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目次
結論:「義務がある防炎物品」と「義務はない防炎製品」は別のものです
防炎品という言葉は2種類を指します。総務省消防庁の整理です。
| 防炎物品 | 防炎製品 | |
|---|---|---|
| 根拠 | 消防法で使用が義務付けられている | 消防法に基づく防炎対象物品以外のもの |
| 使用義務 | あり(対象施設において) | なし(消防庁は使用を推奨) |
| 主なもの | カーテン、布製のブラインド、暗幕、じゅうたん等 | 寝具類、衣類、テント類、シート類、車両のボディカバー、幕類など |
ややこしいのですが、一般の戸建て住宅に「防炎物品」の義務はありません。ただし例外があり、そこを知らない方が多いです。
1. 義務がある建物
消防庁が挙げている、防炎物品の使用が義務付けられている施設です。
- 百貨店、飲食店、旅館、地下街などの不特定多数の人が出入りする施設
- 病院、福祉施設、保育所など、容易に避難できない方が利用する施設
- 高さ31mを超える高層建築物
3つ目に注目してください。高さ31mを超える建物は、住宅であっても対象です。おおむね11階建て以上の集合住宅が該当し得ます。
つまりタワーマンションや高層マンションにお住まいの場合、カーテンは防炎物品である必要があります。引っ越し時にカーテンを買い替える方は、購入前に自宅が該当するか確認してください。
ご自身の建物が対象になるかどうかの判断は、管轄の消防署にご確認ください。当サイトでは個別の建物について判断できません。
防炎対象物品の一覧
消防庁の記載をそのまま挙げます。
カーテン、布製のブラインド、暗幕、じゅうたん等、展示用の合板、どん帳その他舞台において使用する幕及び舞台において使用する大道具用の合板並びに工事用シート。
店舗を経営している方へ
「飲食店」「旅館」は明示されています。美容室・サロンなど、その他の業種が「不特定多数の人が出入りする施設」に該当するかどうかは、当方では確認していません。店舗の用途・規模・階数によって扱いが変わる可能性があります。内装やカーテンを入れ替える前に、管轄の消防署に確認してください。
2. 義務はないが推奨されている「防炎製品」
家庭向けにはこちらが本題です。
消防法に基づく防炎対象物品以外の寝具類、衣類、テント類、シート類、車両のボデイカバー、幕類などにも、防炎性能を有する防炎製品があります。
使用の義務はありませんが、一定の防炎性能を持っているため、消防庁では使用を推奨しています。
消防庁の「住宅防火 いのちを守る 10のポイント」にも、対策の3番目としてこう書かれています。
火災の拡大を防ぐために、部屋を整理整頓し、寝具、衣類及びカーテンは、防炎品を使用する。
3. なぜ寝具が挙がるのか
消防庁「住宅防火情報」には、住宅火災の実態としてこう記載されています。
- 住宅火災における最近の死者数は1000人前後を推移
- 住宅火災の死者のうち、高齢者が約7割を占める
- 就寝時間帯で多くの死者が発生している
- たばこを発火源とした火災による死者が最も多い
- 逃げ遅れによる死者が多い
- 寝具類に着火した火災による死者が最も多い
「寝具類に着火した火災による死者が最も多い」——これが、防炎品の対策で寝具が最初に挙がる理由です。燃え広がるまでの時間を稼ぐことが目的です。
4. 実際に役立った事例
消防庁が掲載している事例(東京消防庁提供)です。これは当サイトが集めたものではなく、公的機関が公開している事例です。
(1)冷蔵庫の過負荷リレーの接点溶着により出火したもの。冷蔵庫背面のカーテンに焼けた跡があることを発見した。防炎のカーテンであったため、壁の焦げ及びカーテンの一部焼損だけに止まった。
(2)入院患者が布団(非防炎製品)に放火したもの。布団からカーテン(防炎物品)に延焼した。(中略)カーテンは接炎したため焦げたが、初期消火ができたことと、防炎物品であったことにより部分的な焼損に止まった。
(3)車庫に駐車中の車両のボディカバーに何者かが放火したもの。(中略)ボディカバーは縦5cm、横5cmの範囲で焼損したが、防炎製品であったのでそれ以上の延焼には至らなかった。
3件に共通するのは、「燃えなかった」ではなく「そこで止まった」という点です。防炎品は不燃ではありません。燃え広がりにくくするものという理解が正確です。
5. 買うときに見るもの
- ラベル(防炎表示)が付いているかを確認する
- 洗濯後も性能が保たれるかを、製品の表示で確認する
- 高さ31mを超える建物に住んでいる場合、カーテンは防炎物品かどうかを確認する
- 寝具・パジャマなど、就寝時に身につけるものから替える
- 喫煙する家庭では優先度を上げる
2番については、当サイトでは洗濯耐久性に関する基準を確認していません。製品ごとの表示とメーカーの案内をご確認ください。
6. 防炎品だけでは足りません
消防庁の「10のポイント」は、防炎品を6つの対策のうちの1つとして位置づけています。他は次のとおりです。
- ストーブやこんろ等は安全装置の付いた機器を使用する
- 住宅用火災警報器を定期的に点検し、10年を目安に交換する
- 消火器等を設置し、使い方を確認しておく
- お年寄りや身体の不自由な人は、避難経路と避難方法を常に確保し、備えておく
- 防火防災訓練への参加、戸別訪問などにより、地域ぐるみの防火対策を行う
そして4つの習慣は「寝たばこは絶対にしない、させない」「ストーブの周りに燃えやすいものを置かない」「こんろを使うときは火のそばを離れない」「コンセントはほこりを清掃し、不必要なプラグは抜く」です。ここは費用ゼロで今日から変えられます。
警報器と消火器については別記事にまとめています。
防炎品以外の備えをまとめて用意する場合
以下は広告です。防炎品そのものではありません。この記事で扱った防炎物品・防炎製品が含まれているかは、当サイトでは確認していません。上の「6.」で挙げた消火器などの備えをまとめて用意したい場合の選択肢として載せています。内容物・価格・送料は変更されることがあるため、必ず公式サイトで最新の内容と、必要な品目が含まれているかをご確認ください。
FAQ
うちのマンションは対象ですか。
消防庁の記載は「高さ31mを超える高層建築物」です。個別の建物が該当するかは、管轄の消防署または管理会社にご確認ください。当サイトでは判断できません。
防炎品は燃えないのですか。
いいえ。消防庁が掲載している事例でも、防炎品は焦げたり部分的に焼損したりしています。「燃えない」ではなく「燃え広がりにくい」ものとして扱ってください。
洗濯すると効果がなくなりますか。
当方では確認していません。製品によって扱いが異なる可能性があるため、製品の表示とメーカーの案内をご確認ください。
美容室のカーテンは防炎物品でないといけませんか。
消防庁が例示しているのは「百貨店、飲食店、旅館、地下街など」です。美容室が該当するかどうかは当方では確認していません。管轄の消防署にご確認ください。
普通のカーテンを防炎にする方法はありますか。
当方では確認していません。防炎性能は製品として認められているかどうかの問題なので、自己流の処理は勧められません。
参照した一次情報
- 総務省消防庁「防炎品」 fdma.go.jp
2026年9月12日確認。防炎物品と防炎製品の区分、対象施設、防炎対象物品の一覧、事例(東京消防庁提供)の引用はこのページに基づきます。 - 総務省消防庁「住宅防火情報」 fdma.go.jp
2026年9月12日確認。住宅火災の実態に関する記載はこのページに基づきます。 - 総務省消防庁「住宅用火災警報器Q&A」 fdma.go.jp
2026年9月12日確認。「住宅防火 いのちを守る 10のポイント」の引用はこのページに基づきます。
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この記事は当サイト運営者が執筆しました。消防・防災の専門資格を持つ者による記事ではありません。上記の確認日以降に消防庁の記載が変わっている可能性があります。設置義務や建物の該当性については、必ず管轄の消防本部・消防署にご確認ください。


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