個人に発注したら直ちに8項目を出します|フリーランス法の3条通知と60日

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結論:ひとりで請けている人に発注したら、その時点で義務が発生します

「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法)は、令和6年11月1日に施行されています。パンフレットの表現です。

本法は、フリーランスと取引する全ての事業者が守らなければいけない法律です

業種・業界の限定はありません。サロンが業務委託でスタッフに入ってもらう、デザインを個人に頼む、チラシの撮影を個人カメラマンに頼む。いずれも対象になり得ます。

そして重要なのは、取引条件の明示義務(3条)は、発注する側がフリーランスであっても課されることです。「自分も個人事業主だから関係ない」は成り立ちません。

1. 誰が「フリーランス」で、誰が「発注事業者」か

立場定義
フリーランス
(特定受託事業者)
①個人であって従業員を使用しないもの
②法人であって一の代表者以外に他の役員がなく、かつ従業員を使用しないもの
発注事業者
(特定業務委託事業者)
①個人であって従業員を使用するもの
②法人であって二以上の役員がいる、または従業員を使用するもの
発注事業者
(業務委託事業者)
フリーランスに業務委託をする事業者(上記に当たらないものを含む)

「従業員を使用する」の定義に注意してください。

従業員を使用とは、1週間の所定労働時間が20時間以上かつ31日以上の雇用が見込まれる労働者を雇用することです。(中略)なお、事業に同居親族のみを使用している場合は該当しません。

短時間のアルバイトだけなら「従業員を使用しない」側に入ることがある、ということです。また、雇われている人が副業として受ける仕事も、特定受託事業者に該当します。

対象外もはっきりしています。消費者との取引は対象外単なる商品の販売は対象外。そして、

形式的には業務委託契約を締結している者であっても、実質的に労働基準法上の労働者と判断される場合には、労働基準関係法令が適用され、本法は適用されません。

2. 発注したら「直ちに」8項目を明示します

3条通知と呼ばれるものです。口頭は認められません。

#明示する事項
業務委託事業者および特定受託事業者の名称
業務委託をした日
特定受託事業者の給付の内容
給付を受領または役務の提供を受ける期日
給付を受領または役務の提供を受ける場所
検査する場合は、検査を完了する期日
報酬の額および支払期日
金銭以外の方法で報酬を支払う場合は、支払方法に関すること

⑥と⑧は、該当する取引の場合のみです。

知的財産権についての記述は、見落とされやすいところです。

フリーランスの知的財産権が発生する場合で、業務委託の目的である使用の範囲を超えて知的財産権を譲渡・許諾させる際には、譲渡・許諾の範囲も明確に記載する必要があります。フリーランスの知的財産権の譲渡・許諾がある場合には、その対価を報酬に加える必要があります。

写真やデザインを頼むときに、「他でも使いたい」なら、そこを書き、対価に乗せるということです。

明示の方法

書面か電磁的方法のどちらかを、発注事業者が選べます。電磁的方法には、電子メール、SMS、SNSのメッセージ、チャットツール、受信データの記録機能を有するファックス、CD-RやUSBメモリが挙げられています。

注意点も示されています。

  • SNSのメッセージ機能は送信者が受信者を特定して送信できるものに限定。ブログやウェブページへの書き込みは不可
  • URLの記載やPDFの添付でも可
  • 電磁的方法で明示した後に書面の交付を求められたら、遅滞なく交付(一定の例外あり)
  • SNSのサービス終了等で内容が確認できず書面交付を請求されたときは、書面で交付する必要がある

パンフレットは「書面」について、契約書でなくてよい、様式は定められていないと書いています。発注書でかまいません。

決まっていないことがある場合

内容が定められないことに正当な理由があるもの(未定事項)は、委託時の明示が不要です。ただし未定事項の内容が定められない理由定めることとなる予定期日を当初に明示し、決まったら直ちに補充の明示をします。その際、当初の明示との関連性がわかるようにします。

3. 支払は「受領日から60日以内」です

発注事業者は、発注した給付を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内で、支払期日を定めて、その日までに報酬を支払わなければなりません。

定めなかった場合・超えて定めた場合の扱いも決まっています。

状況支払期日となる日
支払期日を定めなかったとき給付を実際に受領した日
受領日から起算して60日を超えて定めたとき受領した日から起算して60日を経過する日

月締めにする場合の注意です。

月単位の締切制度を採用する場合でも、給付を受領した日から60日以内に支払を行う必要があるため、月の初めに受領した分の支払が60日以内に行われるよう、毎月末日締切にする場合には、翌月末日までに支払期日を設定する必要があります。

「翌々月払い」にしていると、月初納品分が60日を超えます。末締め・翌月末払いが基準線です。

書き方についても指定があります。「●月●日まで」「●●日以内」は違反例です。具体的な日を特定できる必要があります。

4. 1か月以上の委託には、7つの禁止行為があります

対象は1か月以上の業務委託です。

#禁止行為
受領拒否
報酬の減額
返品
買いたたき
購入・利用強制
不当な経済上の利益の提供要請
不当な給付内容の変更・やり直し

ここに決定的な一文があります。

たとえフリーランスの了解を得たり、合意していても、また、発注事業者に違法性の意識がなくても、これらの行為は本法に違反することになる

「先方も納得しているので」は通りません。受領拒否については、一方的な都合による発注取消しや、納期を延期して定めた納期に受け取らないことも該当するとされています。

5. 6か月以上なら、切るときに30日前の予告が要ります

就業環境の整備の側では、6か月以上が基準になります。

発注事業者は、①6か月以上の期間で行う業務委託について、②契約の解除または不更新をしようとする場合、③例外事由に該当する場合を除いて、解除日または契約満了日から30日前までにその旨を予告しなければなりません。

予告後、契約満了までにフリーランスから理由を請求されたら、遅滞なく開示します。

予告が不要になる例外は5つです。

  1. 災害などのやむを得ない事由により予告が困難な場合
  2. 再委託していて、上流の事業者の契約解除等により直ちに解除せざるを得ない場合
  3. 業務委託の期間が30日以下など短期間である場合
  4. フリーランスの責めに帰すべき事由がある場合
  5. 基本契約があり、フリーランスの事情で相当な期間、個別契約が締結されていない場合

「一定の事由がある場合に事前予告なく解除できる」と契約で定めていても、例外事由に該当しない限り、直ちに事前予告が不要とはなりません。

6か月以上の委託では、ほかに育児介護等と業務の両立に対する配慮義務(13条)もかかります。

6. 期間の数え方(1か月/6か月)

ケース始期終期
単一の業務委託業務委託に係る契約を締結した日(=3条で明示する「業務委託をした日」)給付受領予定日または契約終了日のうち最も遅い日
単一の基本契約がある基本契約を締結した日基本契約が終了する日
更新により継続最初の業務委託等の始期最後の業務委託等の終期

終期は予定日で判断します。実際の受領が前後しても終期は変わりません。

7. 違反したときに何が起きるか

フリーランスは公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省に申し出ることができます。行政機関は報告徴収・立入検査を行い、指導・助言、勧告、勧告に従わない場合は命令・公表をします。

命令違反には50万円以下の罰金があります。

さらに、申出をしたことを理由に契約解除や取引停止といった不利益な取扱いをしてはなりません(報復措置の禁止)。

相談窓口としてフリーランス・トラブル110番が挙げられています。弁護士に電話・メールで相談でき、和解あっせんも実施されています。

8. 実務としてやること(発注する側)

  1. 今、個人に頼んでいる仕事を洗い出す
  2. それぞれ1か月以上か/6か月以上かを確認する
  3. 発注のたびに出す8項目入りの発注書のひな形を1つ作る(メールでも可)
  4. 支払サイトを末締め・翌月末払い以内に直す
  5. 著作権など権利の扱いを書き、その対価を報酬に乗せる
  6. 6か月以上の相手を切るときは30日前に予告する

当サイトでは個別の契約の適法性を判断しません。解釈ガイドライン(「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方」)と公正取引委員会の特設サイトをご確認ください。

請求書や取引書類を残しておく場合(フリーランス側)

受ける側は、3条通知を保存しておくことと、報酬の請求・入金を記録に残しておくことが自衛になります。以下は広告です。当サイトでは、これらのサービスがフリーランス法の3条通知の要件を満たすかどうかを検証していません。3条通知を出すのは発注事業者の義務であり、請求書はそれとは別の書類です。機能・料金・プランは変更されることがあるため、必ず公式サイトで最新の内容をご確認ください。優劣を示すものではなく、選択肢として並べています。

請求書を作る場合:請求書作成サービス「Misoca(みそか)」

FAQ

個人事業主どうしの取引でも対象ですか。

対象になり得ます。取引条件の明示義務(3条)はフリーランス同士の取引も対象で、発注側がフリーランスでも義務が課されます。

アルバイトを1人雇っています。発注事業者になりますか。

「従業員を使用する」は1週間の所定労働時間が20時間以上かつ31日以上の雇用が見込まれる労働者の雇用を指します。該当するかは実態で判断されます。当サイトでは個別の判定をしません。

LINEなどのメッセージで発注条件を送ってもいいですか。

SNSのメッセージ機能は送信者が受信者を特定して送信できるものに限定して認められています。ただし削除や閲覧不可に備え、スクリーンショット等での保存が推奨されています。

支払を翌々月末にしています。問題ありますか。

受領日から起算して60日を超える部分が出ます。毎月末日締切なら翌月末日までに支払期日を設定する必要があるとされています。

相手が値下げに同意しました。報酬の減額に当たりますか。

パンフレットは、フリーランスの了解を得たり合意していても、違法性の意識がなくても、禁止行為は本法に違反するとしています。

参照した一次情報

  • 公正取引委員会「ここからはじめる フリーランス・事業者間取引適正化等法 パンフレット」 jftc.go.jp(PDF)
    2026年9月19日確認。施行日(令和6年11月1日)、特定受託事業者・特定業務委託事業者の定義、3条通知の8項目と明示方法、60日以内の報酬支払、7つの禁止行為、6か月以上の中途解除等の事前予告(30日前)と5つの例外、期間の始期・終期、違反への対応と50万円以下の罰金に関する記述はこのパンフレットに基づきます。募集情報の的確表示義務(12条)、育児介護等への配慮義務(13条)、ハラスメント対策の体制整備義務(14条)の具体的な内容、および解釈ガイドラインの詳細は本記事では扱っていません。
  • 公正取引委員会「フリーランスの取引適正化に向けた公正取引委員会の取組」 jftc.go.jp
    2026年9月19日確認。解釈ガイドラインおよび関連資料の所在の確認に使用しました。

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