パーソナルトレーニングのケガは約4割が1か月以上|痛みの伝え方を先に決める

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結論:ケガの約4割は治療に1か月以上かかっています。負荷は「低めから」が前提です

消費者安全調査委員会は令和8年5月25日、パーソナルトレーニングにおける事故の調査報告書を公表しました。これを受けて消費者庁が2026年8月6日に注意喚起を出しています。

報告書によると、事故情報データバンクに登録された事故のうちパーソナルトレーニングにおける事故は、2019年1月から2025年12月までの間に196件で、近年増加傾向にあります。

項目 内容
件数 196件(2019年1月〜2025年12月に登録されたもの)
被害者の年代 20歳代から80歳以上まで幅広く発生
傷病の程度 治療に1か月以上かかったものが約4割で最も多い
ケガの部位 腰から下にケガを負う場合が半数超
事故の内容 「指示された通り運動種目を実施してケガをした、負荷が重かった」「トレーニングの内容や指示が不適切だった」など
消費者庁「パーソナルトレーニングでの事故に注意」(2026年8月6日)より

1. パーソナルトレーニングの定義

調査報告書は、パーソナルトレーニングを次のように定義しています。

個人の健康状態や運動能力等に応じ、トレーナーが運動プログラムを定め、その指導の下、消費者が運動を実施することを内容とするサービス

内容としては、自体重を用いたトレーニング(腕立て、腹筋など)、バーベルやダンベル等のウェイトを用いたトレーニング、ボディビル、ボディメイク、フィジーク、ヨガ、ピラティスなどが含まれます。実施場所は、フィットネスクラブ、トレーニングジム、オンライン、トレーナーの自宅等とさまざまです。

無人ジムで一人で行うトレーニングや、トレーナーが複数人の前で実演・指導するタイプは、この定義には当たりません。

2. 報告されている事故の例

事故情報データバンクに登録された事例として、報告書が挙げているものです。

内容 年代・治療期間
トレーナーが付き添いデッドリフトを行ったが痛みを生じ、医師から腰椎捻挫と診断 20歳代・1〜2週間
トレーニング中、ふくらはぎに違和感がありトレーナーに伝えたのに中断されずに続けたところ、肉離れ 30歳代・1か月以上
専属のトレーナーの指示に従い腕立て伏せをしたらケガをした 40歳代・不明
トレーナーが作成したメニューの負荷が重く、腕の筋を損傷 50歳代・1か月以上
トレーナーの指示どおりにバーベルの重さを上げていったら腰骨を圧迫骨折 60歳代・1週間未満
指導により紐を使用したトレーニングを行ったところ、上腕の腱鞘炎等の重傷 70歳代・1か月以上
消費者庁の注意喚起に掲載された事例より

共通しているのは、指示に従った結果としてケガをしているという点です。自己流で無茶をしたケースではありません。

3. なぜ起きるのか

消費者庁の整理は明快です。

パーソナルトレーニングは、トレーナーが消費者の健康状態や運動能力等に応じて運動プログラムの設計や提供をしてくれますが、トレーナーに健康状態等が正しく伝わっていないと消費者に合わない運動プログラムが設計されること等により、ケガをする場合があります。

トレーナーは、その人の体調や痛みをすべて感じ取ることはできません。情報が伝わっていないまま組まれたメニューは、その人に合っていないメニューになります。

4. 事故防止のポイントは3つです

消費者庁が挙げているのは、次の3点です。

ポイント 具体的に
気になることをトレーナーに伝える トレーニング前後、トレーニング中など、いつでも気になったことは伝える
疲労や痛みの伝え方を確認しておく 「いつ、どんなときに、何を伝えればよいか」「何かを伝えたいときの合図(言葉や動作)」をあらかじめ話し合っておく
不安が残るトレーニングはいったん止める 不安や痛みを感じたら止める。不安の内容を伝え、話し合って内容や方法を見直す

2つ目が実務的です。トレーニング中は声を出せないときもあります。合図を先に決めておくという発想は、始める前にやっておけることです。

そして消費者庁は、こうまとめています。

トレーニングは、無理のない低めの負荷から始め、安全を確かめながら不安なく行うことで長く続けられ、効果も高まります。

5. 無人ジムなど、パーソナル以外の場合

無人ジム等で一人で行うトレーニングや、トレーナーが複数人の前で実演・指導するトレーニングについては、消費者自身が健康状態、正しいトレーニングの仕方、機器・器具の正しい使用方法を認識したうえで行うことが、より必要になるとされています。

  • 事前にトレーニング方法や機器・器具の使い方、状態を確認する
  • 自分のペースで無理なくトレーニングをする

6. 契約面での注意点

ケガの話とは別に、消費者庁は契約トラブルにも触れています。

ケガや病気等の理由でトレーニング施設等を休会・退会しなければならない場合、入会前に退会や返金に関する条件を十分に確認していないと、思わぬ費用を請求されてトラブルになることがある、という指摘です。

入会前に確認しておくのは、次のような点になります。

  • 休会の可否と手続き、休会中の費用
  • 退会の申出期限(いつまでに言えば翌月から止まるか)
  • 途中解約時の返金の有無と計算方法
  • ケガ・病気を理由とする場合の扱い

実務としてやること

  • 初回のカウンセリングで、既往症・持病・服薬・過去のケガ・痛みが出やすい部位を紙に書いて渡す
  • 「痛い」「違和感がある」を伝える合図(言葉や動作)を、始める前に決める
  • 負荷は低めから始める。重さを上げるのは、フォームが安定してから
  • 違和感を伝えたのに続行を求められたら、その場で止める
  • 入会前に、休会・退会・返金の条件を書面で確認する
  • ケガをした場合や契約トラブルが起きた場合は、消費者ホットライン188(いやや)または最寄りの消費生活センター等に相談する

FAQ

196件というのは多いのですか、少ないのですか

事故情報データバンクは、消費者庁が国民生活センターと連携し、関係機関から「事故情報」「危険情報」を広く収集するシステム(平成22年4月運用開始)です。登録されるのは把握された事故であり、発生した事故の全体を示すものではありません。消費者庁は件数そのものより「近年増加傾向にある」ことを指摘しています。母数となる利用者数との比較は、本記事では確認していません。

トレーナーに資格はいらないのですか

パーソナルトレーナーについて、業務独占の国家資格は本記事では確認できませんでした。民間資格は複数存在します。資格の有無と事故の関係については、調査報告書の内容を本記事では確認していません。

高齢者は避けたほうがよいですか

消費者庁は年代を理由に避けるよう述べてはいません。事故は20歳代から80歳以上まで幅広い年代で発生しており、60歳代・70歳代の事例も挙げられています。「無理のない低めの負荷から始め、安全を確かめながら行う」というポイントは、年代を問わず示されています。なお、過去の注意喚起として「高齢者のフィットネスクラブ等での事故が増えています」(2020年3月4日)があります。

ケガをしたら、どこに相談すればよいですか

消費者庁は消費者ホットライン188(いやや)または最寄りの消費生活センター等を案内しています。治療については医療機関を受診してください。

オンラインのパーソナルトレーニングも対象ですか

調査報告書は、実施場所としてオンラインを含めています。画面越しではフォームの確認が限られるため、痛みや違和感を言葉で伝える必要性はより高くなります。

参照した一次情報

  • 消費者庁「パーソナルトレーニングでの事故に注意―ケガを防いで継続してトレーニングを行いましょう―」(2026年8月6日) caa.go.jp
    2026年9月21日確認。パーソナルトレーニングの定義、2019年1月〜2025年12月の196件という件数、被害者の年代、治療期間が1か月以上のものが約4割、ケガの部位の半数超が腰から下である旨、事故事例、事故防止の3つのポイント、無人ジム等での注意点、契約面の注意、事故情報データバンクの説明に関する記述はこのページに基づきます。
  • 消費者安全調査委員会「消費者安全法第23条第1項の規定に基づく事故等原因調査報告書「パーソナルトレーニングにおける事故」」(2026年5月25日) caa.go.jp
    2026年9月21日確認。調査報告書そのものはこのページに掲載されています。本記事の数値と事例は、消費者庁の注意喚起に記載された範囲を引用したものです。

いずれも2026年9月21日に確認しました。本記事の数値は、消費者庁の注意喚起に掲載された範囲のものです。

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この記事は、公表されている一次情報をもとに整理したものです。体調や既往症に関する判断は医師に、契約に関する判断は消費生活センター等にご相談ください。

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