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結論:消毒は「やった」ではなく「何分やったか」です
厚生省環境衛生局長通知「理容所及び美容所における衛生管理要領」では、消毒方法ごとに時間と濃度が決められています。
| 方法 | 条件 |
|---|---|
| 煮沸消毒 | 沸騰してから2分間以上 |
| エタノール | 76.9v/v%〜81.4v/v%(消毒用エタノール)に10分間以上浸す |
| 次亜塩素酸ナトリウム | 0.1%(有効塩素濃度1,000ppm)に10分間浸す |
| 紫外線照射 | 85μW/cm2以上の紫外線を連続して20分間以上 |
| 蒸気消毒 | 器内が80℃を超えてから10分間以上湿熱に触れさせる |
これは血液が付着している疑いのない器具の場合です。かみそり等は別の手順になります。
1. 消毒の前に「洗う」工程があります
かみそり、および血液の付着しているもの・その疑いのあるものの手順です。
消毒する前に家庭用洗剤をつけたスポンジ等を用いて、器具の表面をこすり、十分な流水(10秒間以上、1リットル以上)で洗浄する。
注として「器具は、使用直後に流水で洗浄することが望ましい」「消毒液に浸す前に水気を取ること」とされています。そして消毒後は流水で洗浄し、よくふくとされています。
血液が付着している(疑いのある)ものは、煮沸・エタノール・次亜塩素酸ナトリウムのいずれかで、紫外線や蒸気は選択肢に入っていません。
2. 消毒液の交換頻度
- エタノール:蒸発、汚れの程度等により、7日以内に取り替える
- 次亜塩素酸ナトリウム:毎日取り替える
次亜塩素酸ナトリウムについては「金属器具及び動物性繊維製品は、腐食するので必要以上に長時間浸さない」「取り扱う際にはゴム手袋を着用する等、直接皮膚に触れないようにする」「製剤は保管中に塩素濃度の低下がみられるので、有効塩素濃度を確認することが望ましい」とされています。
3. 紫外線消毒器は劣化します
紫外線消毒器は、適宜紫外線灯の清掃を行い、常に85μW/cm2以上の紫外線照射が得られるように管理すること(紫外線灯は、3,000時間以上使用すると、その出力が低下することがあるので、適宜取り替えることが望ましい。)。
消毒の項では「2,000〜3,000時間の照射で出力が低下するので、紫外線灯の取替えが必要」ともされています。
さらに限界も明示されています。
器具の汚れ具合、収納状況等により効果が期待できないことがあるため、器具の汚れを十分に除去した後、直接紫外線が照射されるような状態に収納した後、照射する。構造が複雑で、直接紫外線の照射を受けにくい形状の器具類の消毒には適さない。
入れておけば消毒される箱ではありません。
4. 客1人ごとに、という基準
- 皮膚に接する器具類は、客1人ごとに消毒した清潔なものを使用する
- 皮膚に接する器具類は、使用後に洗浄し、消毒する
- 皮膚に接する布片類は、清潔なものを使用し、客1人ごとに取り替える
- 蒸しタオルは、消毒済みのものを使用する
- 皮膚に接しない器具であっても汚れやすいものは、客1人ごとに取り替え又は洗浄する
- 作業に伴って生ずる毛髪等の廃棄物は、客1人ごとに清掃する
- 従業者は客1人ごとの作業前及び作業後には手指の洗浄を行い、必要に応じて消毒する
5. 毎日やること
管理美容師(管理理容師)の日課として2つ挙げられています。
1 管理理容師又は管理美容師は、毎日、従業者が感染症にかかっていないかどうかを確認すること。
2 管理理容師又は管理美容師は、毎日、理容所又は美容所の施設、設備、器具等の衛生全般について点検管理すること。
施設は1日1回以上清掃、排水溝も1日1回以上清掃、洗髪器は1日数回洗浄剤を用いて清掃、器具類等の保管場所は1週間に1回以上清掃、照明器具は1年に2回以上清掃とされています。
6. 従業者が感染症にかかったとき
従業者が以下に掲げる感染症にかかったときは、開設者はこの旨を保健所に届け出るとともに、当該従業者を作業に従事させないこととし、当該疾患が治癒した場合も同様に届け出ること。
ア 結核 イ 感染性の皮膚疾患(伝染性膿痂疹(トビヒ)、単純性疱疹、頭部白癬(シラクモ)、疥癬等)
また、従業者またはその同居者がエボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、マールブルグ病、ラッサ熱、ジフテリア若しくはペストの患者またはその疑いのある者である場合は、当人が感染していないことが判明するまで作業に従事させないとされています。
感染症の患者や皮膚疾患のある者を扱ったときは、作業終了後、従業者の手指及び使用した器具等の消毒を特に厳重に行うとされています。手荒れの防止についてはこちらで整理しています。
7. 環境の数値
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 作業面の照度 | 300Lux以上が望ましい(理容師法・美容師法施行規則では100Lux以上) |
| 炭酸ガス濃度 | 5,000ppm以下(1,000ppm以下が望ましい)。一酸化炭素は10ppm以下が望ましい |
| 浮遊粉じん | 0.15mg/m3以下が望ましい |
| 温度 | 17〜28℃(冷房時には外気温との差が7℃以内)が望ましい |
| 相対湿度 | 40〜70%が望ましい |
8. 服装と、補助業務の範囲
作業中、従業者は、清潔な外衣(白色又はこれに近い色で汚れが目立ちやすいもの)を着用し、顔面作業時には、清潔なマスクを使用すること。
従業者は、常につめを短く切り(中略)作業場においては所定の場所以外で着替え、喫煙及び食事をしないこと。
補助業務の範囲も明記されています。
補助業務従事者(通信教育中の者を含む。)の業務範囲は、清掃、タオル絞り、道具整理等は認められるが、理容又は美容の本質的作業に独立して従事することは認められないこと。
また、パーマ剤・染毛剤等は医薬部外品及び化粧品として承認を受けたものを適正に使用し、アンモニア等のガスが発生する場合には、特に排気に留意するとされています。製品の分類はこちらで整理しています。
本記事は昭和56年の通知本文に基づいています。その後の改正や、都道府県の条例による上乗せがあり得ます。実際の基準は所轄の保健所にご確認ください。
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FAQ
エタノールは何分浸しますか。
76.9v/v%〜81.4v/v%のエタノール液に10分間以上とされています。
紫外線消毒器に入れておけば大丈夫ですか。
85μW/cm2以上を連続して20分間以上で、汚れを十分に除去し直接照射される状態に収納する必要があります。構造が複雑な器具には適しません。
消毒液はいつ替えますか。
エタノールは7日以内、次亜塩素酸ナトリウムは毎日取り替えるとされています。
タオルは客ごとに替えますか。
皮膚に接する布片類は客1人ごとに取り替え、蒸しタオルは消毒済みのものを使用するとされています。
スタッフが結核や皮膚疾患にかかったら。
保健所に届け出るとともに、作業に従事させないこととされ、治癒した場合も同様に届け出るとされています。
参照した一次情報
- 厚生労働省「理容所及び美容所における衛生管理要領について」(昭和56年6月1日 環指第95号、PDF) mhlw.go.jp
2026年9月16日確認。施設・設備の要件、清掃の頻度(1日1回以上、1週間に1回以上、1年に2回以上、洗髪器の1日数回)、紫外線消毒器の85μW/cm2と3,000時間、従業者の管理(結核・感染性の皮膚疾患の届出と就業制限、同居者に関する扱い、補助業務の範囲)、毎日の確認事項、照度・炭酸ガス・浮遊粉じん・温湿度の基準、外衣とマスク・つめ・手指洗浄、客1人ごとの器具・布片・蒸しタオル・廃棄物の扱い、消毒の手順(流水10秒間以上・1リットル以上、煮沸2分間以上、エタノール76.9〜81.4v/v%で10分間以上、次亜塩素酸ナトリウム0.1%で10分間、紫外線85μW/cm2以上で20分間以上、蒸気80℃超で10分間以上)、消毒液の交換頻度と取扱い上の注意、パーマ剤・染毛剤の使用と排気に関する引用はこのPDFに基づきます。
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