特殊詐欺の被害額は前年のほぼ2倍|ニセ警察詐欺が4割、対策は「話をしない」

暮らし役立ち情報

この記事には広告はありません。当サイトの他の記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれています。

結論:令和7年の被害額は約1,423億円。前年のほぼ2倍です

警察庁が令和8年6月5日に公表した確定値によると、令和7年の特殊詐欺の状況は次のとおりです。

区分 認知件数 被害額
特殊詐欺 27,832件(+6,789件、+32.3%) 約1,423.1億円(+704.3億円、+98.0%)
SNS型投資詐欺 9,523件(+3,110件、+48.5%) 1,288.0億円(+416.9億円、+47.9%)
SNS型ロマンス詐欺 5,645件(+1,821件、+47.6%) 546.4億円(+145.5億円、+36.3%)
警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」(2026年6月5日)より

被害額がほぼ倍増しています。警察庁はその主な要因を1つに特定しています。

1. 「ニセ警察詐欺」が全体の4割

警察官等をかたり捜査(優先調査)名目で現金等をだまし取る手口(以下「ニセ警察詐欺」という。)による被害が顕著であり、認知件数は11,014件、被害額は1,005.0億円で、総認知件数に占める割合は39.6%。

さらに、オレオレ詐欺の中身も変わっています。

オレオレ詐欺に含まれるニセ警察詐欺の認知件数は10,859件で、オレオレ詐欺の認知件数14,489件に占める割合は74.9%。

オレオレ詐欺の4分の3が、ニセ警察詐欺です。「息子を名乗る電話」だけを警戒していても足りません。

警察庁は、この手口が令和6年後半頃から被害の増加が顕著であり、令和7年の総認知件数・被害総額が著しく増加した主たる要因であるとしています。

2. 手口の一覧

警察庁は特殊詐欺を「被害者に電話やSNS等を通じて、対面することなく信頼させ又は関係を深めて信用させ、指定した預貯金口座への振込その他の方法により、現金等をだまし取る犯罪」と定義しています。

手口 内容
ニセ警察詐欺 警察官等をかたり、捜査(優先調査)名目で現金等をだまし取る
オレオレ詐欺 親族、警察官、弁護士等を装い、親族が起こした事件・事故に対する示談金等を名目に金銭等をだまし取る(脅し取る)
預貯金詐欺 親族、警察官、銀行協会職員等を装い、「あなたの口座が犯罪に利用されており、キャッシュカードの交換手続きが必要である」などの名目で、キャッシュカード、クレジットカード、預貯金通帳等をだまし取る(脅し取る)
キャッシュカード詐欺盗 警察官や銀行協会、大手百貨店等の職員を装って電話をかけ、「キャッシュカードが不正に利用されている」などの名目でカードを準備させた上で、隙を見るなどして窃取する
架空料金請求詐欺 未払いの料金があるなど架空の事実を口実とし金銭等をだまし取る(脅し取る)
還付金詐欺 税金還付等に必要な手続きを装って被害者にATMを操作させ、口座間送金により財産上の不法の利益を得る
その他 融資保証金詐欺、金融商品詐欺、ギャンブル詐欺、交際あっせん詐欺など
警察庁「手口一覧と今日からできる対策」より

「預貯金詐欺」と「キャッシュカード詐欺盗」は似ていますが、前者はだまし取る・脅し取る、後者は隙を見て盗む点が違います。

3. SNS型投資詐欺:8割はバナー広告とDM

SNS型投資詐欺について、警察庁は接触手段を数字で示しています。

当初の接触手段 件数
バナー等広告 3,785件(+884件、+30.5%)
ダイレクトメッセージ 3,549件(+1,416件、+66.4%)
同確定値より。警察庁は「これらが全体の約8割を占める」としています。

具体的な媒体も挙げられています。YouTube及び投資のサイトにおけるバナー等広告、Instagram、LINE及びFacebookにおけるダイレクトメッセージを当初の接触手段とする認知件数の増加が、被害増加の主たる要因とされています。

広告の中身についても記述があります。

認知件数をみると、バナー等広告が令和7年3月以降増加傾向にあり、その内容は、著名人の画像や動画を無断で使用した広告が確認されており、「必ずもうかる」、「元本保証」などの文言を含む広告も見られた。

4. ロマンス詐欺:半分近くが暗号資産

SNS型ロマンス詐欺では、暗号資産による被害が急増しています。

  • 暗号資産送信型の認知件数は2,177件(+1,391件、+177.0%)、被害額は247.7億円(+162.2億円、+189.7%)
  • 振込型における暗号資産振込と合わせると、一次的な主な被害金等交付形態が実質的に暗号資産であるものが総認知件数に占める割合は40.4%(+14.4ポイント)、被害総額に占める割合は48.6%(+22.2ポイント)

警察庁は、SNS型ロマンス詐欺を「相手方が、SNSその他の非対面での連絡手段を用いて被害者と複数回やり取りすることで恋愛感情や親近感を抱かせ、金銭等をだまし取る詐欺」と定義しています。

5. 対策の軸は「犯人と話をしない」

警察庁の対策ページは、はっきりこう書いています。

特殊詐欺対策では、何よりも「犯人と話をしない」ことが大切です。

挙げられている具体策は4つです。

対策 内容
固定電話の番号表示・非通知拒否サービス 各電話事業者が、相手の電話番号が分かる番号表示サービス、非通知でかかってきた電話に音声メッセージが応答する非通知拒否サービスを提供している
国際電話番号からの着信対策 国際電話番号を悪用した特殊詐欺被害が増加している。国際電話番号からの着信を受けないための対策をする(警察庁は「#みんとめ」として案内)
「サポート名目の詐欺」対策 サポート詐欺は「断固無視」してデバイスの電源を切れば被害を防げる
防犯機能付き電話の導入 自動通話録音機能や、電話が鳴る前に相手に「この電話は、防犯のために録音されます。」等と警告メッセージを流す機能等を備えたものがある。番号表示・非通知拒否サービスと組み合わせて利用できるものもある
警察庁「今日からできる対策」より

警察庁は「特殊詐欺は、今や『高齢者のお宅の電話にかかってくる詐欺電話』だけではありません」とも書いています。

6. 知っておくと防げること

手口の定義から逆算すると、次の点がそのまま判断材料になります。

  • 警察官がキャッシュカードを預かることはありません。「口座が犯罪に利用されている」「カードの交換手続きが必要」は、預貯金詐欺・キャッシュカード詐欺盗の典型的な名目です
  • ATMで還付金は受け取れません。「還付金の手続き」でATMを操作させるのは、還付金詐欺の定義そのものです
  • 「必ずもうかる」「元本保証」はSNS型投資詐欺の広告に見られた文言として、警察庁が名指ししています
  • 著名人の画像や動画を使った投資広告は、無断使用が確認されています

実務としてやること

自分と家族の電話

  • 固定電話に番号表示サービスと非通知拒否サービスを付ける
  • 国際電話番号からの着信を受けない設定にする
  • 防犯機能付き電話(自動録音・警告メッセージ)を検討する
  • 留守番電話を常時オンにして、知らない番号には出ない

合言葉として家族で共有する

  • 警察官がキャッシュカードを預かりに来ることはない
  • 役所の還付金手続きでATMを操作することはない
  • お金の話が出たら、いったん切って、自分から折り返す(相手が言った番号ではなく、自分で調べた番号に)

SNS・ネット

  • 「必ずもうかる」「元本保証」をうたう広告は開かない
  • 著名人が出ている投資広告を根拠にしない
  • 知らない相手からのダイレクトメッセージで投資の話が出たら、そこで終わりにする
  • 暗号資産で送金を求められたら、詐欺を疑う

FAQ

令和7年の数字は確定値ですか

警察庁が2026年6月5日に「確定値」として公表したものです。同年2月13日には暫定値が公表されています。

なぜ被害額だけ倍増しているのですか

警察庁は、ニセ警察詐欺による被害が顕著であることを主たる要因として挙げています。認知件数11,014件に対し被害額1,005.0億円で、1件あたりの被害額が大きい手口です。

SNS型投資・ロマンス詐欺は特殊詐欺に含まれますか

警察庁の公表資料では、特殊詐欺とSNS型投資詐欺・SNS型ロマンス詐欺は区別して集計されています。手口一覧では並べて紹介されています。

被害に遭ったらどうすればよいですか

本記事で参照したページには、手口と対策が掲載されています。被害に遭った場合は警察(#9110または110番)にご相談ください。

最新の数字はどこで見られますか

警察庁の特殊詐欺対策のページで、月末時点の暫定値が毎月公表されています。本記事執筆時点では、令和8年7月末における暫定値が2026年9月4日に公表されています。

参照した一次情報

  • 警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」(2026年6月5日) npa.go.jp
    2026年9月22日確認。特殊詐欺・SNS型投資詐欺・SNS型ロマンス詐欺の認知件数と被害額、ニセ警察詐欺の件数・被害額・構成比、オレオレ詐欺に占めるニセ警察詐欺の割合、SNS型投資詐欺の当初の接触手段と広告の内容、SNS型ロマンス詐欺における暗号資産の割合に関する記述はこのページに基づきます。
  • 警察庁「手口一覧と今日からできる対策」 npa.go.jp
    2026年9月22日確認。特殊詐欺の定義、各手口(ニセ警察詐欺、オレオレ詐欺、預貯金詐欺、キャッシュカード詐欺盗、架空料金請求詐欺、還付金詐欺、その他、SNS型投資詐欺、SNS型ロマンス詐欺)の内容、「犯人と話をしない」という対策の軸、番号表示・非通知拒否サービス、国際電話詐欺対策、サポート名目の詐欺対策、防犯機能付き電話に関する記述はこのページに基づきます。
  • 警察庁「特殊詐欺対策」 npa.go.jp
    2026年9月22日確認。月次の認知・検挙状況の公表状況に関する記述はこのページに基づきます。

いずれも2026年9月22日に確認しました。数値は令和7年の確定値です。

関連記事

このテーマの記事一覧:防災・防犯・安全

この記事は、公表されている一次情報をもとに整理したものです。被害に遭われた場合は、警察および金融機関にご相談ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました