自分で撮った写真の印刷と、他人の写真の印刷は別の話です|私的使用のための複製

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結論:私的使用の範囲は「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」です

著作権法第30条第1項の条文です。

著作物は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。

文化庁の資料では、この規定の趣旨を「閉鎖的な私的領域における零細な複製を許容する観点から」と説明しています。

ポイントは2つです。範囲が限られていることと、「その使用する者が」複製すること。この2つを外れると、30条の話ではなくなります。

1. 自分で撮った写真なら、そもそも自分の著作物です

家族やお客様を自分で撮影した写真を印刷する——この行為は、著作権の面では自分の写真の複製です。第30条の出番ですらありません。

ただし、写っている人の側の問題は別にあります。お客様の施術写真をSNSに載せる場合の考え方はサロンのSNSと顧客情報で整理しています。当サイトでは肖像権について法的な解説を行いません。

2. 30条から外れる4つの場合

文化庁の整理です。権利者の経済的利益を不当に害することとなるため対象外とされています。

  1. 公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(ダビング機等)を用いて複製する場合(第1号)
  2. 技術的保護手段(コピーガード)の回避により可能となった複製を、その事実を知りながら行う場合(第2号)
  3. 著作権を侵害する自動公衆送信(インターネット送信)を受信して行う音楽・映像の録音・録画を、その事実を知りながら行う場合(第3号)
  4. 映画の盗撮の場合(日本国内における有料上映後8月以内の場合に限る)

3. 罰則の重さが違います

類型刑事罰
①自動複製機器 ②コピーガード回避刑事罰の対象から除外
③違法配信からの音楽・映像のダウンロード(有償で提供・提示されているもの)2年以下の懲役又は200万円以下の罰金
④映画の盗撮10年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金(通常の著作権侵害と同様。併科も可)

①②は刑事罰の対象外ですが、民事上は違法です(他の権利制限規定に該当する等の事情がない限り、その複製は違法となる、とされています)。

4. 「公衆用設置自動複製機器」が除外された経緯

文化庁の資料には、昭和59年の改正理由が書かれています。

店頭に高速ダビング機を設置し、顧客に自由に録音させる業者が出現したことを踏まえ、このような形態の利用は閉鎖的な私的領域における零細な複製を許容するという趣旨を逸脱すると考えられることから(中略)権利制限規定の対象から除外することとされた。

条文上の定義は「複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器」です。

5. コピーガードの回避(平成11年改正)

複製を制限する技術を施して流通している著作物等が、回避装置や回避ソフトを使用して自由に複製されている実態を踏まえ、このような利用は著作物等の流通秩序に大きな影響を与えると考えられることから(中略)その事実を知っている場合には、権利制限規定の対象から除外することとされた。

「知りながら」が要件になっている点は、第2号・第3号に共通します。

6. 違法ダウンロードは2段階で変わりました

  • 平成21年改正:違法アップロードされた音楽・映像のダウンロードについて、その事実を知っている場合は権利制限の対象から除外(刑事罰の対象とはしない
  • 平成24年改正有償で提供・提示されている音楽・映像の録音・録画の場合に限って、刑事罰の対象とすることとされた

あわせて、改正法附則で国民に対する啓発等刑事罰の対象となるダウンロード行為を防止するための関係事業者の措置インターネット利用が不当に制限しないための運用上の配慮などが規定されました。

なお、平成21年の文化審議会著作権分科会報告書では、録音録画以外の取扱いについては引き続き検討とされていました。当サイトでは、その後の改正内容を確認していません。

7. 映画の盗撮は8か月で扱いが変わります

前項の規定は、最初に日本国内の映画館等において観衆から料金を受けて上映が行われた日から起算して八月を経過した映画に係る映画の盗撮については、適用しない。

つまり有料上映後8か月以内が映画盗撮防止法による特例の対象です。

8. 写真を印刷・保存するときの整理

  1. 自分で撮った写真:自分の著作物。印刷・保存は自由(写っている人への配慮は別)
  2. 家族が撮った写真:撮影者の著作物。家庭内で使うなら30条の範囲に収まりやすい
  3. プロに撮ってもらった写真契約次第です。複製や利用の範囲が定められていることがあります
  4. ネットで見つけた写真・イラスト・キャラクター:他人の著作物。私的使用の範囲を超える使い方(店舗の掲示、SNS投稿、配布物)は別の問題になります
  5. 店舗のチラシやポスター:私的使用ではありません(チラシ作成の注意点はこちら

当サイトでは、個別のケースが適法かどうかを判断できません。判断に迷う場合は、権利者への確認か、弁護士等の専門家にご相談ください。

写真をプリントする場合

以下は広告です。当サイトでは、このサービスを利用して検証したわけではありません。納期・価格・仕様は変更されることがあるため、必ず公式サイトで最新の内容をご確認ください。他人の著作物を含む画像の取扱いは、各サービスの利用規約に従ってください。

写真プリントを依頼する場合:【いろぷり】

FAQ

私的使用の範囲はどこまでですか。

条文では「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」とされています。

コンビニのコピー機は「公衆用設置自動複製機器」ですか。

当サイトでは判断しません。条文の定義は「複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器」で、昭和59年改正は店頭の高速ダビング機を念頭に置いたものと説明されています。

コピーガードを外すのは刑事罰ですか。

文化庁の整理では①②は刑事罰の対象から除外されています。ただし権利制限の対象外であり、民事上は違法となり得ます。

違法アップロードと知らずにダウンロードしたら。

第3号は「その事実を知りながら行う場合」が要件です。刑事罰は有償で提供・提示されている音楽・映像の場合とされています。

お店で使う写真はどうすればよいですか。

私的使用ではありません。権利者の許諾か、利用が許諾されている素材を使うことになります。

参照した一次情報

  • 文化庁 文化審議会著作権分科会 資料「私的使用目的の複製に係る権利制限について(規定の趣旨・概要,これまでの改正経緯,諸外国の状況)」(PDF) bunka.go.jp
    2026年9月16日確認。著作権法第30条第1項の条文、規定の趣旨(閉鎖的な私的領域における零細な複製)、対象外となる4類型とその条文、刑事罰の有無と法定刑(2年以下の懲役または200万円以下の罰金、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金)、映画盗撮防止法第4条と8月の起算、昭和59年・平成11年・平成19年・平成21年・平成24年の改正経緯と理由、平成24年改正附則に関する引用はこのPDFに基づきます。

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