(販売業者および金融機関に直接・間接に支払うものの総額)
- 割賦手数料 → 融資手数料
- 賦払金 → 融資額、支払回数 → 返済回数
第3項は、割賦販売あっせん業者や製造業者など、販売業者以外の者が行う同様の行為も対象にしています。
第4項は独立した禁止です。ローン付販売ではないのに、金融機関との提携ローンだと誤認される文言を使う行為が挙げられており、該当事例は「450万円、60回払いの○○銀行提携ローン」と書きながら実際は金融機関を紹介するだけだったケースです。
実務としてやること
- 分割払いの広告に載せている価格が、頭金・手数料・ボーナス払いを含んだ総額かどうかを確かめる。含んでいなければ、何の価格かを明記する。
- 総額と支払方法を併記している場合、その支払方法で実際に計算し直して総額と一致するか検算する。
- 「近隣より安い」「標準価格より」と書いている箇所について、比較相手の支払回数と頭金が自店と同じかを確認する。違うなら、その違いを書く。
- 「頭金なし」「手数料年率○%」が全商品・全プランに当てはまるかを確認する。一部だけなら対象を限定して書く。
- 手数料をアドオン方式で計算しているなら、実質年率を併記する。
- 提携ローンという言葉を使っているなら、実際に提携契約があるかを確認する。紹介だけなら使わない。
よくある質問
2回払いは対象ですか
運用基準の割賦販売価格の定義は「2月以上の期間にわたり、かつ、3回以上に分割して」受領する場合です。2回払いはこの定義に当たりません。ただし価格表示そのものが実際より有利だと誤認させるなら、不当な価格表示についての考え方など別の枠組みで問題になることがあります。
サービスの分割払いも含まれますか
含まれます。定義に「役務の取引をする場合を含む」と明記されています。
この運用基準はいつのものですか
昭和47年2月29日の事務局長通達第2号として定められ、平成12年6月30日に改正、平成28年4月1日に消費者庁長官決定として改正されています。条文中の「法第5条第2号」は現行の景品表示法の条番号です。
13項目のどれかに当たれば必ず違反ですか
運用基準は、これらの行為を「禁止される不当表示に該当するおそれがあるものとして取り扱うこと」と書いています。行政の処理方針を示したものなので、最終的な判断は個別の事案によります。
参照した一次情報
- 消費者庁「不当な割賦販売価格等の表示に関する不当景品類及び不当表示防止法第5条第2号の運用基準」 caa.go.jp(PDF)
2026年9月27日確認。割賦販売価格の定義、13項目の禁止行為とその該当事例、ローン付販売への準用、提携ローンに関する第4項の記述はこの資料に基づきます。 - 消費者庁「景品表示法関係ガイドライン等」 caa.go.jp
2026年9月27日確認。この運用基準が景品表示法関係のガイドラインとして掲載されていることを確認しました。
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この記事は公開されている運用基準の記述を整理したものです。個別の広告が景品表示法に適合するかどうかの判断は、消費者庁または各都道府県の表示担当窓口にご確認ください。


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