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結論:大規模なSNSは、削除申出に「原則7日以内」に判断して通知します
誹謗中傷の投稿を見つけて、運営に通報しても返事が来ない。この状態に対して、令和7年4月1日から新しいルールが動いています。
プロバイダ責任制限法が改正され、題名そのものが変わりました。
法律の題名を「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律」(情報流通プラットフォーム対処法)に改める。
義務を負うのは大規模プラットフォーム事業者で、内容は2つに整理されています。
| # | 義務 | 中身 |
|---|---|---|
| ① | 対応の迅速化(権利侵害情報) | ・削除申出窓口・手続の整備・公表 ・削除申出への対応体制の整備(十分な知識経験を有する者の選任等) ・削除申出に対する判断・通知(原則、一定期間内) |
| ② | 運用状況の透明化 | ・削除基準の策定・公表(運用状況の公表を含む) ・削除した場合、発信者への通知 |
この「一定期間」が、省令で7日間と明確化されました。
1. 対象になるのは「大規模」な事業者だけです
すべてのサイトが対象ではありません。省令が示す指定要件は、
「大規模特定電気通信役務提供者」の指定要件(平均月間発信者数1000万人 等)
個人のブログや小さな掲示板は、この義務の対象ではありません。対象となるサービスは、総務大臣が指定して公表します。
法律の考え方としては、迅速化及び透明化を図る必要性が特に高い者として、権利侵害が発生するおそれが少なくない一定規模以上等の者が対象、と整理されています。
2. 公表される項目が具体的に決まっています
「透明化」の中身です。省令が定める公表項目には、次のようなものが含まれます。
- 権利侵害情報の削除申出に対して一定期間内に削除する旨の通知をした件数
- 削除しない旨及びその理由の通知をした件数
- 利用者や公的機関からの通報等を受けて削除した件数及び削除しなかった件数
- AIを用いた削除件数・アカウント停止件数
- 日本語を理解するコンテンツモデレーターの数、人的・技術的体制についての説明
「AIで消した件数」と「日本語がわかる担当者の人数」を出させる、というのが具体的なところです。体制の実態が数字で見えるようになります。
3. 申し出る側に過重な負担をかけてはいけません
ガイドラインが示している解釈のひとつです。
「申出を行おうとする者に過重な負担を課するものでないこと」の解釈、「侵害情報調査専門員」の具体的な要件等を記載。
削除申出のフォームが極端に分かりにくい、不必要に多くの書類を求める、といった運用が想定されています。また、申出を審査する側に「侵害情報調査専門員」という役割が置かれ、その要件も定められています。
4. 「違法情報ガイドライン」も同時に作られました
省令・ガイドラインは令和7年3月11日に公表されています。そのうちの1つがこれです。
違法情報ガイドライン
どのような情報を流通させることが権利侵害や法令違反に該当するのかを明確化。また、大規模特定電気通信役務提供者が「送信防止措置の実施に関する基準」を策定する際に盛り込むべき違法情報を例示。
事業者が自社の削除基準を作るときの参照先になります。「基準がないから消せません」が通りにくくなる構造です。
5. 改正前からある仕組みとの関係
もとのプロバイダ責任制限法は、2つのことを定めていました。
- プロバイダ等の免責要件の明確化(どういう場合に削除しても/しなくても責任を問われないか)
- 発信者情報開示請求(誰が投稿したかを開示させる手続)
今回の改正は、これらを残したうえで、大規模事業者への義務を上乗せしたものです。発信者情報開示請求の手続そのものについては、本記事では扱っていません。
6. 書かれる側・運営する側から見ると
被害を受けた側
- 対象サービスには削除申出の窓口と手続が公表されているはずなので、まずそこを探す
- 申し出たら、原則7日以内に判断と通知が来る
- 削除しない場合も理由が通知される
- 対象外のサービスや、この法律で解決しない場合は、別の手段(発信者情報開示請求、法的手続、相談窓口)を検討する
投稿した側
②の義務に「削除した場合、発信者への通知」が入っています。知らないうちに消されて終わり、ではなくなります。
店舗・事業者として
口コミやSNSで事実と異なることを書かれた場合、対象サービスなら窓口の手続に沿って申し出ることになります。ただし「気に入らない書き込み」と「権利侵害情報」は別です。ガイドラインは、権利侵害や法令違反に該当するのはどういう情報かを明確化する方向で作られています。
自社のSNS運用についてはSNS運用ルールの記事、顧客情報の扱いについてはサロンと顧客情報の記事にまとめています。
7. 実務としてやること
- 被害があるなら、まず該当サービスの削除申出窓口を探す(公表が義務です)
- 投稿のURL・スクリーンショット・日時を残しておく
- 申出後7日を目安に、判断の通知が来るかを見る
- 対象外のサービスなら、別の手段を検討する
- 事業者として書かれた場合、権利侵害に当たるかどうかを専門家に相談してから動く
当サイトでは、個別の投稿が権利侵害に当たるかどうかを判断しません。総務省の違法・有害情報相談センターや、弁護士にご相談ください。
FAQ
いつから始まりましたか。
改正法は令和6年5月に成立し、令和7年4月1日に施行されました。省令・ガイドラインは令和7年3月11日に公表されています。
どのサービスが対象ですか。
総務大臣が指定した大規模特定電気通信役務提供者です。指定要件として平均月間発信者数1000万人等が省令で定められています。指定された事業者は総務省が公表しています。
7日以内に必ず削除されますか。
いいえ。7日は「判断・通知」までの期間です。削除しない場合も、その旨と理由が通知されます。
小さな掲示板や個人サイトも対象ですか。
対象は一定規模以上の大規模事業者です。指定を受けていないサービスには、この義務はかかりません。
投稿を消されたら、こちらにも連絡は来ますか。
義務の②に「削除した場合、発信者への通知」が含まれています。
参照した一次情報
- 総務省「令和6年 プロバイダ責任制限法の一部を改正する法律(概要)」「情報流通プラットフォーム対処法の施行に係る省令・ガイドラインの策定」 soumu.go.jp(PDF)
2026年9月21日確認。法律の題名の変更、大規模プラットフォーム事業者への2つの義務(対応の迅速化・運用状況の透明化)とその内訳、施行日(令和7年4月1日)、省令の指定要件(平均月間発信者数1000万人 等)、一定期間=7日間、公表項目、ガイドラインの内容(過重な負担の解釈・侵害情報調査専門員・違法情報ガイドライン)に関する記述はこの資料に基づきます。 - 総務省「インターネット上の違法・有害情報に対する対応(情報流通プラットフォーム対処法)」 soumu.go.jp
2026年9月21日確認。関連する省令・ガイドライン、指定事業者の公表および相談窓口の所在の確認に使用しました。指定された事業者の一覧、各社の削除申出窓口の具体的な手順、および発信者情報開示請求の手続は、本記事では扱っていません。
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