回数券やプリペイドは1,000万円で供託が必要になります|前払式支払手段

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結論:回数券やプリペイドは前払式支払手段で、未使用残高1,000万円から供託が必要です

サロンの回数券、店のプリペイドカード、商品券。これらは資金決済法の前払式支払手段に当たることがあります。当たると、利用者への情報提供義務と、残高が一定額を超えたときの供託義務が付いてきます。

基準となる金額は1,000万円です(施行令第6条)。

1. 2つの型があります

法第3条第1項は前払式支払手段を2つに分けています。

号 型 内容
一 金額型 記載・記録される金額に応ずる対価を得て発行され、代価の弁済のために使用できるもの
二 数量型 記載・記録される物品等または役務の数量に応ずる対価を得て発行され、給付または提供を請求できるもの

回数券は二号の数量型です。「10回分」という数量に対価を払って買い、そのぶんの施術を請求できます。金額をチャージするプリペイドは一号です。

条文は媒体を限定していません。「証票、電子機器その他の物」に記載されるもののほか、「番号、記号その他の符号」も含まれます。紙でもカードでもアプリでも同じです。

2. 自家型と第三者型

法第3条第4項が自家型を定義しています。

前払式支払手段を発行する者(当該発行する者と政令で定める密接な関係を有する者を含む。)から物品等の購入若しくは借受けを行い、若しくは役務の提供を受ける場合に限り、これらの代価の弁済のために使用することができる前払式支払手段又は前払式支払手段を発行する者に対してのみ、物品等の給付若しくは役務の提供を請求することができる前払式支払手段

自分の店でしか使えないなら自家型です。ほかの店でも使えるものは第三者型で、こちらは登録が必要になります。

個人の店が出す回数券やプリペイドは、ふつう自家型に当たります。

3. 基準日は年2回、3月31日と9月30日

法第3条第2項です。

毎年三月三十一日及び九月三十日(以下この章において「基準日」という。)までに発行した全ての前払式支払手段の当該基準日における未使用残高(略)の合計額として内閣府令で定めるところにより算出した額

これが基準日未使用残高です。売った総額ではなく、まだ使われていない分の合計です。

型 未使用残高の数え方
金額型 基準日において代価の弁済に充てることができる金額
数量型 基準日において給付または提供を請求することができる数量を、内閣府令で定めるところにより金銭に換算した金額

回数券のような数量型も、金額に換算して数えます。

4. 1,000万円を超えたら半分を供託

法第14条第1項です。

前払式支払手段発行者は、基準日未使用残高が政令で定める額(以下この章において「基準額」という。)を超えるときは、当該基準日未使用残高の二分の一の額(以下この章において「要供託額」という。)以上の額に相当する額の発行保証金を、(略)主たる営業所又は事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない。

そして施行令第6条が金額を定めています。

法第十四条第一項に規定する政令で定める額は、千万円とする。

整理するとこうです。

基準日未使用残高 供託
1,000万円以下 不要
1,000万円を超える 未使用残高の2分の1以上を供託

供託は国債証券、地方債証券その他の内閣府令で定める債券で充てることもできます(第3項)。また供託の代わりに、発行保証金保全契約(第15条)や発行保証金信託契約(第16条)という方法も用意されています。

なお権利の実行の手続の終了等により保証金が要供託額に不足した場合、不足額を供託し、遅滞なく内閣総理大臣に届け出る必要があります(第2項)。

5. 利用者に伝えなければならない5項目

法第13条第1項です。

号 情報
一 氏名、商号または名称
二 前払式支払手段の支払可能金額等
三 使用または請求できる期間または期限が設けられているときは、その期間または期限
四 発行および利用に関する利用者からの苦情または相談に応ずる営業所等の所在地および連絡先
五 その他内閣府令で定める事項

三号が実務でいちばん問われます。有効期限を設けるなら、それを利用者に伝えなければなりません。回数券に期限を付けているなら、券面や案内に書く必要があります。

四号も抜けやすい項目です。苦情・相談窓口の所在地と連絡先です。

なお第13条第3項は、この5項目のほかにも、利用者保護と業務の健全かつ適切な運営の確保のために必要な措置を講ずることを求めています。

6. やめるときは払い戻します

法第20条第1項です。次のときは保有者に残高を払い戻さなければなりません。

  1. 発行の業務の全部または一部を廃止した場合(相続、事業譲渡、合併、会社分割その他の事由により業務の承継が行われた場合を除く)
  2. 第三者型発行者が登録を取り消されたとき

閉店するなら、残っている回数券やプリペイドの残高は返す必要があります。承継する場合は除かれます。

実務としてやること

  1. 自店で回数券・プリペイド・商品券を出しているなら、それが前払式支払手段に当たるかを確認する。自分の店だけで使えるなら自家型。
  2. 3月31日と9月30日の時点で、未使用残高を集計する仕組みを作る。売上ではなく未使用分です。
  3. 回数券は残回数を金額に換算して数える。
  4. 未使用残高が1,000万円を超える見込みなら、供託・保全契約・信託契約のいずれかを検討し、届出の要否を確認する。
  5. 券面または案内に、発行者名、支払可能金額等、有効期限(設けているなら)、苦情・相談窓口の所在地と連絡先を書く。
  6. 閉店や回数券の廃止を考えるときは、残高の払戻し義務を前提に計画する。

よくある質問

有効期限を6か月にしてもよいのですか

法第13条第1項第3号は、期間または期限が設けられているときはそれを情報提供することを求めています。期限の長さそのものを制限する規定ではありません。ただし期限や解約条件の設定は消費者契約法など別の枠組みでも見られます。個別の判断は専門家にご確認ください。

未使用残高が1,000万円以下なら何もしなくてよいのですか

供託は不要です。法第13条の情報提供義務と第20条の払戻し義務は、残高にかかわらずかかります。

サービス券や割引券も対象ですか

法第3条第1項は「対価を得て発行される」ものを対象としています。無償で配るサービス券は対価を得ていません。個別の判断は金融庁または財務局にご確認ください。

届出や登録は必要ですか

自家型は基準額を超えたときの届出、第三者型は登録という枠組みになっています。今回参照した条文の範囲では手続の詳細は確認していません。金融庁または管轄の財務局にご確認ください。

参照した一次情報

  • e-Gov法令検索「資金決済に関する法律」(平成21年法律第59号)第3条・第13条・第14条・第20条 laws.e-gov.go.jp
    2026年9月28日確認。前払式支払手段の2つの型と媒体を限定しない定義、自家型の定義、基準日(3月31日・9月30日)と基準日未使用残高の数え方、基準額を超えるときの2分の1以上の供託と債券による充当・不足時の届出、利用者への情報提供5項目、払戻し義務の2つの場合はこれらの条文に基づきます。
  • e-Gov法令検索「資金決済に関する法律施行令」(平成22年政令第19号)第6条 laws.e-gov.go.jp
    2026年9月28日確認。供託が必要となる基準日未使用残高の最低額が1,000万円であることはこの条文に基づきます。

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この記事は公開されている条文を整理したものです。個別の商品が前払式支払手段に当たるかどうか、必要な手続の判断は金融庁または管轄の財務局にご確認ください。

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