「顧客満足度No.1」は4点を満たさないと不当表示です|イメージ調査という落とし穴

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結論:「顧客満足度No.1」は、4点を満たさないと不当表示になります

消費者庁が令和6年9月26日に公表した「No.1表示に関する実態調査報告書」の結論部分です。

No.1表示等が、合理的な根拠に基づかず、事実と異なる場合には、実際のもの又は競争事業者のものよりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認され、不当表示として景品表示法上問題となる。

そして、合理的な根拠と認められるために必要な4点が示されています。

#要件
1比較対象となる商品・サービスが適切に選定されている
2調査対象者が適切に選定されている
3調査が公平な方法で実施されている
4表示内容と調査結果が適切に対応している

2〜4は、「医師の○%が推奨」といった高評価%表示にも同じく当てはまります。

1. 一番引っかかるのは「イメージ調査」です

報告書は、問題の中心を明確に名指ししています。

イメージ調査とは? 調査対象の商品・サービスやこれと比較する競合商品等のウェブサイトを閲覧させ、これを閲覧した際の印象(イメージ)に基づき、「顧客満足度が高いと思うものを選んでください。」等と質問をして、回答させる調査。

使ったことがない人に、サイトを見た印象だけで選ばせる調査です。これを根拠に「顧客満足度No.1」と書くと、問題になります。

「顧客満足度No.1」等と、実際に商品・サービスを利用したことがある者を対象に調査を行っているかのように示す表示をしているが、実際には、単なるイメージ調査のみを行っている
(※)イメージ調査の結果によることを注記していても、「顧客満足度No.1」という表示内容と調査結果が適切に対応していないことに変わりはない。

小さく「※イメージ調査による」と書いても解決しません。ここが重要です。

2. 「No.1」を名乗るなら、主要な競合を入れる必要があります

「No.1」を訴求する以上、原則として、主要な競合商品・サービスを比較対象とする必要がある。

問題となる例として挙げられているのは、「○○サービス 満足度No.1」等と表示しているが、○○に属するサービスのうち市場における主要なものの一部又は全部が比較対象に含まれていないケースです。

3. 恣意的な調査の具体例

報告書が「問題となる例」として挙げているものです。

  • 「おすすめしたい」商品を選択させる場合に、自社商品を選択肢の最上位に固定して誘導する
  • No.1(○%以上)になったタイミングで調査を終了している

2つ目は、目標の順位に達するまで回収を続けて、達したらやめるという手法です。

高評価%表示についても例があります。

「医師の○%が推奨」等と、医師が専門的な知見に基づく判断として「推奨」しているかのように示す表示をしているが、実際には、医師の専門分野(診療科など)が、商品・サービスを評価するに当たって必要な専門的知見と対応していない

報告書の図解では、「医師の90%が成長期の子どもに勧めたいと回答」という表示に対し、「専門の異なる医師にアンケートを実施」していた例が示されています。

4. どんなフレーズが使われているか

368サンプルを集めた調査結果です。

フレーズの種類合計
満足度顧客満足度No.171件
おすすめ・推奨おすすめしたいNo.1/専門家の○%が推奨71件
人気・支持・信頼口コミ人気No.1/支持率No.156件
〜と思う/〜と期待できる衛生的だと思うNo.155件
利用したい等使ってみたいNo.136件
充実・豊富情報充実度No.116件
安全・安心安心・安全の○○No.112件

並べると、ほとんどが「第三者の主観的評価」です。報告書もこう指摘しています。

顧客満足度など「第三者の主観的評価」を指標とするNo.1表示は、世の中に多く見られるが、売上額などといった客観的な指標ではないだけに、恣意的・安易な調査に基づいている可能性がある。

5. 消費者はどう受け取っているか

消費者1,000人へのアンケート結果です。

質問結果
No.1表示は購入の意思決定に影響するか「かなり」+「やや」影響する=約5割
同種の他社商品と比べて優れていると思うか4割超が「思う」
実際の利用者に調査をしていると思うか4割超が「思う」
高評価%表示は購入の意思決定に影響するか「かなり」+「やや」影響する=約5割
「医師の90%が推奨」に専門的な根拠や裏付けがあると思うか約5割

3行目が核心です。4割超の消費者は「実際に使った人に聞いた結果」だと受け取っています。そこにイメージ調査の結果を載せるから、誤認になります。

6. なぜ広告主は使ってしまうのか

15社へのヒアリング結果は、当事者にとって耳の痛い内容です。

観点回答
目的競合他社がNo.1表示を行っているため」という回答が多かった。「他社の商品等と比べて自社の商品等が見劣りするのを避けるため」との回答も複数
経緯調査会社・コンサルティング会社等から勧誘・提案を受けたことを挙げる回答が多かった。費用の安さ(1フレーズ10万円〜数十万円)を魅力に感じたという回答が多かった。景品表示法上の適法性を強調して不適切な調査の勧誘を行っている調査会社も見られた
調査内容の認識多くがアンケートの質問項目や比較対象としている競合他社の商品等を把握していなかった。理由は「調査会社を信頼していた」「他社も同じ調査会社を起用していたので問題ないと思っていた

そのうえで、報告書はこう結論づけています。

表示の根拠を十分に確認しておらず、不当表示等を未然に防止するための管理上の措置(景品表示法第22条第1項)が十分にとられている様子はうかがわれなかった

責任を負うのは広告主です。調査会社が「適法です」と言っていたことは、免責になりません。

7. 事業者が講ずべき管理上の措置(7項目)

景品表示法第22条第1項に基づく措置として、報告書が列挙しているものです。

  1. 景品表示法の考え方の周知・啓発
  2. 法令遵守の方針等の明確化
  3. 表示等の根拠となる情報の確認
  4. 表示等の根拠となる情報の共有
  5. 表示等を管理するための担当者等を定めること
  6. 表示等の根拠となる情報を事後的に確認するために必要な措置をとること
  7. 不当な表示等が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応

加えて、望ましい取組として次が挙げられています。

一般消費者が表示の根拠となる情報を確認できるようにすることが望ましい
⇒ 例)表示物に調査方法の概要を直接記載することや、それが難しい場合にQRコードにより確認できるようにすること

8. 実務としてやること

  1. 自社のサイト・チラシ・SNSに「No.1」「○%が」の表示がないか洗い出す
  2. あれば、誰に・何を・どう聞いた調査かを調査会社に確認して書面でもらう
  3. 比較対象に主要な競合が入っているかを確認する
  4. 実際の利用者に聞いているかを確認する(イメージ調査なら「顧客満足度」とは書けません)
  5. 注記で逃げない。調査方法の概要を表示物に直接書くか、QRコードで見られるようにする
  6. 根拠資料をあとから確認できる形で保管する

当サイトでは個別の表示の適否を判断しません。報告書本文と、消費者庁の景品表示法のページをご確認ください。景品の上限については景品規制の記事、広告であることの明示についてはステマ規制の記事にまとめています。

チラシやバナーを自分で作る場合

以下は広告です。当サイトでは、このサービスが景品表示法上の問題を防ぐ機能を持つかどうかを検証していません。表示の内容と根拠の確認は、作る側の責任です。機能・料金・プランは変更されることがあるため、必ず公式サイトで最新の内容をご確認ください。優劣を示すものではなく、選択肢として並べています。

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FAQ

「※イメージ調査による」と注記すれば使えますか。

使えません。報告書は「イメージ調査の結果によることを注記していても、『顧客満足度No.1』という表示内容と調査結果が適切に対応していないことに変わりはない」としています。

調査会社が「適法です」と言っています。

ヒアリングでは景品表示法上の適法性を強調して不適切な調査の勧誘を行っている調査会社も見られたとされています。責任を負うのは広告主であり、表示等の根拠となる情報の確認は事業者が講ずべき管理上の措置に含まれます。

「No.1」ではなく「人気No.1」ならどうですか。

報告書は、人気・支持・信頼といったフレーズも調査対象に含めています。指標が主観的であるほど、恣意的・安易な調査に基づいている可能性があると指摘されています。要件は同じ4点です。

「医師の90%が推奨」はどうですか。

高評価%表示として同じ枠組みで扱われます。医師の専門分野(診療科など)が、商品・サービスを評価するに当たって必要な専門的知見と対応していない場合は問題となる例として挙げられています。

どのくらい処分されているのですか。

報告書は、令和5年度に措置命令を受けた44事業者のうち13事業者がNo.1表示関連であり、いずれの事案もイメージ調査を根拠に「顧客満足度No.1」等と表示されていたとしています。

参照した一次情報

  • 消費者庁「No.1表示に関する実態調査について」(令和6年9月26日) caa.go.jp(PDF)
    2026年9月20日確認。調査背景と措置命令の件数(令和5年度 13事業者/44事業者)、イメージ調査の定義、サンプル調査のフレーズ別件数(368サンプル)、消費者1,000人への意識調査の結果、事業者へのヒアリング結果(目的・経緯・調査内容の認識)、合理的な根拠と認められるための4要件と問題となる例、事業者が講ずべき管理上の措置7項目、調査方法の概要の記載・QRコードに関する記述はこの資料に基づきます。報告書本文の全文、および個別の措置命令の内容は本記事では扱っていません。
  • 消費者庁「『No.1表示に関する実態調査報告書』の公表について」 caa.go.jp
    2026年9月20日確認。公表日および報告書の所在の確認に使用しました。

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