防火管理者を決めたら遅滞なく届け出ます|消防計画に入れる7つの業務

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結論:防火管理者を決める義務は「管理について権原を有する者」にあります

多数の者が出入りする建物では、防火管理者を定めて消防計画を作り、訓練と点検を行わせなければなりません。消防法第8条です。

読むときの要点は3つあります。義務を負うのは誰か、させることは何か、届け出るのはいつか。

1. 義務を負うのは建物の管理権原者です

条文の主語を見ます。

学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店(これに準ずるものとして政令で定める大規模な小売店舗を含む。)、複合用途防火対象物(防火対象物で政令で定める二以上の用途に供されるものをいう。)その他多数の者が出入し、勤務し、又は居住する防火対象物で政令で定めるものの管理について権原を有する者は、政令で定める資格を有する者のうちから防火管理者を定め(略)なければならない。

防火管理者本人ではなく、管理について権原を有する者が定める側です。テナントとして入っている場合、自分の区画の管理権原はテナント側にあります。

対象となる建物(防火対象物)は政令で定められています。用途と規模で決まるので、自分の建物が対象かどうかは政令と所轄消防で確認します。

また、防火管理者になれるのは政令で定める資格を有する者に限られます。

2. 防火管理者に行わせる7つの業務

条文が列挙している業務です。

№ 業務
1 消防計画の作成
2 消防計画に基づく消火、通報および避難の訓練の実施
3 消防の用に供する設備、消防用水または消火活動上必要な施設の点検および整備
4 火気の使用または取扱いに関する監督
5 避難または防火上必要な構造および設備の維持管理
6 収容人員の管理
7 その他防火管理上必要な業務

2は3種類の訓練が書かれています。消火、通報、避難です。避難訓練だけでは条文の求めるところに届きません。

6の収容人員の管理も見落とされがちです。席数や入場者数の上限を管理することが業務に含まれています。

3. 届出は「遅滞なく」、解任のときも

第2項です。

前項の権原を有する者は、同項の規定により防火管理者を定めたときは、遅滞なくその旨を所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。これを解任したときも、同様である。

選任したときだけではありません。解任したときも届出が必要です。担当者が退職して交代する場合、解任と選任の両方が発生します。

4. 定めていないと命令が出ます

第3項です。

消防長又は消防署長は、第一項の防火管理者が定められていないと認める場合には、同項の権原を有する者に対し、同項の規定により防火管理者を定めるべきことを命ずることができる。

命令の相手は防火管理者ではなく、管理権原者です。

5. 業務が計画どおりでない場合も命令の対象です

第4項です。

消防長又は消防署長は、(略)防火管理者の行うべき防火管理上必要な業務が法令の規定又は同項の消防計画に従つて行われていないと認める場合には、同項の権原を有する者に対し、当該業務が当該法令の規定又は消防計画に従つて行われるように必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。

ここが実務上重い部分です。防火管理者を選任して消防計画を出しただけでは終わりません。計画に書いたとおりに実施されているかが問われます。訓練を年に何回やると書いたなら、そのとおりに実施する必要があります。

なお第5項により、これらの命令については法第5条第3項および第4項の規定が準用されます。

6. 誰に対して命令が出るかの整理

状況 命令の相手 命令の内容
防火管理者が定められていない 管理権原者 防火管理者を定めるべきこと
業務が法令または消防計画に従って行われていない 管理権原者 従って行われるように必要な措置を講ずべきこと

どちらも管理権原者です。防火管理者に任せたから自分の責任は終わり、という構造になっていません。

実務としてやること

  1. 自分の建物または区画が政令で定める防火対象物に当たるかを、所轄の消防署で確認する。用途と規模で決まる。
  2. 対象なら、政令で定める資格を持つ者の中から防火管理者を定める。資格の有無を先に確認する。
  3. 選任したら遅滞なく所轄消防長または消防署長に届け出る。交代のときは解任の届出も忘れない。
  4. 消防計画を作る。消火・通報・避難の3つの訓練の実施方法と回数を書く。
  5. 書いた回数どおりに訓練を実施し、記録を残す。計画どおりに行われていないと命令の対象になる。
  6. 消防用設備等の点検・整備の担当と時期を決める。
  7. 火気の使用と取扱いの監督、収容人員の管理も業務に含まれる。誰がどう管理するかを計画に書く。

よくある質問

テナントとして入っている場合、誰が防火管理者を定めるのですか

条文の主語は「管理について権原を有する者」です。建物全体とテナント区画で管理権原が分かれている場合、それぞれに義務が生じ得ます。建物全体については統括防火管理者の制度も別に置かれています。具体的な区分は所轄の消防署にご確認ください。

何人以上の建物が対象ですか

条文は「多数の者が出入し、勤務し、又は居住する防火対象物で政令で定めるもの」としています。具体的な用途と収容人員の基準は政令で定められており、今回参照した条文の範囲では確認していません。

防火管理者の資格はどう取るのですか

条文は「政令で定める資格を有する者」としています。資格の取得方法は今回参照した条文からは確認できませんでした。所轄の消防署または日本防火・防災協会にご確認ください。

訓練は年に何回必要ですか

条文は回数を定めていません。消防計画に基づいて実施することとされており、具体的な回数は政令・省令および消防計画によります。

参照した一次情報

  • e-Gov法令検索「消防法」(昭和23年法律第186号)第8条 laws.e-gov.go.jp
    2026年9月28日確認。義務を負うのが「管理について権原を有する者」であること、防火管理者が政令で定める資格を有する者に限られること、行わせる7つの業務、選任および解任の遅滞ない届出、防火管理者が定められていない場合の命令、業務が法令または消防計画に従って行われていない場合の命令、第5条第3項・第4項の準用はこの条文に基づきます。
  • 総務省消防庁の防火管理に関する情報が掲載されているページ fdma.go.jp
    2026年9月28日確認。防火管理制度を所管する消防庁のページです。

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この記事は公開されている条文を整理したものです。自分の建物が対象になるか、必要な手続の判断は所轄の消防署にご確認ください。

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